表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第1章:舞い戻り召喚師
16/127

第16話:思わぬ所で/とある廃工場で

 


 ーー現在、翔真はリビングのソファーに座っており、隣には優奈が座っている。


「「…………」」


 そして翔真は下を向きながら両手を拳にして膝に起き、その両拳からは手汗が流れて緊張感半端なくなっている。一方で優奈も翔真程ではないにしろ黙りだ。


 沈黙な空間状態であった。


 因み、なぜ翔真がこれほど緊張しているのかと言うと、同年代の女子を自宅にいる事が理由だ。

 翔真とて、既に高校生ではないが18歳の思春期真っ盛りで健全な男子である。 そんな翔真が自宅に女子を、それも絶世の美女たる優奈と二人っきりであれば緊張感が半端なく頂に達するだろう。

 そして何故こうなっているのか、こうなった経緯を説明するに少し時間を遡る。


 翔真の自宅である七○十二号室の玄関前にて、翔真と優奈はお互いに、思わぬ所で会ってしまった為に呆気にとられていた。

 特に優奈の方は、まさか日本魔導機関が用意してくれたマンションの部屋の隣が、加藤 翔真の自宅だったとは翔真以上に驚いただろう。

 そう、日本魔導機関が用意してくれた部屋が、バーブルーマンションの第七階の七○十一号室だったのだ。

 翔真と優奈は、この時までお互いがお隣に住んでいる事に気付く事すらも一切なかったのであった。

 とまぁ、何時迄も玄関前でこうしてるのも駄目なので、翔真は優奈を自宅へあがられ、それに優奈は素直に承知した。

 そして翔真は優奈を案内してリビングのソファーに座らせ、自分は台所へ行ってお茶の用意した後、ソファー前にあるテーブルへと(優奈の前)に置く。その後翔真は優奈の隣に座った。

 それから互いに黙りになり……現在に至る。


「えっと……お茶用意したんだけど、飲まないのか?」


「っえ! あ! の、飲むわ!」


 取り敢えず黙ってるのも駄目なので何か話かけようとしたが、それ以前に話題となるものが思いつかずにいた翔真は、テーブルに置いてあるお茶がまだ手をつけてはいないと思い出し、それを優奈へ指摘する。

 すると優奈は、ビックリして慌てながらつい強気な口調で飲むと言った後、テーブルに置いてあるお茶を持って急ぎに飲む。

 だが出されたお茶は熱々のお茶であり、薄い湯気が出ている。それを急いで飲めば、


「っあつ!」


「そんな急いで飲むからだよ。熱いからゆっくり飲んでくれ」


「わ、分かったわ」


 言われて優奈は薄い湯気が出るお茶を口でふぅふぅした後、今さっき急ぎに飲む際に運良く火傷にならなかったが、舌を火傷しない様に気を付けながら優奈は飲む。


「ほぇ〜」


 と、優奈の顔が緩み出し、気の抜けた声が洩れる。


「このお茶美味しいわね」


「そのお茶は日本の茨城から取り入れたものだよ。まぁ余りこう言う茶の事は詳しく知らないけど、僕のお気に入り茶でもある」


「へぇ〜、そうなのね」


 出されたお茶の味を好評する優奈に、翔真は出したお茶の農産した場所を教え、且つ自分の好きな茶であると嬉しながら言う。それに優奈は興味を持った様に感心する。


「しかしまぁ、まさか私の隣に住む人が翔真だったなんてね〜」


 優奈はソファーに寄っ掛かりながらそう言うと、


「そうだな。確かに優奈さんって数日前からここに住み始めたって事だから、今日まではよく気づかなかったな。とある意味自分に感心するわ」


「私も同感ね。でも、今日までよく鉢合わせやすれ違いしなかった事が不思議だわ」


「あ、確かに!」


 優奈に言われて翔真は今更に気付く。 自宅の隣、七○十一号室に住むなら絶対にすれ違いはするはずだ。それも数日前から優奈が住み始めたのなら、尚更である。 こうなると不思議に思えてしまう翔真だったが、過ぎた事なのでどうでもいいと切り捨て、気にしない様に振り切った。


