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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第3章:異能学園への潜入調査(仮)
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第104話:クラスメイト達との交友

 ◆◆◆



 ーー留学から四日目の放課後。


 エスパダ第七異能学園の敷地は区全体という、広大な敷地である。

 その敷地内は校舎や訓練施設に研究所、また学園行事による異能競技場や森林地など……学園側が所有する建造物や土地の他に……商店街、歓楽街などもある。

 流石に区画全体だとすべてを学園側だけが使うのは無理があり、余りに余ってしまう。

 その余ったスペースを、日々授業に励む生徒達の安らぎや青春など満喫させるために使うことにし、異能とは無関係な、生徒たちが息抜きに楽しめるような、青春を謳歌できるサポート的な意味もこめてその街が設立されている。


 そしてその第五区の店補が立ち並ぶ歓楽街に、その街の飲食店の中でランキングナンバーワンを叩き出した飲食店。

 その店内の奥にある大きなテーブル席にて。

 今日の夕飯も兼ねた食事を取りはじめている男女達。 翔真・流介・雄一・エリアスの四人の男性陣と、優奈・寧々・美友メイヨウの三人の女性陣である。


「っいつつつ……! まだ身体が痛むぜっ」


 と、放課後の異能訓練の際で頑張りすぎたことにより身体へ負荷なダメージの痛みに、大テーブル席で背凭れする雄一が痛みを感じつつ嘆いた。


「今まで頻度に修練して失敗続きだった高位系統な召喚術を、高速召喚で連発で使い続けるからよ。 今の貴方の召喚術の技量じゃあそれは無茶なものだよ? それで身体がもたなくなって、魔力も尽きかけてたんだから」


「嫌でも無茶をしたことで生じた痛みです。 もうあんな無茶なことはしないでくださいよ?」


 そんな痛がる様子の雄一へ寧々、そして美友メイヨウが呆れた表情で言った。

 先の異能訓練では、今までもそうであったと窺えるが、その時はそれ以上に今まで積み重ねてきただろう召喚術の技量をあげるようと頑張りだし、無理をした修練をしたのだ。

 そのせいで雄一の身体が傷こそないが中身はボロボロになったのがわかる。


「あのまま止めていなく限界ギリギリまで召喚術の技量向上の修練をしていたら、魔力暴走が起こるところだったぞ。 授業で習っただろ? 異能力(魔力・霊力)が尽きかけてもなお無理に限界値を越えようとすれば、本人の意思関係なく異能力(魔力・霊力)の暴走が起こり、それで周囲への被害が出たり、また暴走した当人の異能力(魔力・霊力)の器官に支障をきたし、二度と異能が使えなくなるって」


 あの時、既に身体も魔力も限界で尽きかけるところまできたが……それでも雄一は気合いや頑張り、己の精神的の強さで乗り越えようとした。

 しかしその時の彼の体内にある魔力の流れが所々不動になっており、そのまま安定しなくもうすぐ殻になるだろう少ない魔力で続ければ、いずれ……いや、もうすぐと言っていい時間帯になれば、安定しない魔力が暴走を起きかねない。流介は、それらの考慮を忘れないように雄一へ注意した。


「っう、すまねぇ。 もうあんな無茶はしない……」


 寧々、美友メイヨウ、流介の三人からの言葉に雄一は弱々しく返事し、反省する。


「まぁ反省してることだし許してあげな? それより、雄一って召喚術を極めてるんだな。これまでの異能の授業で、召喚術の定義や術式、また召喚儀式など凄え取り組んでたし、知識も他の生徒達以上に上だったし」


 と、反省を色を見せる雄一へ、召喚術に対する頑張りを褒めた翔真。 そんな彼に褒められて雄一は「っへへ、あんがとよ、幸之助」と照れ臭そうに礼を言う。その後、一同はそこで話を止めてそれぞれ料理の品を注文した。


