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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第3章:異能学園への潜入調査(仮)
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第120話:シャリル・デモネス・デネーナ(下)

二話投降です。

お先に第119話をご覧に。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そして真相が判明した後――アメリカ政府は凶悪に陥った悪魔使いの一族、デモネス家を壊滅させることに判決を下した。

 その任を授かったアメリカ魔導機関暗殺部隊は、人知れず直ちにデルネス市のデモネス邸へと隠密を通して行った。

 そして深夜の間にて、暗殺部隊とデルネス家の悪魔使い達との暗闘が繰り広げられた。

 その暗殺部隊には、当時にまだ12歳だった流介もいた。

 なぜまだ異能が開花したばかりかつ未熟な年頃であるはず子供がたった一人で、その暗闘に参加する形でいるのか?

 常識的に信じられなく、ありえないだろう。

 しかし、その理由は流介の《特殊な家系》に関係している。

 ここで今詳しくは述べることはできないが――ともかく。

 当時、流介もその暗闘に参加していたのだった。

 そしてそこで、まだ何も知らない無知で儚い同年代であろう美しい少女と、暗闘の危機的な最中で出会った。

 それからは―――。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「俺はその時から、必死でその少女を助けるようと、彼女をあの暗闘から逃げ出させるために守りながらデモネス邸から離れた。当時はまだ未熟だったから結構な深手を負ったけど……なんとか誰にも見つけられないだろう安全な隠れ家の場所までたどり着いた。そん時は、連戦による疲労や負傷をしてたことから意識が朦朧として……最後にその少女の泣きそうな顔をみて気を失った。次に目覚めた時にはアメリカ魔導機関所有の病院のベッドの上だった」


 流介は、六年前の出来事を思い浮かべたが……いつのまにか、気づけば彼は当時のことを口に出し語っていた。


「…………」


 そんな彼の過去の語りに、シャリルは表情を隠し、耳を傾け、静かに聞いていた。


「そのあと、あの時助け出そうとデモネス邸から守って逃げ出させた少女のことが気になって、デモネス家壊滅が達成したと報告をされた時に、彼女のことについて聞いたけど……そんな少女いなかったぞって返された。聞けば、デモネス邸から遠く離れた隠れ家らしき場所で、俺はたった一人気を失って横になっていたと伝えられた」


 それを聞いた時、流介はあの少女はいったいどこに行ってしまったのだろうかと、心配で不安になった。


「デモネス家が裏で人身販売で取り寄せた少女だったと思ってたから……本当ならあの暗闘が終わり次第、彼女の身柄をアメリカ魔導機関に預けようと思ってたけど……情けないことに、彼女を逃げ出すことに精一杯だったよ」


 しかし同時はまだ12歳だった故、それもしょうがないことであった。


「退院した後、あの少女の居場所を調べた。けど、結局あの少女の居場所は調べても分からなかった。それどころか、何者なのかも判明できなかった……」


 当時の自分を振り返った影響なのか、流介はやりきれない思いを再び湧き上がった。 が、しかし。 今となってはそれも解消された。


「けど、こうして無事だったと今になってわかって――安心したよ」


 だがそこで新たに複雑な思いもある。

 またこうして必死で助けた少女とあって無事だったことに安心や嬉しさがある。

 しかし一方でその少女が、デモネス家の者だった事が判明し――デモネス家の者を生き残らせたことなるだろう。

 つまり当時の任務に、流介は自分自身も知らず識らずに背いていたということになる。


「………なぁ、シャリル」

「……なん、でしょうか?」

「投降、してくれないか……?」

「…………」

「シャリルが俺が魔導士だとわかってるなら、なぜこうして呼ばれたのか、ここきた目的、大事な話がなんなのか……もう、わかってるんじゃ――」

「――私を捕らえること……ですよね」

「……ああ」


 言わんとしていることをシャリルが早く口にし、それに流介は間の後に唇を噛み締めて肯定した。

 すると――ここに来て思いも及ばない言葉が、シャリルの口から突然と放たれた。

 それは、不可解な事件の事や六年前の参事の事ではない。 かといって投降してくれないかという事への返答でもなかった。

 それは本当に、この状況の中での流介自身も度肝を抜く……いや、あまりにも唐突で、呆気に取られるになる――、


「流介様……私は六年前から、一人の男として貴方の事が好きでした」


 ――好意の言葉、告白だった。


「――っ!」


 ど直球にその想いをぶつけられ、流介が硬直し、呆気になるのは仕方ないだろう。

 あまりにもこの状況には似つかわしくないの言葉なのだから。

 しかしシャリルは、この状況だからこそと思い、更に自分の長年想い続けてきた好意を表すため、もう一度、言葉を伝えた。


「六年前のアメリカ・デルネス市で……あの時、私をあの暗闘の場から逃げたさせて命を救ってくれた事で、貴方を好きになりました。あの時の私は何もわからない無知で、罪を犯した一族の娘である私を――助けてくれて。たとえ、私がデモネス家の血縁者だと知らずにだったしても――私は、自分を救ってくれた貴方に感謝してます」


「――っ!」


「あの時、私を守りながら逃げたせるため行動を共にしていた時、流介様は私にこう言いかけました。『大丈夫、大丈夫だ』――と。その声に、その言葉に、私は感銘を受けました。そして今もずっと」


 自分の豊かな胸元に祈るかのように手を置き、そう言ったシャリル。

 今まで組織から課せられた任務という悪事に叔父は、自分を無理やり手伝わされてきた。

 組織から数々の任務に課せられて動く度に叔父は、断る事が、反抗する事ができないことを理由に自分を無理やり手伝わされて……何度も何度も心が痛み苛まれた。

 本当ならこんな非道な日々に絶望し、自ら命を断とうとも思った。

 しかしそれでもめげずにいられたのは、ひとえに六年前に助けてくれた流介のことを度に思い出し、そして彼が言ってくれた『大丈夫、大丈夫だ』というその言葉の励みが心を支えてくれたからだ。


「けど――だからと言って、悪事に手を貸してきたのはまぎれもない事実です。不可解な現象事件でも関与していたことは変わりません。それにより今まで多くの人を不幸にした罪を償わないといけません」


「じゃあ――」


 投降してくれるかと発しようした直前。


「――けど、ごめんなさい」


 シャリルの唐突なその謝りに遮られる。

 彼女の顔は、いつのまにか悲壮の表情になって――、


「投降することは、できません……」


 そして流介が望んでいた答えとは真逆の答えを示した。 彼女は立ち上がった。それに伴い魔力が放出し、それが悪魔の腕のごとく剣を形成した。


「お願いがあります、流介様」


 そしてその悪魔腕剣ソード・デビルアームを強く握り――流介の目の前に移動し、彼を見据えて。


「――私と、戦ってください」


 告げられたそれに、流介はきて欲しくなった彼女との戦いが来てしまったことに唇を噛み締めた。


次回の最新は6月4日です。

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