表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/9

氷姫の正体は

誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。

今回は短めです。

美しく流れる白銀の髪、気品、美貌、

街中を歩いていたら誰もが振り返ってしまうような

存在ーーそれがアーネント.エーデルワイス様。

(なんだけどーー)

「も、もしかしてセシリアちゃんーーっ!?」

「会いたかったんよーっ!!ほんまに!!」

氷姫と称されるアーネント様がこんなにくっついてくる?そんなことあるのーー!?

「かっわいいーーっ!!めっちゃ可愛いーっ!!

 想像以上やわ!!想像以上!!」

ほぼ初対面でのハグ。

テンションの高さ。

そして、氷姫とのギャップ。

ーーセシリアの思考は一瞬停止した。

そんなことはつゆ知らずアーネントは感激した様子で

セシリアの手をぎゅっと握る。

「本当に会ってみたかったのよ!!

 一緒に王家に嫁ぐ身として!!」

「えっ、いえ!こ、婚約はーー」

「これからは義理の姉妹になるんだからーーっ!!

 仲良くしなきゃ損ってやつよね!!」

「で、ですから婚約は解消する方向で!!」

一瞬、場がシンと静まり返る。

「あらあら、まあまあ!!

 何やってるのよ……!アルヴィンったら!!」

相変わらずにこにことした屈託のない笑顔。

(あーー、そっか。そうだよね。

こんなに明るくて、美人で、器量のいい人、好きにならないはずがないよね)

とても明るくて太陽みたいでーー。

私とは比べ物にならないくらい眩しくて。

「な、なんか……イメージと違いすぎて怖いんですけ

 ど……。氷姫ってなに……?」

そのフィーネの声が私の思考を遮った。

「あぁ!あれ?あんなの誰かが適当につけたあだ名

 よ!!ほんとに困っちゃうわ!!友達からはうるさ

 すぎるって言われるくらいなんだから!!」

とても綺麗な笑顔。

昔から笑顔が苦手な私とは違う、自然な笑顔。

(こんな、取り柄のない私よりずっといい。

今はもう、聖神力さえ使えなくなった私よりずっと)

不意に胸がぎゅっと痛んだ。

誰かに胸の辺りを掴まれているような感覚だ。

「ねぇ、セシリアちゃん」

「は、はい。なんでしょうか?」

「………ううん。なんでもないんだけどーー」

その瞬間氷みたいに透き通った水色の目が

私をじっと見つめた。

「大丈夫!私がなんとかするから!!」

「………へ?」

(なんとかするって何を……?)

言葉の意味を飲み込めないまま瞬きを繰り返しているうちにアーネント様は軽やかに手を振りながら私たちから離れた。

「じゃあねーっ!!絶対また遊びましょうね!!」

(け、結局、なんのことだったのーー?)

「嵐みたいな人だったわね…。初めて会ったけど」

「そうね……なんかもうソフトクリームとかどうでも

 よくなってきたわ…」

「奇遇ですね。姉様。私もです」

私たちはアーネント様の勢いに流されてソフトクリームの列からおもいっきり脱線していた。






5日後・王宮、執務室。 

机や棚の上には大量の書類が山のように連なっており

家具の色はほとんど見えなくなっていた。

そして、そんな様子を前に王太子アルヴィンは

机に突っ伏していた。

「………しんどい…」

「はぁぁあーーーーっ!」

盛大なため息をつきながら部屋に現れたのは

王太子の側近であり親友でもあるレオン.フェザード。

書類の山を避けながらずかずかとアルヴィンに近づくと突然叫んだ。

「殿下の大馬鹿っ!!!!」

「……なんだ…?急に…」

「何が"なんだ"ですか!!小さい頃から好きだったの

 に、テンパリすぎて気持ち一回も伝えられないとか

 !!不器用すぎます!!不器用!!!」

「………」

「ついでにアーネント様との噂も立てられて……。

 セシリア様だって捨てたくもなりますよ!!!」

アルヴィンは唇を結んで顔を逸らした。

その耳はほんのり赤く染まっていた。

「………だって仕方ないじゃないか」

「はい?」

「目の前にあんなに可愛い生物がいたら……

 誰でもテンパるだろ……」

「………」

「なんかもう、姿見るだけで心臓の音がうるさいし、

 言葉詰まるし……。どうしてレオンはそんな平常で

 いられるんだ……?」

レオンはその告白に呆然とした。

ーーそして、容赦なく叫んだ。

「殿下の大馬鹿ものっ!!!!」

普段静かな王太子の執務室に叫び声が響いたのはこれで2回目のことだった。









最後までお読みいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