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ばたばた
朝。
いつものようにカーテンを開け、掛け布団をいきおいよく蹴って立ち上がる。
自分の身体に僅かな違和感を覚えつつも、俺は立てかけてある鏡を覗いて――
「――な、な……」
聞き覚えのない声が聞こえる。甘いソプラノボイスは家族や知り合い、ましてや――自分のものでもない声なのに。
「どうして……」
不思議なことに、その聞き覚えのない声はまるで自分の声のように頭に響いて。
「――」
鏡の前に立った俺は、自分をまったく同じ仕草で見つめ返す美少女を認めるや、絶叫した。