10年前の春
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです。
「あんたねぇ……あそこまで言われて諦め
つかないわけ?」
真っ青な顔をして公務に勤しんでいたアルヴィンに
アーネントが呆れた声を向けた。
「違う女の子行こうとか思わないの?」
「彼女以外考えられない」
アルヴィンは確かな声で返した。
「どうしてそこまでセシリア様にこだわるんですか?」
レオンは不思議そうな顔をして尋ねる。
少し考えてからアルヴィンが口を開いた。
「確か、あれは10年前の春の日だった……」
「ちょっと待って!!そんな前から聞いてないから! 回想フラグ立てないで!!!」
「確か、あれは10年前の春だったな……」
アルヴィンが遠くを見ながら語り出す。
「いや、マジで語らないで!」
「アーネント様、ここは聞いておきましょう」
「当時の私は、父上から"将来の妃候補くらい見つけておけ"と言われていてな…。
正直、誰でもよかった。
顔の見分けもあまりつかなかったし、政治の駒としか思っていなかった。」
レオンとアーネントが珍しく静かに話を聞く。
「だが、父上が見かねて連れてきたのがーーセシリアだった。その時は、けばくなくて、静かでまぁ悪くないくらいにしか思っていなかった」
「でもな……彼女が私に、ふと笑いかけたんだ…」
「その瞬間……心の中にドン、と雷が落ちたような
衝撃が走った。
呼吸が止まって、言葉もでなかった。
ーー今でも忘れられない」
「まぁ、そのせいで鼻血出してぶっ倒れたんだが…」
場が一瞬静まり返る。
「はっ!!!!?はぁーーーっ!!!?」
「それでセシリア様との縁が始まったんですか!?」
「あぁ。床にぶっ倒れてハンカチを差し出されてな」
「どこまでポンコツなのよ!!!ほんとに!!」
レオンがじっとアルヴィンを見つめながら言った。
「……で、その後、初恋拗らせてセシリア様にろくに
話しかけられないまま10年経ったんですよね」
「なんでそうなったの!!!10年もあったら普通
気合いでいくでしょ!!10年よ!!?」
「話しかけたら、鼻血がでそうで……」
「ポンコツっ!!!どこまでポンコツなんですか
殿下!!!」
「我が義弟ながら呆れるわ……」
2人がツッコミを入れていると、
背後から足跡が聞こえた。
「探したよ、アーネント」
アルヴィンの兄、アーネントの婚約者のユーライだった。
「あら、ユーライ様。こっちは馬鹿王子の反省会中よ♪」
すると、自然に2人の距離が近づいていき、
ほんのりと2人の世界が流れ始める。
それを、アルヴィンがじとーーーっと見つめている。
視線を感じたユーライが思わず口を開く。
「……アルヴィン。僕に八つ当たりするのは
やめてくれるかな?」
それを聞いたアルヴィンが視線を落とし、
ポツリと呟く。
「そうだな……私は名前呼びさえ禁止されたもんな」
それを聞いた3人が目を見合わせる。
「「「いや、それお前の落ち度だから!!!」」」
次の瞬間、3人が次々に口を開いていく。
「殿下、それ完全に自業自得です」
「むしろお前呼びされてないだけ感謝しなさいよ」
「人間関係には信頼と尊重が大切だよ。弟よ」
「……あの頃は、アルヴィン様って呼んでくれたのに……」
3人が一瞬黙り、再び目を見合わせる。
「「「過去の栄光に縋るな!!!!」」」
こうして、アルヴィンのポンコツぶりが浸透したのだった。
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