14・江戸川区編11・ユーカイナ
「まぁ迷ったよね!!」
何時間歩いただろう。歩いて歩いて歩いたよ!ケゲンくんの事を想いながらー!!
「ちょっお前ホントよぉ・・・」
「いやいや顔が怖いよーお嬢さん♪」
本気で拳を振り抜いた。
「うっあ!やめてやめてやめて!ナカガワザト怪我しちゃうじゃん!」
「しろ!!」
「案内してもらってるのに偉そうだなぁ〜」
ここで正論言いやがって・・・・。
「ナカガワザトもここには連れてこられたからよく分からないんだよー」
連れてこられた?どういう事?それは誘拐?
イヤイヤイヤイヤまた悪い方へ何か転がっているような気がする。
このビルの迷宮街で初めての江戸川区に来た外人と誘拐された人。
どんな組み合わせだよ!
恐る恐る聞いてみた。こういうのは怖かろうが何でも聞かずにはいられない性格なんです。
「それは誘拐って事?」
「んーそうだね、ナカガワザトなんて誘拐しても状況変わらないのにねー」
ねーって言われても全然分からんわ。
そんでもって本当に誘拐だったよ!
「それでねそれでね!逃げて来た!」
「そう・・・ですか・・・」
「アレ、急に距離を感じるなぁ」
「イエ・・・そんな事はないですよ」
「アレ、敬語だぞ?」
ナカガワザトというこの人は何でこんなに陽気でいられるんだろう。
この状況で。
私よりヤバいじゃないか。
「・・・・怖いとかないの?」
歩みを止めず進みながら話す。
「怖いよ。でもナカガワザトはしなきゃいけない事があるから。その為のリスクみたいなもんなんだよ、今回のも。それに怖い時、暗い時とかに怖い暗い言ってもしょうがないでしょ〜」
ニッと笑う。
確かに・・・・。
怖かったり、痛かったり、暗くなったり、恥ずかしかったりと人の自分が嫌になる感情というのはたくさんある。
それの原因となったものを解決して、その感情をなくそうとするが、解決前悶えてる時にフッと考えてみる。
何で怖いんだろう、何で痛いんだろう、何で気分が暗くなってるだろう、何で恥ずかしいんだろうと。
元の元の元まで果ては人体の仕組みに行くまで考えてみると不思議とその感情が出なくなったりする。
そして冷静に物事を見る事が出来るようになる。
人間なんて不完全だ。なのにどうして見えを張りたくなる。良く見せたくなる。
まずは感情を認めて考える所からだ。
今回の出会いも一緒。話さなければこの人を殴って終わっていた。
「アレ、お嬢さん今・・・・」
「お嬢さんやめて。あーソヨコ・ショウノです。ソヨコで」
「ムフ〜!リサ・ナカガワザト!どっちで呼んでも良いよ!!」
満面の笑みでリサ・ナカガワザトが言う。
初めて聞く名前じゃないような・・・・とういうかリサ?リサ!?
「女の子なの!?」
「ナカガワザトは生まれた時から女の子だ!!」
読んでいただきありがとうございます。