表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第1章:舞い戻り召喚師
1/127

第1話:加藤 翔真

 

 ――ピコンピコンピコン、ピコンピコン!!


 店内の出入り扉が開きなる、チャイム。


「どうも、ありがとうございました! 又のお越しを!」


 コンビニエンスストア、略してコンビニ。そのコンビニ店内のレジにて。

 買い物の代金を支払い店から出て行く客へ、お礼を言うコンビニのアルバイト員の青年。

 傍から見る彼は、誰もが上の上と判断するだろう非常に整った顔立ちで、また、輝く金色の髪と鋭い碧眼の瞳が印象的な美青年であった。


 年齢は18歳で、名前は"加藤(かとう) 翔真(しょうま)"。


 彼、翔真は客へお礼を言った後、腕時計を見る。

 すると、そろそろアルバイト時間終了まで後数分だと分かり、彼は店内奥側にあるコンビニ店員だけ入れる室、更衣兼休憩室へと向かう。


「すいませーん! アルバイト時間終了しました!」


「おお、ご苦労さん! 明日と明後日は休みだから、三日後の月曜日に会おうな!」


「はい!」


 コンビニ店長の元気な言葉に、翔真も元気に返事をする。

 そして翔真はコンビニへと来てアルバイトする前に着いていた私服へと着替え、コンビニ店員とさよならの挨拶を交わした後、コンビニから出るのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 この世界では、【異能(いのう)】と言う概念が存在する。

 異能とは、不可思議な現象を起こす、超現象な力。

 異能は様々な力があり、例えばーー無機物を操る者だったり、念話を持つ者だったり、動物と会話出来る者だったり、分身を創る事だったり、数キロメートルよりも先を見えるものだったり、中では殺傷・戦闘などに特化した異能もあり――多種多様な異能が、数多くある。

 この異能を駆使する者達を総称で【異能者(いのうしゃ)】と呼ぶ。

 そして地球の太平洋中心に、異能技術と科学技術により人工的に作られた大きな島があり、その島の面積は日本の関東地方の面積とほぼ同じである。

 その島全体が大都市であり、名前は【都市エスパダ】。

 一般では都市は抜いて、『エスパダ』と呼ぶ。

 そのエスパダは、都市の名前を数字で県で更に細かく区で決められている。

 第一県〜第十県で、その一県内で第一区〜第十区に分けられている。

 また、県区を一般では数字で決められているが、県区は一つ一つが別名があり、区で例えば住宅区や商業区等である。

 そしてこのエスパダでは、別名で【異能者育成都市】とも呼び、異能者を育成する為の都市島でもある。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ――都市エスパダ・第七県の第七区(市街区)の道路にて。

 コンビニから出た翔真は、そのまま真っ直ぐへと続く道路を暫く歩いて行くと、数多くの人々と多くの車やトラックにバスなどの乗り物が通る、交通道路に出る。

 そして反対側の道路へと移る為、横断歩道前で翔真は信号が変わるのを立って待つ。 その間、その近くでは、不良らしき2人がスマホをいじりながら楽しそうに会話していた。


「おい、やっぱりこのエスパダにはいないじゃないかい〜?」


「いーや! いるねっ! このエスパダの何処かに隠れて暮らしているに違いないぞ!」


「でもさ〜、あんなの迷信じゃないかい〜」


「馬鹿だな、お前! あの伝説は迷信じゃない! 真実なんだよ! 海の終世怪獣(しゅうせいかいじゅう)をたった1人で倒して、俺らが住むここ、エスパダが位置する太平洋の崩壊の危機を回避させた『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんし)』は実在するんだよ。それに……ここだけの話だが、噂じゃあこの第七県の何処かに住んでいるらしいんだよ」


「え! まじか!」


「馬鹿声でけぇよっ……!」


 この不良らしき2人の会話の声音は、付近にいる人達へ丸聞こえであったようで、付近の人達は興味津々に不良らしき2人に意識を向けている。

 また中には、尊敬や英雄視の他に崇拝といった感情でさえ向けている者もいた。

 当然である。

 その伝説の異能者である『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんし)』、この者はこの人工島である都市エスパダの英雄として崇められ、今では象徴なのだから。

 そしてその付近にいた人達の中で、翔真も話を聞いていた。


(伝説……『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんし)』、ねぇ……)


 そう心の中で呟いた翔真の表情は……何処か苦痛や後悔といった感・・・・・・・・・・をにじませていた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ―――『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんし)』。

 彼が英雄として有名になったのは、2年前に太平洋全域で起きた第三次海域災害のときのことだ。

 第三次海域災害で、太平洋の海は荒れに荒れまくった。

 その大海の荒れ具合はアメリカ大陸を沈めてしまうのではと人々に恐れ怯えさせる程で、世界でも未曾有の災害となった。

 太平洋が崩壊しそうなレベルの海域災害だった。

 そのような事態が事実、起こっていたら。

 世界の均衡は崩れさり世界は滅んでいただろう。

 そんな崩壊の危機にあった太平洋は、1人の異能者によって守られた。

 その異能者は第三次海域災害を引き起こしたとされる"海の終世怪獣(しゅうせいかいじゅう)"を倒し、崩壊を止めさせたのだ。……たった1人の力で。

 そして太平洋は崩壊をまぬがれ、世界の均衡が崩れることはなく、人々が平穏に暮らす日々が戻って来た。

 世界中の人々を絶望から希望へと救い上げたのだ。

 だが、その者、第三次海域災害を止め世界の英雄へとなった者は、世界を救った後日――突然姿を消したのだ。

 もちろん世界中の諸国は必死になって探索したのだが――結局は見つからず、諦めるのだった。

 その後、第三次海域災害から世界を救った者は年齢や性別までは分からなかったものの、

 その時にキラキラとダイヤモンド宝石の様に輝く白銀の髪と瞳し、

 数万もの絶大な力を持った召喚獣や武器を駆使して終世怪獣と死闘したとの事により、

 その英雄は、『白銀(はくぎん)召喚師(しょうかんし)』と英雄名が名付けられた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



(お、信号が青だ。行くか、彼奴(あいつ)との待ち合わせ場所へ)


 と、考えながら、信号が青になり横断歩道を渡る翔真だった。

お読み下さりありがとうございます!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