だいたい分かる
あっついですね。
熱中症とか、お気をつけて。
今回はイチャイチャします。
次に何を言うだとか。どんな反応をするだとか。どんな顔を見せてくれるだとか。
だいたい分かる。
恵のことだ。
「……………………ここ?」
「そう、そこ。ゆっくり入れて。…………あんまり強くしないでね? 壊れると、困るから」
「わかってる…………んぅ、よく分かんない…………初めてだし……」
「大丈夫。ゆっくりやって」
「うん、がんばる」
「…………あっ、だめっ、」
「えっ」
「そこじゃなくて、もういっこ下の差し込み口」
「でもこの、コードと同じ色だよ?」
「そういうもんなの」
「そういうもんか」
テレビにゲーム機を繋いでいる。
この前買った新しいのを今日お披露目だ。
「でも、ほんとに置くのあたしの家でよかったの? 一緒にお金出して買ったわけだし、あたしそんなにゲームするわけじゃないし」
どちらかと言うと恵のほうがすると思う。
「いーのいーの。これでまたひとつかなちゃんの家に来る理由ができたから」
えっへっへーと笑う。
まあ、そんなところだろうとは思ってたけど。
「んで、ゲームは?」
「ホラー」
「は?」
「ヴァイオハザウゥアドオゥ」
「なんでよ」
「かなちゃんの怖がる顔が見たかったから」
「無理」
「でも怖い話とかついつい聞いちゃうでしょ? 怖いもの見たさとかで」
「それは性格的に仕方ないことで、積極的にではないから」
「んじゃあいってみよーう」
ディスクうぃーん。
「……………………」
「顔固いよかなちゃーん」
「誰のせいだと……」
「かなちゃんホラーダメだもんねー」
「じゃあやめてよ……」
ゲーム選択を恵に頼んだのは間違いだった。これしか買ってこないし。
「すたーとおぅ」
始まってしまった。
「うっひゃあこの家族マジヤベぇぜぇ」
「……………………もうやだ……帰りたい……」
「いやここ以外にどこに帰るつもりだよ」
かなちゃんがダメになった。
「もー怖がりなんだからー……うおっ」
「わふぃっ」
怪物が画面バーンしたらかなちゃんがわたしにギューしてきた。そうそう、これだよこれー。ホラゲー万歳。うっひょい。
「…………かなちゃーん」
「うぐうぅ……もうやだぁ……」
「おおう」
最近のかなちゃんはなんかキャラ崩壊というのを起こしまくってる気がする。
まあなんにしても。
今のは、結構、キタ。
心臓がバクバクと自己主張を開始。
手がコントローラーから離れる。
頭に血が上り、てっぺんからサワサワと抜けていく。
掴むものを失った手が、腰のあたりに抱きついてるかなちゃんを求める。
右手がかなちゃんの肩に触れ、そっと掴む。
かなちゃんが私の顔を見上げる。
不安げだけど、多分なにをしようとしてるのか分かってる。
だから、左手でかなちゃんの頭を抱き寄せて。
そっと唇を重ねて、啄んだ。
感触、体温、匂い、味。全部かなちゃん。しあわせ。
一回離れたら、かなちゃんが寂しそうにこっちを見たから、そのまま押し倒した。分かってますよう。
もう一回キスしてから、
「かなちゃん、今日親いないんだっけ」
「…………いない、わけじゃないけど、帰るの、遅くなるって」
んじゃあまあ、オーケーというわけだ。
「というか、なんだかんだ言って、かなちゃんもこういうの期待してたもんねー」
「う、い、し、してない」
「ソワソワしてたもんねー」
「っ――――」
顔真っ赤。可愛い。
どんなに取り繕っても、どんなに表情を隠そうとも、だいたい分かる。だってかなちゃんだもん。他の人には分からないだろうけど、私には分かるよ。
じゃあ、遠慮なく。
「今夜は寝かせないから、ねん」
たまにはイチャつくだけってのもいいよね。
読んでくださってありがとうございました。
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