「でもこれなら手間が省けるわ」


「ん? どゆこと?」


「だって、また明日からも一緒に探索するでしょ? これなら住む場所も近い、それも隣同士なら色々と時間が有限にできるじゃない」


「……はあぁぁぁぁぁあ!?」


 最初は優奈が何を言ってるのか分からなかった翔真だったが、その後にきた優奈の言葉に最初はまだ分からずだったが、その直後に察して分かり、不意を突かれた様に驚く。

 優奈はまた明日から『白銀の召喚師』の探索へ行く事は当然分かっていたが……まさか自分も同行するとは考えていなかった。何故ならその探索の手伝いは既に達成したのだから。


(……あ!)


 だが、ここで翔真はやっと気付く。探索の手伝いは、何も一日だけとは言ってはいなかった。 優奈から、『白銀の召喚師』の探索を手伝いなさい、と言っていた。いつまで手伝うのかその期間等は言われなかった。

 だとしたら、『白銀の召喚師』が見つかるまで又は日本魔導機関から探索任務を中止されるか、それまで手伝わられ続ける事になるのでは? と、翔真は考えてしまった。


「あの〜、優奈さん。ちょっと聞きたい事があるのでそれを聞いてもよろしいでしょうか?」


 何故か急に敬語になって優奈にそう尋ねる翔真。すると、やはり翔真の言葉よりもその口調がいきなり敬語に変わった事に訝しんだ優奈だったが、取り敢えず聞きたい事とはなんだろうかをまず答える事にした。


「分かったわ。それで聞きたい事ってなに?」


「僕はいつまで探索任務を手伝わされるのでしょうか?」


「やっぱり答えない事にしたわ。その口調をやめてくれたら、答える事にするわ」


「僕はいつまで探索任務を手伝うんだ?」


 言われて直ぐに敬語をやめ再度尋ねる翔真。その翔真が砕けた口調に戻った事に満足する優奈は、その尋ねに答えた。


「それは……それは〜、え、えーと? ど、どうだろう?」


「っえええええ! なにその返し!?」


「だ、だってしょうがないでしょ! そもそもあの時は予想外の事ばかり起こったんだから! 貴方に正体もバレた事もあって先走ったのもあるのよおおお!」


「ちょ、声大きいって! また近所からの苦情が来るから静かにしてくれ!」


「っあ! そ、そうね」


 気が動転して動揺し出した優奈はついカッとなり大声を上げてしまった所を、翔真は静かにする為おさめようとし、それに優奈は気付き言われた通り静かになる。


「ふぅ〜、これで二回目の苦情は来なくなて安心したぜ……」


「ん? 二回目? どう言う事?」


「っえ! あ、な、何でもなーー」


 ――ピンポーン!


 と、優奈からの思わぬ質問に翔真は狼狽えるが、何とかこの質問から離そうと誤魔化そうと言った途中に、七○十二号室のインターホンの音が鳴った。


「まさか!」


 又もや近所からの苦情が来たのだど思った翔真は、直ぐに謝りに行く為、玄関へと向かい、玄関ドアを開けて、


「す、すいません! ほんと、すいません!」


 直後に相手の顔を見ずに頭を下げ謝罪をし出す翔真。だが相手からの反応がない為、顔を上げてみると――そこには、二人の男がいた。

 その二人の男はどうやら翔真の突然と頭を下げ謝罪して来た事に呆気になっている様子だ。だが一方で、


「っええええええ!」


 翔真は不意を突かれた様に突然と驚き出すであった。だが、それは仕方ないのであろう。何故ならその二人の男は世界的有名な人物なのだ。


「ねぇどうしたのよ?」


 と、ここで玄関にて翔真が驚きの大声を出した事により、気になって来た優奈が玄関へと向かって来た。すると、二人の男が優奈へ視線を瞬時に向けた。それと同時に優奈もその二人の男を見て、目を見開いた。


