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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
【第2章の幕間】
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第2章幕間⑵:機械仕掛けの城にて

 ◆◆◆



 そこは、全く不明な場所だった。 いや、もっと深くいえば、そこは地球のどこかに存在する大陸といえるまでの規模の島であるが、しかし今では存在しない大陸ともいえるだろう。

 そんな矛盾する幻の大陸にて。 闇雲が空を覆い隠すほど上空に浮き立ち、暗き大霧は不気味な大森林の全域に漂っていた。

 その不気味な大森林の中心部には大きく、巨大といえる大宮殿が、来る者に恐怖を抱かせ逃げ去るかの如く、また悪魔が好むかの如く、壮絶な圧巻が感じるほどに聳え立っていた。


 ーーその大宮殿の多大な敷地内に一際聳え立つ機械仕掛けの城、その城内の機械的な音や匂いが鳴り漂い、左右列に並び聳え立つ十の機械仕掛けのモノリスがあり、またそれと同じく左右の端に隊をなす鴉兵カラス・ソルジャー達が敬礼しつつ控えているその主座の間の大広間にて。


「ただいました戻りました。 研究長様、我が主様」


  その主座の間の中心に敷く赤黒き絨毯の上で、『鴉伯カラス・カウント』のルーナイ・オズボーンは優雅に跪く。


「ご苦労であった、我が義息・・よ」


 そんな彼へ言葉をかけたのは、謁見の間の主座に座る研究長の隣に置かれている座席に座る少年の様な容姿・・・・・・・の外套を羽織った男だった。フードを深く被っているため、その顔を窺えない。

 しかし他者を怯ませる程の存在感、威圧感と、圧巻させるまでの外形にそぐわぬ雰囲気があることから、只者ではないことと、そして年齢は遥かに上だと窺える。また声には不調和音が入り、変声機かあるいは異能的に声を変えているのがわかる。


「しかし、いつのまにか『【破界種(クリーチャー)】』を我が物にしたのか……つくづくお前は侮れないな。研究長よ」


「っふん! 侮れないのはこっちも同じだ。お前、短期間に渡って既に三大最上位『【破界種(クリーチャー)】』たる『あれ』の眠り処を突き止めたそうじゃないか。 俺でも『あれ』の居処を突き止めるのは不可能なことを」


 外套の少年の問答に、研究長と呼ばれた者はそう嫌味ったらしく返す。声と体型からするに男だとわかる。しかしこちらは何かしら異能的によるものか、顔を含め体の全体が何者かわからないよう靄がかかり、ボヤけている。


「さぁ、なんのことだ?」


 外套の少年は薄気味悪く口元を三日月に尖らせ、とぼける。


「とぼけるのはよせ、と言いたいところだが……まぁとぼけるつまりならそうしてろ」


「ッククク。ああ、ならそうさせてもらおうか」


 そして薄気味悪い笑みで返事してきた外套の少年は、跪きこちらの会話が終わるまで微笑みながら静かにしているルーナイへ再び顔を向けた。 それに続いて研究長も同じく彼へ顔を向けた。


「さて……今回も姫の奪取は失敗したようだな。そのせいで俺の優秀な二人の義息が死に、義娘は生け捕りにされてしまった。 なんと悲しいことか」


 外套の少年はその怪しく輝くだす緋色の目を潤み見せる。しかし表情がフードに隠れてるのでルーナイからそれは見えない。


「それは言うなら、俺の部下も一人殺られてしまったがな。俺の部下ーーファーザスは少し狂ってはいたが、優秀であった研究員だったよ」


 暗い表情へとおとす研究長。そんな気を暗くする二人へ、


「お二方のお気持ちは私も同じです。ですか、彼らは死の覚悟ももって姫の奪取任務をお受けしたのです。彼らの意思を尊重し、彼らの分まで、私たちは必ず目的を果たせねばなりません」


 今まで笑みはすんと消え、引き締めた真剣そのものの表情でルーナイは答えた。


「お前のファミリーの者にそう言われるとはな……」


「ッククク。俺こそ義息に慰められる時が来ようとはな」


「主様と研究長様にそう返されると、恐れ入りますね」


 二人の軽い物言いに、ルーナイは畏まって返事をした。すると、外套の少年は突然圧が感じられる雰囲気へがらりと変わり、悠然となって口を開いた。


「それにしても、『白銀の召喚師』はまたしても我らの目的の邪魔に入ってくると……2年前のように大失態を犯したくないものだ」


「気にくわなく認めたくないが……さすがは『鴉王カラス・キング』様が自ら〝宿敵候補の片方〟と決め付けられたことはある」


 外套の少年と研究長は悠然と言った。


「2年前は彼の凄まじい力によって『鴉王カラス・キング』様は手痛いしっぺ返しを食らいましたからね」


 そこへルーナイは付け入るように言う。


「しかし2年前の時と今では違う。かの召喚師は2年前と違って力は頗る衰退してるそうではないか」


「それでも、お前の義息義娘達の中でも上位に入る実力者の銀次郎や清水 三五はやられてしまったではないか」


 外套の少年へ、研究長はそう答えた。


「やはり『白銀の召喚師』は、我ら組織にとって最大なる障害といえるだろう。いずれは排除しなくてはならないな」


「だがな研究長。 今は姫の奪取が優先だ」


「そんなことはわかっている。だが暫くはある研究に没頭しなくてはならない故、今後はお前が率いるペティル・ファミリーだけで姫の奪取を課せられることになるだろうな」


「だが俺達ファミリーも少し姫の奪取とは別に、人工島都市エスパダの秘密を探らないといけないぞ」


「しかし悪魔ノ隊デーモン・ドルッペ英国イギリスとの案件で手が離せない状態、また鴉教十字団レイブン・クロイツには教会の件もある。特に鴉ノ十字団レイブン・クロイツは教会きっての精鋭部隊ーー『聖十字騎士団』と悶着中だ。今所はだが、こちら側に人員を分けることはないだろう」


「うむ。それもそうか」


 そして顎を擦りつつ頷く外套の少年は暫し深く考えるそぶりしていると、研究長がある件の話を持ち出した。


「そういえばあの悪魔使いの一族の生き残り二人は、エスパダの異能学園に2年前から今も潜入しているのだっだか」


「ああ。以前から我々ファミリーが造り出そうしている“アレ”を完成させるために偽装して潜入している」


「お言葉ですが主様。その企みは、どうやらアメリカ魔導機関に嗅ぎこまれ、一名のアメリカ魔導士がすでに学園に潜伏して、その企みを阻止せんしておりますゆえ」


 と、ルーナイが口を挟んだ。


「それならば心配あるまい。無論、アメリカ魔導機関が更なる人数の魔導士を派遣しようともな。 何故ならばーー」


 すると外套の少年が被っていたフードがはらりとあげられ、そこには赤く、紅く、緋くーーその眼光を血のごとく光らせ、


「異能学園に潜入している我が二人の義子の片方……義息の方は、アメリカに対して末恐ろしいまでに憎悪を、復讐心をーーそれこそ悪魔の邪悪さの如く、漲らせているのだからな。 ッククク」


 不敵に嗤いをこぼした。


(…………)


 しかし、そう口から放つ少年の外形をした外套の男ーー我が主こそ、まさかに悪魔たる邪悪さを感じ、背筋がゾッとするルーナイ・オズボーンだった。


お読みくださりありがとうございます。

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