まさかの愛の告白
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
『』→過去回想。
()→セシリアの内心。
になってます!
王太子・アルヴィン.ルクレールの来訪で屋敷の空気が
変わった。
いやーー変わったと言うか……
「私の娘に何か用で?今まで、冷遇!なさってきた
殿下が?」
「あら、お父様。どうせ、今頃になってお姉様の素晴
らしさに気付いただけでしょう?」
(空気が最悪なんですけど!!!!)
何このソファで対面しての3対1!!!
きついんだけど……
いや、だって、さっき婚約破棄宣言してきたんだよ?
こんなすぐ会うと思わないじゃん!!!
すると、静かな空間に低い声が響いた。
「私は、御息女とーーセシリアと婚約破棄する
つもりはありません」
とても真っ直ぐで綺麗な言葉ーー。
だが、それとは裏腹に公爵の表情は冷え切っていた。
「………そうは申されましても殿下」
「そちらがそのつもりだとしても、こちらはもう
限界なのです。
私の愛娘を……こんなにも酷い目に合わせておいて
今更懇願など、許せるはずもないでしょうーー」
父の重い声が耳の中でうずまくのを遮るように
レースの扇を勢いよく開く音がした。
「そうですわよ、殿下」
フィーネの紫の瞳がギロリと光る。
「今更、お姉様を欲しがったってもう遅いんですよ。
一度離れたものは取り返しがつきませんから」
セシリアの視界の隅でフィーネと公爵がアルヴィンを威嚇するように睨みつける。
(ちょっと待って……うちの家族、怖えぇーーっ!!)
珍しく激ギレしている父。
前々から溜まっていたであろう怒りを出すフィーネ。
目の前には(元)婚約者。
そして、ソファーの端っこで冷や汗をかいている私。
それはまさにーー
(地獄絵図すぎるんだけど……!!)
「それでも……私は、彼女を愛しています」
その言葉はとっても真っ直ぐで綺麗で
まるでーー本当のことのように思えて……
でも………
(違う。やっぱりーー違うのよ)
だってこの人は……
『殿下、クッキーを作ってみました。よければーー』
『いらない。』
『久しぶりに庭園を散歩しませんか?』
『すまない。今は忙しいんだ』
『殿下、その、もし、よろしければ花祭りを
一緒にーー』
『……花祭りくらい、1人で歩けるだろう?』
昔の記憶が心に重くのしかかる。
(だって……この人が私に、私なんかに愛を囁く
わけがない……)
あの人は真面目で、誠実で、誇り高い人。
とっても高貴で、価値のある人。
そんな人が、こんな一つも取り柄のないような
私なんかを……
(そんなわけがないもの)
「…殿下、どうか無理はなさらないでくださいませ」
自然に出たその言葉は自分でも驚くほどか細かった。
「セシリア…?」
「私としても、残りの人生は……せめて、楽しく
過ごしたいのです」
私は、静かに微笑んだ。
フィーネのハッとした顔が視界に入る。
うまく笑えてるのかな、涙はでてないかな……。
「それでは、失礼致します」
セシリアは立ち上がりドアノブに手をかけた。
後ろで床の軋む音がした。
誰かが立ちあがろうとしている。
でもーーもう、みたくない。
(これでいいの。だって……愛してるなんて嘘だから)
セシリアが退室し、応接間には再び静寂が戻った。
やがて、根負けしたように公爵がため息をつく。
「……娘も困惑しているようですし、今日はここまで
にいたしましょう」
そう言いつつゆっくりと立ち上がる。
「行くぞ、フィーネ」
「ええ、お父様」
フィーネの履いているヒールの音がカツカツと響く。
そのまま父と同じように部屋を出ようとしたフィーネが最後にそっと振り返った。
「殿下、お姉様のことを、もし、もしもですよ。本当 に大切に思われているのならもう、近づかないでく
ださい」
静かになった部屋の中にその言葉だけが
重苦しいほどに響いた。
(そうよ……あれでよかったのよ。あれで、正解)
セシリアは淡い白色のベットの中で横になっていた。
(こんな……クソみたいな恋なんて……)
(さっさと忘れて……残りの人生、楽しく生きた方が
いいに決まってるーー決まってるのに……)
『殿下、王妃様から伝言が』
『あぁ。ありがとう。だが、無理をするな』
『へ?』
『侍女から聞いた。疲れで倒れたと』
『た、倒れただなんてそんな大袈裟なことじゃないですよ。』
『駄目だ。帰って寝ろ』
なのに………
なのに、、
どうして……?
どうして、涙が溢れてくるのーー?
ベットのシーツが涙で濡れる。
(だったらなに…?殿下なんて、私に冷たいだけだった
のよ……。ほんとうに…なんなの)
最後までお読みいただきありがとうございます!