「な、なんでここにいるのですか!? 辰久さん! それと小太郎!」


「元気そうだな、優奈」


「よう、優奈ちゃん!」


 そう、その二人の男は――優奈と同じく日本魔導機関に所属する魔導士、澤田(さわだ) 辰久(たつひさ)江本(えもと) 小太郎(こたろう)であった。

 すでに分かるとおりこの二人は、エスパダへ隠れ潜んでるA級犯罪集団『風ノ忍衆』を排除する為に日本魔導機関から派遣された二人だ。

 それが何故ここにこの二人がいるのかと、翔真と優奈は訝しむ。


(なんでこの二人が? それは確かに優奈さんは日本魔導機関の魔導士で、この二人も同じく所に所属してる。そりゃあ会う事もあるだろうけど。でも)


 どうして僕の自宅に優奈がいる事に気付いたのだ? と、翔真は思った。

 兎も角、二人を玄関前にいるのも駄目なので、二人を自宅へ上がられる翔真。二人はお言葉に甘えて、靴を脱ぎ翔真の自宅内へと入る。

 その後、四人でリビングのソファーへと座る。そして優奈は言った。


「ど、どうして私がここにいる事を?」


 どうやら、優奈も如何して自分の居場所を知っているのかきになっており、それを澤田へ尋ねると、澤田は答えた。


「ああ、それか。優奈が今の任務期間中に住む事になった場所を事前に伝えられてるからだ。俺たちお前に会うため、優奈が住む七○十一号室で来た。だが到着した早々、その隣の七○十二号室からお前の声が聞こえてな」


(なるほど、そうだったのか)


 だから僕の自宅へ赴いたのか、優奈さんがいるから、と翔真は納得する。そして同時に苦情が来なかった事に安堵もする。


「それなら明日でもいいじゃないですか? 二人は今日エスパダに来たばかりですから。疲れてるでしょうに」


 翔真は優奈の言っている事に同感であった。確かに今日にエスパダに上陸したら事や既に夜である為、疲労も溜まってるだろう。だから明日以上から会う方がいいだろう。

 と言っても、明日からも翔真と優奈は探索任務に行くので会うのは難しいと思うが。だが、二人が軽い事を思ってるとは違い、どうやら澤田と江本はそれでもなかった。二人は顔色が真摯であったのだ。


(二人の表情から見るに、疲れを惜しんで会いに来たわけじゃないな。これは、どうやら何か優奈に重要な要件があってきたな)


 と、二人の様子を見て翔真は推測する。だがその推測通り、二人はただ優奈へ会いに来たわけじゃないのである。

 そして澤田と江本の只らなぬ雰囲気により、翔真と優奈は顔を引き締める。そして澤田は言った。


「今回俺達が優奈、お前に会いに来たのは俺達が派遣された事に関係しているからだ」


「っえ? ど、どう事ですか?」


 どうやら、澤田達はエスパダへ隠れ潜んでる風ノ忍衆を排除する為に派遣された事に、優奈が関係しているとの事だ。そして澤田は言った。



「優奈。お前は――――――――――――だ」



 その澤田の言葉に、翔真と優奈は硬直し、愕然としてしまう。 それは、確かに優奈に関係あり、それどころか優奈の身の危険な事だった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ――都市島エスパダ・第七県の某区、とある薄暗い廃工場にて。