 そして十数分後、頼んだ各々の料理がテーブルに置かれたことで、翔真達は頂きますと、夕食もかねた食事を取り始めるのだった。


 それから暫くして、皆が料理を半分まで食べ終えた頃でーー。


「けど、どうしてそこまで召喚術に力を入れてるのわからないわね。 ただ単純に、一人前の召喚師になるために、精一杯励んでるってこと?」


 と、先ほど中断した話の続きを始めるように、雄一の召喚術に対する頑張りの意識が高いことに感じていた優奈はそう言ったが……それをエリアスが首を横に振って、


「それは違いますね、静さん。 たしかに雄一は一人前の召喚師になるのもありますけど、何より一番は、憧れている召喚師がいて、その人のようなすごい召喚師になることを目標にし、夢みてるのです」


「そうなんですよ。 そのお方に、雄一はそれはもう憧れているんです」


「そうなのよねぇ」


 エリアスの言葉に、寧々と美友メイヨウは微笑の表情で続けて言った。 一方で話を聞いていた流介が、なぜか笑いを堪えるように口を押さえている。


「「……?」」


 流介の様子と、三人の様子に翔真と優奈はどうしたのかと思った直後、


「俺が憧れてる召喚師が知りてぇようだな! なら教えてやろう!」


 話の中心である雄一が、途端に飄々として二人に言い放ち、そして、


「そう、それはーー第三次海域災害から世界を救った英雄、『白銀の召喚師』なんだ!」


 何故か堂々とした感じで教えたのであった。


「ッゔぐ!」


「っゔ」


 雄一の憧れる召喚師が誰なのかと気楽な感じで聞こうとしたが、その名前ではなく異名を聞いた途端。 ドリンクを飲んでいた翔真はむせり、優奈は口にはいっていた肉が喉に詰まりそうになる。

 まさかそこで『白銀の召喚師』が出てくることは予想外だったため、二人とも……特に翔真はかなり動揺してしまった。


(な、なんほど……だから流介は笑いを堪えていたのか……あいつ!)


 と、チラッと睨みつけるように流介を見やると、流介は知らんぷりな顔になっていた。 しかし、口元が不自然に緩んだり引き締めたりしてる感じ、今も笑いを堪えているのだと窺える。 なのでテーブルの下で、流介の片足を踏む。


「っいづ!」


 そして踏まれた足を痛がる流介を放置する翔真の一方で、優奈は「へぇ〜、そうなの〜」と苦笑いしつつ返し、


「そ、それじゃあ他のみんなは将来、どんな異能職に就くのかしら?」


 と、『白銀の召喚師』の話に突入しないように話を少しだけずらした。 そんな彼女に内心感謝しつつ翔真もその話に乗っかる。


「それは僕も聞きたいな」


 無論、雄一は立派な召喚師に、エリアスは立派な狙撃魔導士に……なら寧々と美友メイヨウは? と知りたくもある。


「私と美友メイヨウは異能騎士になるつもりだよ。それも、エスパダ第四異能騎士団に入るために。 ね? 美友メイヨウ


「ええ、私と寧々はかの異能騎士団の団長に憧れていまして……それであのお方が率いる団体に入りたくたいんです」


 あそこは他の異能騎士団とは違って、団員の殆どが女性にかためられており、他の団に所属する異能騎士達や世間からは通常→『花園の騎士団』とも呼ばれてもいる。

 その騎士団の中心にいるーーつまり団長はもちろん女性で、しかも25歳の若さだ。

 エスパダ第四異能騎士団の女団長、"リリラ・エアハート"。

 彼女について何より有名なのは、女性でかためられた理由はだいの男嫌いだから……という性格だ。まぁそれは噂なので実際のところ本当なのかはわからない。 が、ともかく男に対していい思いをしてしないのが有名なのである。


「二人はリリラ・エアハート団長に憧れて、その人の率いる異能騎士団に入りたいんだな」


「うん、エアハート団長は私たち異能学園の女子学生達からしたら憧れの人でね。あの人のような女異能者になりたいっていう女子生徒の異能者が多いの」


「私と寧々は、女異能者ではなく、女性異能騎士としてのエアハート団長みたいにになりたくて……その人とととに人々を平和を守りたいの」


「いいじゃないの。二人ともいい目標や夢を目指してるのね。 いいことよ、それ。 二人が第四異能騎士団の異能騎士になれることを応援するわ」


 そんな二人の夢見る話を聞いて、感激したのか、優奈は二人を心から応援すると口にし、それに寧々と美友メイヨウは「「ありがとう(ございます)」」と言い、彼女の応援を胸に受け止めた。

