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薬屋「イナバ」

やっとヒロインが揃った・・・


アイラのしゃべり方が安定してなかったので修正。

 

 本人の意思とは無関係に召喚された少年、莢河 士郎は召喚を行ったフードの男達、そして魂移しの結晶というアイテムを使用するため刻み込まれた少年の記憶のせいで男性恐怖症になってしまっていた。

 士郎を救った騎士団は当初士郎を騎士団の詰所で保護することにしていたが、男性の多い騎士団に士郎を連れて行くことは本人に悪影響だろうと判断。救出作戦の実行を行った跳躍隊隊長、アイラの家である薬屋「イナバ」にて保護、経過の観察を行うことを決定した。



 士郎がイナバにきてから2ヶ月が経った。イナバにはアイラを長姉として3人姉妹が住んでいる。

 長女アイラ、彼女は士郎を助けた張本人であり騎士団に勤めている。騎士団では夜勤を担当することもあり家に居ないことも多いが、本人は妹達を大事にしており可能な限りは家にいるようにしている。

 次女アイリ、薬屋イナバの店長で、扱っている薬を自分で作っている調合師でもある。研究者肌の人物で、身嗜みにはかなり無頓着。姉、妹と同じ綺麗な白い髪をしているが櫛で梳かすことすらめったにせず、ぼさぼさになった髪をよく妹に怒られている。

 三女アイル、とても活発な少女で何でも屋という冒険者と似たようなことをしている。違いは冒険者がギルドを通して依頼をこなすのに対して、アイルは個人で依頼を受け仕事をこなす。依頼のないときにはアイリの手伝いをしていることが多い。かなりのシスコンで士郎に牙を向くことも多い。


 士郎は自分の部屋を用意してもらっているが、アイラが居るときにはアイラの部屋で一緒に眠ることが多い。士郎としては恥ずかしいので1人で寝たいのだが、アイラが隷属の首輪の主人となっているため断ることが出来ないのだ。抱きしめられて寝ているだけとはいえ、思春期の少年には辛いものがある。しかもその様子をアイルが嫉妬するので次の日の視線が痛いものになるのだ。


 イナバは王都マイルナムの南東に店を構えている。最北に城を構え、最南に正門を構える基本的な造りだ。そして攻め込まれた際に一番危険になる南門近くに冒険者ギルドがある。

 依頼遂行のためには自分の命さえかける、ある意味最大の肉体労働ともいえる冒険者に取っていざというときの供えは大切だ。当然彼らは良質な物を求めている。そんな彼らがひいきにしている薬屋イナバは店主のアイリの製剤技術がすぐれてるということをあらわしていた。




「んぅ・・・おはよう・・・今日の朝ごはんは何?」


 アイリが眼を覚ましておきてきた。ぼさぼさになっている髪からウサ耳がちょこんと垂れている。格好もゆったりとした灰色のローブで調剤に使った薬品のシミなのか所々汚れてしまっている。


「おはようアイリ。今日はパンと卵の炒め物、それから野菜サラダだ」


 アイリの質問に答えるのはもう騎士の鎧を着けているアイラだ。彼女は朝食の準備を済ませ、もう家を出るところのようだ。


「もう出るの・・・?いってらっしゃいアイラ姉さん・・・ん、アイルは・・・?」


「アイルならご飯も終わって開店準備をシロウとしている。アイリも食べ終わったら手伝ってあげるといい。それじゃあ私は朝の鍛錬があるからもう行くね」


 今日もアイリが起きてくるのが一番遅かったようだ。彼女は夜遅くまで新薬の研究をしていることも多く、必然的に朝は起きるのが遅い。酷いときには昼過ぎまで寝ていたなんて事もある。

 アイラは騎士団に向かいアイリも朝食を終えた後販売スペースへ向かうと、アイルと士郎がばたばたと走り回っていた。


「アイリ姉!やっと起きたの!?早く準備手伝って!開店に間に合わなくなっちゃうよ!シロウ!それはそっち!」


 ショートに切り揃えた髪からアイリより少し短い耳がピンと立っていて彼女の慌てようをあらわしているようだった。膝上のショートパンツに赤色の半袖パーカー。全体的に動きやすさを優先した格好だ。


「わかった・・・後準備が済んでないのは・・・こっち?」


「うん、こっちはシロウと私で終わらせるからよろしく!」


 なんとか今日も準備が間に合い、アイルは店の開店を告げるため表に出て行った。


「薬屋イナバ!本日も開店いたしました!いざというときの備えのために!ぜひ見てってくださいねー!」



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