 人気が全くしない夜な夜なの星空の下にある廃工場内には、それぞれ緑色の忍服を来た一人の女と三人の男、計四人の者達と……その者達の前で跪く一人の白髪の男がいた。

 跪く男の方は、なぜか真っ青で顔色が悪く身体が恐怖で震えていた。

 そしてその忍服を着た四人の中で一番図体が大きい、黒髪黒眼をし左目に縦傷の痕がある大男が、跪く白髪の男へ言った。


「で、あの女の居場所は分かったか?」


「は、はい! それもう掴んでおります! こ、これがその女の住処です!」


 大男の問いに、跪く白髪の男は震えながらも彼らが欲していた情報を掴んだ事を知らせ、同時にその女の住処の地図を懐から出し、それを大男へ渡した。

 受け取った大男は「ふむ、ご苦労だ」と、跪く白髪の男へ言った。だがそこには感謝の念等は一ミリもない、冷めたものであった。それに気付かない白髪の男は、


「こ、これでいいんですよね!こ、これで、わ、私は解放してくれるのですよね!?」


「ああ、約束だからな。お前は俺達が欲しいあの女の住処の情報を入手してくれたら、解放するとな」


 震え怯みながらそう言う白髪の男。それにその跪いている男へ約束を事を口する大男。

 実は大男を含めた四人と、白髪の男は約束したのだ。と言っても、それは脅迫な者であった。

 白髪の男の職は、エスパダ管理局の局員である。それはつまり、エスパダ住む人々の住所や職業等が管理局のデータベースに登録されている。

 それを知っている忍服の四人は、その局員である白髪の男へとある女の住処を探れと、裏で脅迫したのだ。もちろんそんなのは断固拒否なのだが……受け入れざるを得なかった。

 何故なら、その時にはいつの間にか《白髪の男の体内の心臓付近に殺傷がある風針の術を仕込まれていた》からだ。

 言う事を聞かなければ、命はない。

 それを知った白髪の男は素直に引き受けたのである。それと同時に、言う事を聞けば体内にある風針を解くとも約束したのだ。

 そして今、約束通りに忍服の四人の知りたい情報を渡したので、これで体内にある風針が解かれ自身は助かると、白髪の男は安堵している。


(こ、これで私は助かる。早く、早く解放をーー)


「ああ、解放してやるよ」



 ――バァン!



 突如、廃工場内に銃声が鳴り響いた。

 その銃声は、いつの間にか大男の右手に持つピストルのもであった。

 そのピストルの銃口は白髪の男に向けられており、白髪の男の胸……それも心臓の位置に、ビシュゥゥ――っ!と大量の鮮血が流れでていた。

 そう、大男は白髪の男の心臓へピストルを向けて撃ったのだ。銃弾は瞬く間に白髪の男の心臓を撃ち抜くいた。


「ブハァガァァッ!」


 白髪の男は何があったのか分からず、口から大量の吐血をし、倒れる。

 既に白髪の男は死んでいる。

 心臓を撃ち抜くかれたのだ。

 即死だろう。

 白髪の男は何があったのか分からぬまま、無残に死ぬのであった。


「心臓付近に風針の術を仕込んでいると言ったあれはな? 単なる嘘だ。だがまぁ約束通り、生から解放してやったぞ。感謝しろ」


 既に死した白髪の男へ、大男は後ろへ振り向きながらそう口にする。

 そして大男は、後ろへ座っている三人へ言った。


左門(さもん)楠子(くすこ)比良(ひら)。住処が分かった。明日にでも捕らえに行くぞ」


「やっとですかい」


「これで俺達もファミリー入りできるぜ」


「ああ」


 大男の言葉に三人、左門と楠子に比良が待ち望んでいた事がきた事に喜ぶ。


 彼等は、A級犯罪集団『風ノ忍衆』。

 その構成メンバーは、四人。

 黒眼黒眼の少年の顔立ちの男、名は――左門(さもん)

 長い黒髪と黒眼の女、名は――楠子(くすこ)

 黒髪で瞠目の男、名は――比良(ひら)

 風ノ忍衆を仕切る長、黒髪黒眼で左目に縦傷の痕がある大男、名は――銀次郎(ぎんじろう)


 そして風ノ忍衆の長、銀次郎はここにはいない標的の女へと向けて言った。



「さぁ、待っておれ。明日(あす)にて捕らえに行くぞ。 () 優奈(・・)よ」



お読み下さりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