プロローグ
矛盾などありましたらご指摘お願いします。
その他、激励失跡アドバイス、コメント何でもいいのでよろしくお願いします。
貴方他の一言で頑張れます。
剣同士が激しくぶつかり合う音が俺の耳を刺すように響く。
俺の握る剣の向こう側では、こちらと同じように学校の備品の剣を持って鍔迫り合いをしている貴族のおぼっちゃまのグリン。その瞳は負傷した獣を発見した狩人のようにぎらついている。
「せや!」
俺は何度か打ち合ってグリンの大振りを誘い、下からのかち上げで反撃に出た。あわよくば、こいつご自慢の金髪でウェーブのかかった前髪を1房狩ることができればと考えたが、思い通りにはいかない。それでも本命の、あいつの両の手から武器を上空へと跳ね上げることには成功する。
しかし、向こうは剣を手放した瞬間に躊躇わず後退の動きに入っており、今振り下ろしても剣は届きはしない。俺は距離を詰めるため――前に出る。
「舐めるな!」
怒声を発したグリンはバックダッシュをしながら、右手――金字で幾何学模様が描かれている白のグローブをはめている――を俺に向け、唱え出した。
「音よりも速く出て、穿たまえ。サンダーアロー」
詠唱を耳にした瞬間、俺は追撃を止め後方への回避行動を取った。乱暴な着地で土が削れるが、勢いを殺し静止に成功。グリンの指先から生まれた光は先ほどまで俺が立っていた位置を、超高速、見てからでは回避できない速度で通り抜けていった。距離をとって観戦しているやつらの歓声が大きくなった。
距離ができたのをいいことに、向こうは右手を掲げ、先ほどより長い呪文を唱える。詠唱を邪魔できる一撃は俺にはなく、次の一撃の対策のため身構えた。
「風の精霊よ、力を貸したまえ。獅子よりも速く我を動かせ、ドレスウィンドウ」
グリンに風が纏わり、髪が逆立ちだした。2,3度ジャンプをしてステップを刻むと歯を見せながら笑みを浮かべてきた。
「ははっ、行くぜ」
次の瞬間、俺の視界の右端に見切れたものが映り込む。グリンを視界の中心から逃した。
考えるより先、反射的にガードの体制に入った俺の腕に重い一撃が与えられる。
「っぐ」
痛みに顔を歪めながらグリンを再び視界に捉える。右足が浮いているところを見るに高速移動からの蹴りの一撃が加えられたようだ。
「終わりだな!」
グリンの右手から再び電撃が放たれる。俺は回避できず、その光をモロにくらった。
耐えられぬ痛みで俺はグラウンドに倒れ込む。立ち上がろうとしても体がいうことを聞いてくれない。
「そこまで! 勝者グリンフォード・ミレナセオ。負けたジューダスは放課後、校庭10週のバックダッシュを命じる。その後はワシの鍛錬場にこい」
試合終了を告げるドワーフの初老の教師、モーラス先生をなんとか顔だけ上げて視界に捉える。
「ま、まだ・・・・・・」
やれるという続きの声はクラスメイト達の歓声にかき消された。
「ジューダス・バニストン。連勝記録を更新していくぅ!」
「さすが敗北王、またまた連敗記録更新。とどまることを知らな~い」
その言葉を否定しようとしても、グリンは観客達の中に入って既に戦う状態ではない。俺は・・・・・・また負けたのだ。
魔力さえ、魔力さえあれば俺だって負けないのに。羨望と嫉妬で俺の両手は土を力の限り握り締めていた。
『敗北王』この不名誉な言葉が俺につけられたあだ名だ。