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王太子の憂鬱・前編

誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです!

ようやく10話だと思うと先が長すぎますね。

王女の執務室。

リリアナが机の上にある大量の書類の山を整理し、

それを側でセシリアが補助している。

「あの、この書類はこっちでいいですか?」

「うん。そうそう。吸収早いね、セシリアは」

リリアナ殿下付きの侍女になってはや1週間。

少し仕事にも慣れてきたし、リリアナ殿下も丸くなったような……。

「……今日のリリアナ殿下、機嫌がいいですね」

「なっ!そ、そんなことないしっ!

 別に、機嫌なんてーー」

すると、すかさずタリアが口を出す。

「セシリア様が来てルンルンなんでしょ。」

「ち、ちがっ!そんなんじゃーー」

「素直じゃないんですから」

「そ、そんなこと言ってないで仕事するよ!!」

「は〜い、かしこまりました〜。殿下〜♪」

(なんだか、タリア様の方が一枚上手ね。

でもーーうまくやって行けそうだわ)

執務室の中にはまるで水につけた絵の具のように

笑い声が広がっていた。





---一方その頃、王宮の一室。

「殿下、どうします?これ……」

レオンのいつもと違う渋い声が響く。

その部屋にはアルヴィン、アーネント、レオンと

普段は騒がしいメンバーが揃っているが

部屋の空気はどこか重たい。


それをかき消すようにアーネントが紅茶を口に運ぶ。

「まぁ…王宮内にいるだけマシじゃないかしら…。

 ユーライ様も、あんたたちの"ダメっぷり"を

 見越して、セシリアちゃんを侍女に推薦したん

 だろうし……」

「殿下……なんか、もう顔色死んでますよ?」

レオンに話しかけられアルヴィンが重い口を開く。

「セシリアに……捨てられた…」


部屋の空気がまた一段階暗くなる。

「今まで捨てられなかったのが奇跡よ……」

「アーネント様、やめてください。殿下が死にます」

「それは……慰めているのか…?貶しているのか…?」

「現実を見せてあげてるの。優しさの塊よ♪」

アーネントが満面の笑みで応える。

「……セシリアに…会いたい……」

アルヴィンがポツリと呟いた瞬間、

レオンが反射的にツッコミを入れる。

「いやいやいや!そんな場合じゃないですから!!

 これから陛下推薦の婚約者候補達がやって来るん

 ですよ!?」

「そうよ〜。さっさと準備しなさーい」

アーネントがクッキーを頬張りながら

他人事のように言う。

「そうですよ!!さっさと着替えてください!!

 顔も、もうちょっとやる気ある感じで!!」

「やだ……セシリアがいい……」

((こいつ……不器用すぎて恋拗ねらせてる…!!!))

「いや、僕もアルセシ推しだけど!!

 今ご令嬢方に冷たく当たったら

 "未練がましくて器の小さい男"って噂がーー!」

「今でさえ色々広がってるもんね〜〜」

「そんなこと言わないでください!!殿下のやる気

 が削がれます!!!」

「じゃあ、私も参加しようかしら」

「え………?」

「これでも一応、王族の婚約者よ?

 未来の義妹の品定めぐらい許されるでしょ」

「ちょっ、わざと破談にしたりしない…ですよね?」

「どうかしらー?私、アルセシしか推さないから〜」

アーネントが目を逸らし、ニコリと笑いかける。

「で、殿下!!止めてください!!

 絶対破談になります!!この人参加させたら!!」

「……あぁ、、セシリア……」

「殿下ぁあぁああっ!!!」

「じゃあ、決定ね⭐︎」

レオンの叫びも虚しく、アーネントの参加が

決定したのであった。






「な、なんだか今日はご令嬢の出入りが多いですね」

セシリアが王宮の廊下を覗き込みながら言う。

「あー、今日は兄様の縁談あるらしいよ。

 飽きないよね〜、父様も」

「そんなこと言ってないで仕事してください。」

タリアが机の上の書類の山を指差しながら言った。

「はいはい!!わかってるよ!!もう、めんどくさ

 い!!もうちょっと使える文官はいないの!?」

「す、すみません……!もっと私が有能なら……」

「「いや、セシリア(様)は有能ですから」」

「え、あ、ありがとう、ございます……(?)」

「あーもう!人材管理どうなってんのよ!?

 私1人にどんだけ書類仕事させる気だよ!!」

「そんなに人手が必要なら久々に"あの人"を

 呼んできては?」

「あー……それもありだけど……」

「あの方…?」

セシリアが不思議そうに小首を傾げる。

「「そう、あの方」」

(け、結局誰ーー!?)

セシリアはわからないまま手だけを動かしていた。






煌びやかなドレス。綺麗に巻かれた髪。

丁寧な細工の施されたアクセサリー。

薔薇やらシトラスやらの香水のキツイ匂いが漂う

その場所は、まさに戦場と化していた。


(今日こそ殿下のお心をーー!)

(婚約破棄された今がチャンスよね!!)

(私が未来の王妃になるんだから!!!)

