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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第3章:異能学園への潜入調査(仮)
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第101話:二人の魔導機関長の話と、潜む男

 ◆◆◆



 ーー日本国・日本魔導機関第一庁舎にて。


 最上階となるフロアで、その広々とした豪華な庁舎内通路の奥にある優美な出入り口扉の先…….日本魔導機関長の本・執務室にて。


『協力要請を申し受けてくれて感謝する、柳機関長』


 精密に内装された高質かつ絢爛なその室内の中心。 そこには遠隔式通信魔導具が、上の空間へと四角い窓のような映像を投射している。

 その映像通信に映し出されている人物ーーアメリカ魔導機関長が、礼を言った。

 そして秘書のA級魔導士である清水 矢菜子を側に仕え、日本魔導機関長の柳 志郎は真剣な顔でその礼に応じる。


「いや、当然のことをしたまでだ。それよりーー用件というのはなんだ?」


 柳機関長は早速この場で通信してきた用件を訊くと、


『それは、先ほど私が礼を言った申し受けてくれた協力要請、その任務に関係するかもしれないことだ』


「うむ」


 アメリカ機関長は重々しく答えた。柳機関長が思考深く、唸る。 アメリカ機関長はそんな柳機関長の様子に映像通信越しから見つつ、言葉を続ける。


『現在、我がアメリカ魔導機関所属の佐々木が一年前から今もつつく、エスパダ第七異能学園潜入調査任務。実を言うと、その異能学園に起こる不可解な現象なる事件を私なりに別の方面に調べてみたが……そこで、ある過去に案件と少し関係性あるのではないと考えた末に気づいた。その矢先に、数日前に佐々木からの定時報告で、その関係性が少し高くなったのだ』


 そこで映像通信越しの先に座るアメリカ魔導機関長は、柳機関長と同じく側に仕える従者らしき男から入れた紅茶を一口した後、再び言葉を続ける。


『唐突だが……我が国で暗躍していた一族、悪魔を使役することを生業とする悪魔使いの一族、《デモネス家》を貴方は知ってるだろうか?』


 それは五年前、アメリカのとある街で、その街を裏から暗躍し支配する異能一家がいた。

 それが【デモネス家】だ。

 無論、その事実は一般に知られていない。

 故に街の者達はもちろん、アメリカ政府やその他表の正規組織に知られていない。

 しかし裏から暗躍し支配と言うが、その実態は街に暮らす人達や来訪してくる人達など害はなく、むしろ裏では街の治安を守るために動いていたのだ。

 家名の“デモネス”という名が女性の悪魔ということを意味することや、その一族がもつ異能が悪魔の力を使うことから、嫌悪しか抱かないだろう。

 だが、その一族の者達は善良な人達だったのだ。


 しかしーーそんな悪魔の力を使い、街の治安を守るデモネス家が、ある日突然、守るはずの街を悪童卑劣な攻勢で破滅させようとしたのだ。

 いったい何の理由がかって、また何があって、そうしたのかはわからない。

 しかしそれからくる被害は他の街まで及ぼしかねないこともあり、アメリカ政府は極秘にその一族を壊滅するよう、アメリカ魔導機関の暗殺部隊に任務を与え、そして壊滅させたであった。


「もちろん知っている。しかしそれは五年も前に、あなた方アメリカ魔導機関が極秘にデモネスの一族をもろとも滅ぼしたと聞く。……もしかして、その事件とエスパダ第七異能学園に起こる不可解な現象と何か関係があると見ているのか?」


『あの異能学園に起こる不可解な現象の二つのうち片方から、不気味な気配が度々感じるときく。そして被害にあった生徒たちは、みながみな、悪魔がいると口にするそうではないか。もしかすると、滅びたはずのデモネス家に生き残りがおり、その者がエスパダの異能学園に不可解な現象の事件を起こしているのではないかと、私は怪しでいる』


「何を馬鹿なことを……と言いたいが、根拠はあるのか?」


『貴方もどこかでデモネス家の一族すべでの情報をあらかた拝見したことはあるだろう』


「これでも世間では知られない情報も多数入手している。故に、既に五年前に壊滅し表に知られない悪魔使いの一族、デモネス家の顔も名前も知っているとも」


『なら、今からある写真を見せる』


 言うや否や、アメリカ魔導機関は自分を映り出せれている通信の映像を切り替え、言った通りある写真かその映像に映し出される。


 ーーそれは、学園校舎内の中庭を歩いている教師服を着た男の写真だった。更にもう一枚の写真には、綺麗は女子生徒も映し出されている。


 そんな名も知らない二人が映し出された写真に何があるのかと、側に控えている矢菜子が眉をひそめると、


「……こ、これは」


 柳機関長が、その二枚の写真を見て、呆然していた。 そんな普段からも見ない柳機関長の表情に、矢菜子が目を見開く。 いったい、この二人それぞれ写し出されたいる二人の人物は何者なのかと思った。 そしてその彼女の求める答えが、このすぐ後に知ることになる。


