表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合、微かに揺れて  作者: ぺりぺり
5/7

だいたい分かる

あっついですね。

熱中症とか、お気をつけて。

今回はイチャイチャします。

次に何を言うだとか。どんな反応をするだとか。どんな顔を見せてくれるだとか。

だいたい分かる。

恵のことだ。

「……………………ここ?」

「そう、そこ。ゆっくり入れて。…………あんまり強くしないでね? 壊れると、困るから」

「わかってる…………んぅ、よく分かんない…………初めてだし……」

「大丈夫。ゆっくりやって」

「うん、がんばる」

「…………あっ、だめっ、」

「えっ」

「そこじゃなくて、もういっこ下の差し込み口」

「でもこの、コードと同じ色だよ?」

「そういうもんなの」

「そういうもんか」

テレビにゲーム機を繋いでいる。

この前買った新しいのを今日お披露目だ。

「でも、ほんとに置くのあたしの家でよかったの? 一緒にお金出して買ったわけだし、あたしそんなにゲームするわけじゃないし」

どちらかと言うと恵のほうがすると思う。

「いーのいーの。これでまたひとつかなちゃんの家に来る理由ができたから」

えっへっへーと笑う。

まあ、そんなところだろうとは思ってたけど。

「んで、ゲームは?」

「ホラー」

「は?」

「ヴァイオハザウゥアドオゥ」

「なんでよ」

「かなちゃんの怖がる顔が見たかったから」

「無理」

「でも怖い話とかついつい聞いちゃうでしょ? 怖いもの見たさとかで」

「それは性格的に仕方ないことで、積極的にではないから」

「んじゃあいってみよーう」

ディスクうぃーん。

「……………………」

「顔固いよかなちゃーん」

「誰のせいだと……」

「かなちゃんホラーダメだもんねー」

「じゃあやめてよ……」

ゲーム選択を恵に頼んだのは間違いだった。これしか買ってこないし。

「すたーとおぅ」

始まってしまった。


「うっひゃあこの家族マジヤベぇぜぇ」

「……………………もうやだ……帰りたい……」

「いやここ以外にどこに帰るつもりだよ」

かなちゃんがダメになった。

「もー怖がりなんだからー……うおっ」

「わふぃっ」

怪物が画面バーンしたらかなちゃんがわたしにギューしてきた。そうそう、これだよこれー。ホラゲー万歳。うっひょい。

「…………かなちゃーん」

「うぐうぅ……もうやだぁ……」

「おおう」

最近のかなちゃんはなんかキャラ崩壊というのを起こしまくってる気がする。

まあなんにしても。

今のは、結構、キタ。

心臓がバクバクと自己主張を開始。

手がコントローラーから離れる。

頭に血が上り、てっぺんからサワサワと抜けていく。

掴むものを失った手が、腰のあたりに抱きついてるかなちゃんを求める。

右手がかなちゃんの肩に触れ、そっと掴む。

かなちゃんが私の顔を見上げる。

不安げだけど、多分なにをしようとしてるのか分かってる。

だから、左手でかなちゃんの頭を抱き寄せて。

そっと唇を重ねて、啄んだ。

感触、体温、匂い、味。全部かなちゃん。しあわせ。

一回離れたら、かなちゃんが寂しそうにこっちを見たから、そのまま押し倒した。分かってますよう。

もう一回キスしてから、

「かなちゃん、今日親いないんだっけ」

「…………いない、わけじゃないけど、帰るの、遅くなるって」

んじゃあまあ、オーケーというわけだ。

「というか、なんだかんだ言って、かなちゃんもこういうの期待してたもんねー」

「う、い、し、してない」

「ソワソワしてたもんねー」

「っ――――」

顔真っ赤。可愛い。

どんなに取り繕っても、どんなに表情を隠そうとも、だいたい分かる。だってかなちゃんだもん。他の人には分からないだろうけど、私には分かるよ。

じゃあ、遠慮なく。

「今夜は寝かせないから、ねん」

たまにはイチャつくだけってのもいいよね。

読んでくださってありがとうございました。

感想とかくれたら泣いて喜びます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