 雄一、エリアス、寧々、美友メイヨウ

 四人は進むべき道は違えど、確たる夢をもって向かっていく。


(…………)


 なぜだが、翔真は夢に向かって走るそんな彼らに眩しさを感じたのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 そうしてそんな話をしていくうちに翔真達は食事を取り終えて……現在、翔真達は会計を済まし店を出て、学生寮へと帰路についていた。


「そういえばさ、シャリルさんはどうしたんだよ? シャリルさんも俺たちの今回の集まりに誘ったんじゃないのか流介?」


「バカね、雄一。 察しなさいよ」


「そうです。 シャリルさんは色々とお忙しい立場なのですから。 何か大事な用事があって誘いに乗らなかったのでしょう」


「二人の言う通りさ。生徒会長としての仕事があって、18時まで高等部校舎の生徒会室に居残っているんだよ」


「なんだよ、ならしょうがないか」


 前方で流介、雄一、寧々、美友メイヨウの四人のそんな話を後ろから聞いていた翔真は、その話を聞いてシャリル=デネーナという女子生徒の事を考え出した。 彼女については少し不可解なところを翔真は感じていた。


(先の屋上で流介と話している時、シャリルの様子がどこか覚束なかった。 何より最後の話で、悲しい表情になったあの顔も、少し奇妙さを感じた……)


 実は先の校舎屋上へとシャリルからの呼び出しでいく流介の後を、翔真は密かについて行っていた。

 その時に、校舎屋上で二人の話と様子を盗聴系の白魔術も使って、聞き見ていたのだ。

 そして最後の話……不可解な現象事件についての話に、彼女は悲しい表情になったが、その悲しい表情に翔真は言い知れぬ奇妙さが感じられたのだ。

 それは、様々な修羅場をくぐり抜けて来て身につけた勘によるものだった。

 勿論流介から……昨夜の前述もそうだが……彼女には疑う余地がない理由があるのだ。

 しかしそれでも……。

 ーーなぜか、彼女が事件と関わりがあると疑心を抱かざる終えない。


「どうしたの? 翔真」


 と、そこで隣で並んで歩く優奈が翔真に声をかけた。 どうやら考えふけていた翔真の様子が気になったようだ。


「っなんでもない……いや、なんでもなくはないけど」


「……何か考えことしてたのはわかったけどーーもしかしてシャリルの事考てたでしょ?」


「っえ?」


 自分が誰かのことについて考えていたまではいいが……それが誰なのかを当てられたことで、少し動揺した翔真。そんな彼の反応を見た途端、優奈は少しムッとした顔になった。


「あら、その反応からしてシャリルのことを考えていたのね。……へぇ。けど残念ね、彼女は流介に夢中になんだから。 エリアスからその話を一緒に聞いたじゃないの。 もしかして忘れちゃったのかしら? 彼女の外形だけ見て惚れるなんて、ねぇ 」


 ……優奈は何を言ってるのだろうかと思ったが、そのあと直ぐに彼女が何が言いたいのか察し、どうやら勘違いをしているのだと気づく。


「優奈が何を思ってそう言ったのはわかったけど……それはとんだ誤解だよ。勘違いしてる。 シャリルについて考えことをしてたのは勿論だけど、特別な想いは抱いてないし。 それに常日頃から優奈のような綺麗すぎる美人を見てるから、シャリル・デネーナさんの外形が綺麗だからって惚れるわけないだろ」


 呆れた表情で、翔真がそう言った。すると、


「っ! そ、そう……ーーーー」


 途端に優奈はそっぽを向いた。

 その時に、翔真に聞こえない声でポツリと何かを呟いていた彼女。

 何を呟いたのかはわからない。

 ただその際、微かに頬が緩み赤く染めた表情は……はてさて、それは勘違いして気恥ずかしくなってそうなったのか、それともーー。


  こうして、留学から四日目の日は終わった。

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