『この二枚それぞれに写し出されている二人の顔を見て、どう思った?』


「デモネス家の者達の顔写真の中で、ある二人の男と女子がいた。 ……その二人と、似ている」


「ーーっ!」


 それを聞き、矢菜子は察した。 柳機関長がこの投射映像から映し出されてている写真に写っている二人を見て呆然としたわけを。 そして、映像通信は再びアメリカ魔導機関長の顔に映し引き戻した。


「もしかすると、この二人がデモネス家の生き残りかもしれないと。 そしてこの二人こそが、今も続く、エスパダ第七異能学園の不可解な現象の事件を起こしていると、見ているわけか。……しかし、この二人がデモネス家の生き残りである確証はないぞ?」


『たしかにそうだが……』


 柳機関長の指摘に、アメリカ魔導機関長は言葉を詰まられる。


「それに、潜入調査中の貴方側の魔導士の報告によれば、敵はカラス・イルミナティの者だ。連中がいったい何の目的で異能学園に潜り込んでいるのかもわからない。不可解な現象を起こし、生徒達へ被害を及ぼすことが目的だとは考えられまい。真の目的は、別にあるはずだ。その敵が、デモネス家の生き残りなのかもしれないにせよ、本当か否か、それはわからない。しかしそれも、今後の異能学園で極秘で調査と探索をする若い二人のアメリカ魔導士とと、二人の日本魔導士、そして協力する外部からの一人の異能者……その五人の者達に任せるしかないだろうが……」


『我が魔導機関の魔導士が一年もの潜入調査で未だ不可解な現象の事件は解決していないゆえ、協力してくている身ではあるが、やはり五人だけでは難関な気もする』


「何も五人だけではない。エスパダ第七異能騎士団も裏から協力してくれてはいるじゃないか」


『まぁ元々、件の事件は彼らエスパダ第七異能騎士団の案件だったことや、異能学園は彼らの守護担当でもあるからな』


「いずれにせよ、貴方がいう悪魔の力を使う異能の一族……デモネス家の生き残りが、この異能学園に潜む敵の正体かもしれないという候補には入れておこう。 またこの事は、異能学園に潜入調査・探索をする魔導士達に通達することにしよう。そしてできればエスパダ第七異能騎士団を率いるクレス団長にも、今以上に協力してくれるよう頼もうか」


『それがいいだろう』


 柳機関長の提案に、アメリカ魔導機関長は頷く。

 こうして二人の魔導機関長の話は終わった。

 そして柳機関長は遠隔式通信魔道具を切る。

 すると投射映像が消えた。


「この事を通達書にかきいれ、優奈達へ届けるように」


「っは! 承知しました」


 柳機関長の命令に従い、秘書の矢菜子は退室したのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 一方その頃ーー。


 夜で、場面はエスパダ第七異能学園のとある校舎の某所にて。


 そこで夜の闇に紛れ込んでいる一人の男がいた。

 その男の服装は、見るからに教師服を着ていた。

 そして男は、特別性にできたタブレットに読み通していた。

 それを読み進めていくとともに、その男の表情は嫌々な顔になってゆく。


「親父殿から新たに入ってきた情報を見てみれば……」


 そのタブレットの画面には、カラス・イルミナティの三大幹部組織の一角であるペティル・ファミリーの頭領のして『鴉公カラス・デューク』からの情報の内容がかかれてあった。


「っふん! オレを暴き出すために、魔導士達が潜入してきたか。だがもうすぐ目的が達成される。それまではひたすら隠れ潜ませてもらおうか。 っふ、っは、ははははははは!」


 鼻で笑った後、蔑むような高笑いするその男は、タブレットの電源を切り、歩き出す。


「もうすぐだ、もうすぐで目的が……あの異能兵器・・・・が完成するんだ。そして、それをアメリカ全土に……っふ、ふふふふ、ははははははは……!」


 アメリカの末路を想像するだけで嗤いがおさまらない。

 暫くの間、そうして笑ったーー最後。


「…………」


 その男は、


「憎っくきアメリカ政府に、鉄槌を……!」


 突然と憎悪に満ちた顔で、その言葉が夜の闇へと放たれたのだった。


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