第98話:流介の級友達
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結局のところ、なぜ自分には魔力と霊力ーーどちらの器官も身体にあるのか一向に考えも考えても分からなかった。
わからなかったので、考えても仕方ないと割り切ることにした翔真は、再び授業に集中。
それから時間が過ぎてゆき、そうしてチャイムが鳴って一時限目の授業は終了した。
ーーそして1時限目後の休み時間にて。
翔真と優奈の席の周りにクラスメイト達が集まりだし、次々と二人へ話しかけた。
質問タイムでは聞けない事や、二人は留学する前は何処の異能学校に通っていたのか、また二人は何処にすんでいるのかと質問もしてきた。
無論、偽造工作でできた履歴書の通り、それらは嘘の情報で答え、何とかやり過ごす。
そうして押し寄せてくるクラスメイト達の対応をするが、そろそろ鬱憤や疲れが感じた二人。
「ど、どうしようか」
「う〜ん」
と、困惑する表情がではじめた二人の腕を掴む生徒がいた。吃驚した二人は掴んだ生徒が誰か見ると、流介だった。
「いくぞ!」
「っおわ!」「っうわ!」
二人がこちらを見てきた途端、流介は掴んだ二人の腕を引き連れて、群がり騒ぎ煩いクラスメイト達を押しのけて一目散に教室から出た。
「「「「「「っあ!こらまて流介けぇぇ!」」」」」」
「「「「「「流介!二人を何処へ連れて行くつもり!」」」」」」
一目散に出た教室から、クラスメイトの男子達と女子達の不満な声が木霊したのだった。
そして二人を引き連れる流介は、そのまま突き当たりを曲がり、下へ続く階段を降りる。
3階から2階へ、2階から1階へと降りる。
一階の廊下には誰一人いないと確認した後、階段の隣にある予備の机や椅子の置場で立ち止まり、
「二人とも大丈夫だったか? 流石にあいつらの質問責めには苦痛だったろ」
と、翔真と優奈へ心配した声をかけた。どうやら流介は二人を助けるために無理やり引き連れて、ここに連れてきたようだ。
「まぁな。助かったよ、ありがとな」
「そうね。お礼を言うわ、ありがとね」
翔真と優奈は流介へお礼を言う。と、その直後、
「っあ、いたいた! おーい流介と留学生のお二人さん! 」
階段の段差の真ん中で手摺りから少し乗り出し、三人へ甲高い声……活発そうな可愛らしいその声でかけた女子生徒が現れた。 更に後から三人の男女生徒も現れる。どうやらあとをつけてきたのだろう。
「寧々か。それに雄一、美友、エリアスも」
声をかけてきた女子生徒含め、四人の同級生の名前を呼ぶ流介。 その四人のうち一人である雄一と目があった翔真は軽く頭を下げ、それに応じて雄一も満面な笑みを向けた。
「ま、お前らを二人に紹介するつもりだったし、今が丁度いいか」
そして流介は四人を翔真と優奈の前に並び立たせ、
「幸之助、静さん。この四人が俺がいつも連んでる友達だ。もう知ってる人もいるけど一応紹介するな。 最初に声をかけてきた活発な女子のこいつは斎藤 寧々。で、こっちがエリアス・オルコット。その隣にいる女子が李 美友。最後に体格がいいバカそうなこいつが近藤 雄一だ」
偽名で翔真と優奈を言い、そして順をおって四人を紹介した。 それに反応するように寧々は「よろしく!」とVサインし、エリアスは「どうも」と物静かで、美友も頭を少し下げつつ「よろしくお願いします」と同じく物静かでご丁寧で……三者三様が挨拶をした。そしてーー、
「っおい! 誰がバカだ! だれが!」
最後に悪口をつけた紹介をされた近藤 雄一が流介へ文句を言い放つ。
とはいえ、本気でそれに怒ってはなく、友人による冗談や巫山戯の類によるものなのですぐに気を取り直し、
「では、改めましてのよろしくな!」
ニカニカと満面な笑顔で雄一が最後に挨拶したのだった。
その後、翔真達は休み時間が終えるまでの間、流介の級友達と高校生らしいトークを交わした。
最近話題になったアイドルや、流行りの服装や髪型のファッションなど様々だ。
そんな折、会話は互いに魔力と霊力のどちら持ちなのかという話へ傾いた。
「四人は魔力と霊力のどっち持ちなんだ?」
「僕と雄一は魔力で、寧々と美友は霊力の異能者です。 幸之助と静は?」
翔真の質問に、エリアスが答えた。ちなみに短時間の会話をしていくうちにみんなそれぞれお互いに呼び捨てに呼ぶことにした。
「僕と静は雄一とエリアスと同じで魔力だよ」
と、翔真は返した。だが内心では『霊力持ちでもあるけど……』と呟くが。 するとその後に「あ!」っと何か忘れていたことを思い出したかの風に声を出した寧々が、
「忘れてたわ! 流介、あんたへあてのシャリルさんから伝言がきてるよ!」
「伝言?」
「ええ。 シャリルさんが放課後の16時になったら直ぐに第一校舎の屋上に来てくだーー」
「ーーよしわかった」
「即答かよ!」
寧々の口からシャリルの伝言の最後の部分の言葉を遮って即答する流介に雄一が突っ込む。
「当たり前だ! 美人のお呼び出しとあったら行くに決まってるだろ!」
「……たしかに」
「「(ッギロ!)」」
「ッヒィ! そんな目で睨むなよ寧々、美友! こえーよ!」
流介の堂々とした宣言に同意した雄一に、寧々と美友は同時に睨みつけた。
雄一は怯えつつ二人の睨みを止めようと言うが、二人の様子からして睨むのはやめないようだ。
そんな場面を見た翔真と優奈は、三人を生暖かい目で見ているエリアスへ、
「ねぇ、もしかしてだけど寧々と美友って……」
「まぁすぐにお分かりになると思いました。はい、二人の察しの通りで雄一に異性として好意を抱いていますよ」
「っあ、やっぱりなのね」
「結構雄一ってモテモテなんだな」
「バカっぽく見えますけど、雄一は結構男前なところがありますから、寧々と美友はそこに惹かれたって以前に言ってました。っあ! 彼の様子を見てわかったと思いますが、雄一は二人の好意に気づいてません。美人や可愛い子好きなのに、自分への好意には気づかない鈍感さんでもありますから」
「なるほど」
「っあ! ちなみ……というより、二人からしたらこっちの方が驚きかもしれませんけど、この異能学園きっての美女と名高く、うちと同じクラスにして生徒会長のシャリルさんは、流介に惚れていますよ。ちなみに流介も恋愛面で自分に向けてくる好意に鈍いようで、シャリルさんから好意に気づいていません」
「「……はぁぁ!!」」
エリアスの口から放たれた衝撃な事実に、翔真と優奈は度肝が抜いた。
しかし同時に二人はこれで合点がいったと納得する。
それは、シャリルが優奈を睨んだ事だ。
おそらくシャリルは優奈が流介に近寄る恋敵と認識しているかもしれないということだ。
しかし一つだけ納得いかないところもある。
それは翔真にも時々好意的ではない冷めた視線を向けていた事だ。
だが今ここでそれを考えてもわからないので、二人は一旦頭の隅に置く事にした。
(それにしても、流介があんな美人に好意を寄せられているなんてな……)
翔真は雄一達三人の枠に入って珍しく宥めようとしている流介を見る。以前に優奈という美女と自宅が隣なのが羨ましいと喚いていたが……
(お前もお前で羨ましい思いしてるじゃん!)
と、翔真は妬みが含んだ愚痴をこぼしたのだった。




