2-2 初めての神社
ベルモートです。体調を崩して、投稿がいろいろズレてしまい申し訳ございません。
これからも作品を投稿していきますので、応援よろしくお願いします。
この作品を読んでくださっている方に感謝を申し上げます。
コールは首をかしげ、手を顎に当てる。彼はいまだ納得できずにいたのだ。
「わからない。神が”いる”?」
そのネバネバした思考の中で、コールはなにも見つけられず、ただ頭が茹だってしまう。
それは脳内に浮かぶ霧の中を彷徨うようだった。
突然、店の男が大笑いを始めたのが、その空間を決壊させて、もとの日差しが照りつける湿気たっぷりの場所に引きずり込んだ。
「ははは!最高だなその顔」
「~~!。俺がめずらしく真剣に悩んだのに!邪魔すんな」
男の態度に対する怒りはミネルの実の汁が服についたのや、神が”いる”という不可解な言動も記憶から飛ばしてしまった。
「もう二度と来ないからな!」
「あー待て待て、待てってば!久しぶりに大陸の奴が店に来たんだ、大陸の話くらい聞かせろよぉ~”飯くらいは奢るから”」
コールは後ろを向いて立ち去ろうとする動作を一時停止する。
(待てよ、今俺が持ってる金は銅貨で1000テオくらいだ、これだと一週間生きれるかどうか…少しでも節約するためにこれに乗ったほうがいいんじゃないか?)
コールは今までで最高の笑顔を作って、手揉みをしながら素早く振り返る。
「いやぁどうも、実は大陸の方でいろいろ面白い噂とかを仕入れてきたんで、ぜひ聞いてもらいたいんですよ!あなたの神についての話もとっっっても面白いんで、できれば”お食事をしながら”お話を伺いたいです!」
「手のひらクルクルすぎだろ。お前の笑顔もなんか気味悪いし…やっぱこの話はなかったこt…」
「いやいやいや!そう遠慮なさんな!ぜひ!ぜっっっひ!聞いてももらいたい話があるんですよ~」
「お前は遠慮がなってないし、遠慮について言うのは俺だぞ」
男は少しため息をついた。
「まあいい、せっかくだからな。帰るにはちと早いが、店を閉めるか」
男は底がまだミネルの実で完全に隠されているカゴを手にとった。
─────
白い石で作られた大通りは西に傾き出した太陽の横殴りを食らって、その反撃を大通りの通行人たちに浴びせていた。
その中で、日焼けして黒くなった肌、ぽっちゃりした体の男が荷台を引いている。
いつもと同じような光景だが、普段とは違うところがあった。
それは痩せ型の水夫で、荷台を引く男の後ろでヨロヨロしながら追っていることだった。
「アツイ」
コールは必死に歩き続けていたが、一方の男はコールの前で平然と荷台を引いている。汗なんて少しも見れない。
コールは俯いて自分の影を追いながら、目の端に映る服のオレンジ色のシミを見つける。
それはコールの汗で滲み、甘ったるいベトベトの感覚が肌に伝わった。
コールは男に言う
「おい、まだなのか?というか島の中心から離れているんだが」
「全くその口の聞き方は何なんだ?さっきの態度とは大違いだ。もうすぐだ、ほら、アレを見ろ」
コールは何とか首を持ち上げて男の視線の先を見た。
そのまま歩いて、
そして完全に周囲が開けたとき、
コールは立ち止まってしまった。
前方が一気に開けた。
青々とした草が脚のすねくらいまで伸び、それがずっと続いていた。
奥に水色の海が入り江となって配置されている。
風が吹いた。
草は活気よくサワサワとなびいていく。
光が反射したりしなかったりする。さざ波が来て、それは奥に見える水色の海も同じだった。
青い空はこの景色と完全に同居していた。
服が捲れる。
柔らかな風がコールから服を引き離そうとする。
風は服の代わりに汗を拭き取っていった。
涼しかった。
耳がゴウゴウと音を響かせ、風の圧力を感じさせる。
コールはいつの間にか曲がった腰ではなくなって、背を真っ直ぐにした。
付属物のように扱われていた肩に力が入って、胴にまっすぐにつけている。
綺麗だと思った。
前の男が荷台を引く手を止めて、コールに振り返った。
「どうだ?いいだろ」
コールに意識を取り戻した。ほうけた顔に力が戻ってきた。
「すげえ…。」
男は誇らしげになって、嬉しそうにコールの言葉を聞いた。
「そうだ、そうだ、いいだろう。」
男が前に向き直る。
「さあ来い!飯を食わせてやる。」
─────
男はその赤い門の前で止まった。その門の上の方に目線を合わせる。
コールが後ろにいる。
「これは”鳥居”というんだ」
「鳥居?」
「そう。人と神の境界線とも言える。お前も俺を真似て入れ。」
男は鳥居の右側に寄り、ゆっくり、そして大きく頭を下げてから鳥居をくぐった。
コールも右側に寄って、頭だけを少しだけ前に動かしてそれに続いた。
鳥居をくぐると今まで感じなかった圧力を感じる。それは暴力的なものではなくコールを包むような感覚があった。
道は灰色を帯びた石畳になっていたが、コール達は道の上にいなかった。
道の脇に石で彫られた犬っぽい何かが向かい合うように配置されて、道の中心を睨み続けている。
驚いたことに、この豪華な石畳の先はそのまま海になっているのだ。
「中心に神殿がある」という常識では、なにかゴワゴワした違和感を感じる。
堂は道の右の離れたところにどこか無骨さを感じさせながら鎮座していた。
コールの眼の前の男は大きな声で呼びかけた。
「蔵之介、ただ今戻りました!」
しばらく沈黙が流れたが、境内から眠そうな女の声が聞こえた。
「……蔵之介?もう戻ったのか、何かあったのか?」
「大陸からの客人です。少し最近の大陸について知りたいと思いまして。」
また沈黙が流れた、さっきより長かった。
「そうか、まあ、おかえり、さっさと上がりなさい」
蔵之介と呼ばれたこの男は荷台を引いて本堂の裏にそれを置きにいった。コールもそれについて行った。
背の高い木がはやされた境内は少し涼しかった。




