11・江戸川区編8・マイナスデ
コンクリート造りのビル。ボロボロで何処もかしこも欠けていたりヒビが入っていたりしている。
人が居なくなると建物というのはすぐにこのようになってしまうらしい。
余計に薄暗く感じるビルの中を進む。階段を上がり、屋上を目指す。屋上に何がある訳じゃないけどとりあえず。
階段の手すりの錆びが掌に張り付く。ザラザラと音を立てて落ちていく。人どころか小動物も虫もいないんじゃないかと思う程の静寂。
音も光もないビルを暗闇の中手探りで上へ進む。
屋上。
何もない、ヒビ割れたコンクリートの床、錆まみれの手すり。
中とさほど変わりはない。何処にでもあるような廃墟の屋上だ。
ここから周りを見ても何も見えない。光1つない。
怖い、恐い、こわい、コワイ。
その感情だけが脳を支配した。
一気に不安の塊になる。
ケゲンくんに会いたい!
その事と暗い感情だけが頭の中を廻る。
ケゲンくんは大丈夫なのかな!?
怪我してないかな!?
もしかして・・・・!?
その先は考えるのは止めた。
私はその場に座り込んだ。
膝を抱えて丸くなる。
その上から暗闇に包まれてるようだ。
どうしたらいいんだろう!?
どうしよう!?
どうしよう!?
どうしよう!?
風が濡れた服に当たり私の体温を奪っていく。
マイナスマイナスマイナスマイナスマイナスマイナスマイナスマイナス。
そしてそのまま朝を迎えた。
私は冷たくなっていた。
読んでいただきありがとうございます。