表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/29

.13

掴みかかろうと伸ばした左腕は、一呼吸置いて崩れ落ちる。重い(かさぶた)が剥がれ、そこには“普通の腕”があった。

「──ぁ…」

まるでおさまる様子を見せなかった熱が、一気にさめて行く。同時に酷い脱力感を得て、ケイスは刃が食い込んで行くにも関わらずそれに身を預ける。

「残念だったわね。戦い馴れてないキミに負けるほど、私は弱くないわ」

威嚇するように柄の無い剣を浮游させる。形勢を逆転し、少女は勝利を確信した。檻状の刃以外の武器を消し、ケイスに近付く。愛しい者を撫でるように、少女は彼の頬に触れる。その手は氷のように冷たかった。

「あなたが別の血筋に生まれていたら……いえ、だからこそ私は惹かれたのかもしれな──ッ!?」


少女は咄嗟に"それ"を回避した。

先程まで彼女が立っていた場所に、鉛弾が食らい付く。

少女の言葉を遮ったのは、一発の、いや。“二発”の弾丸だった。速射ではなく、同時に放たれたのだろう。

「…誰?」

弾道を詠み、射手を睨みつける。その瞳は既に人間的な光を放ってはいない。そこにあるのは暗く、深い闇そのものだった。純白のドレスより、それは彼女を印象づける。が、その視線すら何処吹く風と、その存在は淡々と話し始めた。

「名乗らずとも察しはつくでしょう?剣使い(チャンバラ)」

人気の無い路地では、五階建ての建物の上にいる"彼女"の声でも鮮明に聞き取れた。否、何かしら不思議な力を使っていたのかもしれない。

月光を背に、二挺の銃を構えた少女が言った。

少女は、ケイスと同じ学校の制服を纏い、“銀色の銃”を構えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