1-1 大陸から島へ
処女作です。温かい目で見守ってください
雲一つない、晴れ
大海原を3隻の貨物帆船が進んでいた。
彼らはフェルニ・レボル共和国に所属している船だ。
一般に共和国と呼ばれる彼の国はこの世界で最も商業が発展した地域で、大陸と、それに敵対する島々の交易を取り持っている。
大陸で最も力がある国、帝国は敵対する島々の存在を認めていない。
帝国の人々が島々に行くことは禁じられているし、そもそも島々の存在すら知らない者が多い。
しかし、これを逆手にとり、共和国はその膨大な商業艦隊を互いの間に走らせている。
そして今現在彼らが運んでいるのは鉄鉱石。
帝国領には鉱山があり、島々の市場価格よりはるかに安く取引されている。
一方島々では、いまだ砂鉄を原料にしているところがあるらしい。
その船の一隻で、親方が新入りに言った。
「よお坊主、お前大陸出たことないだろ」
「はい」坊主と呼ばれた16歳になったばかりの男は、親方の顔を見あげながらまだ幼さがある声で返事をした。
「ははあ!そうか、そんなら”アレ”をしておかんとな! こっちに来い」
親方が坊主を船のへりあたりに移動させた。
海が波打ち、坊主を飲み込まんとしている。
「おーし、みんなこい!!」
甲板上では水夫が親方の声にすぐに答えて彼らを囲むように群がった。
そこに来た者たちは”アレ”の経験者だから、これから何が行われるかわかっている。
でも口には出さず、大半がニヤニヤし、ある若い水夫はおどおどし、あるものは信心深く目をつぶって神々に感謝を伝えていた。
坊主はこれから起こるであろう”なにかえげつないこと”に悪寒を走らせる。
「よし、一斉に行くぞ!!」
全員が息を吸う
親方が坊主の襟に手をかけて―――
皆の声が船を揺らした。
「「「「「海の神々よ!!!!! 我らに祝福を!!!!!」」」」」
坊主は海に投げ出された。