なーんて考えてんだろうなぁ……。

レオンがぼーっとその様子を見ながら思う。


「次の方、どうぞ」

「はいっ!」

先ほどまで鏡に張り付いていた令嬢が、

衛兵に呼ばれ控え室を出ていく。

(殿下、大丈夫だろうか……)





「殿下、お初にお目にかかります」

これで何回目の挨拶だろうか。

貴族の令嬢達が順番にやってきて、

形式ばった挨拶をする。

赤い薔薇の咲き誇る庭園の中、

アーネントとアルヴィンは渋い顔をして

令嬢達に向き合っていた。

「どうぞ、おかけになって」

アーネントはいつもと違う威厳を見にまとい

令嬢に見定めるような視線を送る。

「は、初めまして。私、バーミリア家長女のーー」

「私たちが名前も覚えてないとか思ってる?」

「へーー?」

アーネントの冷たい声が響く。

「論外。私たちのこと舐めすぎ」

「わ、私は、ただ、礼儀をとーー!」

「連れてってー」

あっけなく1人の令嬢が退室させられ、アーネントが

資料にばつ印をつける。

「やっぱ、この子もダメだわ〜。次!!!」



「殿下のご趣味は……えっと、、お茶、ですか…?」

アルヴィンが一拍置いて、目の前の一滴も減っていない紅茶を見ながら応える。

「……えぇ……」

「へぇ〜、お茶が好きなんですね」

「は、はい…」

アーネントがニコリと笑いながら言う。

「じゃあ、お茶の産地で有名な南部領の情勢に

 ついて意見は?」

「え、えっと…その……」

「知らないんだ。ふーん、王太子妃って外交の知識

 もいるのよ?知識ゼロで大丈夫とか思ってる?」

「そ、それはーー」

「はい、つぎぃっ!!!!」

令嬢が泣きながら退室する。



「私は殿下の改革に賛成いたします!!

 ぜひ、補佐をさせていただきたくーー」

「へぇ、改革ってどの部分?

 もしかして、表に出てる見える改革のこと

 言ってるんじゃないんでしょうね?」

「……そ、それは…」

「ここで言い返せない時点で補佐なんて無理無理。

 次の子連れてきてーーっ!!!!」

「で、殿下!!こ、これではあまりにもーー!」

アルヴィンは虚ろな目をしながら全く別のことを考えていた。

(……セシリアに会いたい……)

「こら!グダグダ言わないの。あとが待ってるんだか

 ら。次!!!」


アーネントの采配で次から次にばつ印が増えていく。

そして、ついに最後の1人にもばつ印がついた。

「ふぅーーっ!!終わった終わったーーっ!!!

 やっぱり私の義妹はセシリアちゃんにしか務まらな

 いってことよね!!!」

「……セシリア……」

「もう!!シャキッとしてよ!!!

 私、帰るから、さっさと部屋帰るんだよ!!?」

こうして、アルヴィンの縁談は見事に破談となった。






「あー、やっと終わった〜っ!!!」

王宮の廊下にリリアナの甲高い声が響いた。

「あとは、これを運んで終わりですね!」

廊下を歩いている3人の手には山盛りの廃棄書類が

握られていた。

「ごめんね〜。こんな力仕事」

「全然大丈夫です!護身術習ってるので、体力は

 あります!!」

「ちょっと以外かもしれないです……」

「まぁ、公爵家のご令嬢なんて危険も多いし、

 習ってた方がいいとおもーー」

その時、リリアナの声を遮るように子供のような声が

響いた。

「うわぁぁぁあんっ!!!!」

そこには綺麗なピンク色のドレスを着た

いかにも高貴なご令嬢がいた。


「な、なにあれ……」

リリアナが小さな声で話し出す。

「おそらく、王太子殿下の見合いであえなく玉砕した

 ご令嬢かと」

「迷惑ですね。あんな廊下のど真ん中で……」

「ま、まぁうちらに関係なし、スルーするか」

3人が何事もなかったかのように歩きだし、

令嬢の横を通り抜けようとしたその時だった。


「あら……殿下はまだ"男の真似事"なんて

 していらっしゃるのね」


ポツリと溢れたその言葉に空気がピリついた。

リリアナは思わず立ち止まり、令嬢を睨みつけたが

なにも言わずにその場を立ち去ろうとした。

だが、そうする前にセシリアは動いていた。

いつもより一歩前にでて声を張り上げて言った。


「あなたに殿下の服装に口を出す権利はないでしょ

 う?」

先ほどまで泣き叫んでいた令嬢は冷笑を浮かべながら言った。

「あら……あなたは王太子殿下に捨てられたお方と

 やら?お優しい殿下に捨てられるなんてどれほど

 の腹黒なのかしら?」

「私と殿下の婚約が破談になったのは、

 私が余命宣告を受けたからです。

 それは陛下がご判断なさったことで、決して私の

 不備ではありません。

 そんなことも知らないようでは、王太子妃の立場は

 少々、荷が重かもしれませんね。」

セシリアは凛としたままはっきりと告げた。

すると、令嬢はみるみるうちに真っ赤になった。

「……っ爽快」

タリアが小声でぼやきリリアナが思わず吹き出した。

その時ーー

「……何の騒ぎだ?」

その声の主は縁談帰りのアルヴィンだった。

(な、なんで、このタイミングでーー!)






 ---一方その頃、アルスデット公爵邸。

「はっくしゅん!!」

フィーネが大きくくしゃみをした。

「大丈夫か?珍しいな」

「うーん……多分誰かにツッコミ入れてって

 言われてるのよ、父様」

(姉様、うまくやれてたらいいんだけど……)

「なんだそれ……。そういえばセシリアから苦情が

 届いていたぞ。フィーネからの手紙で部屋が溢れる

 と」

「そんなことないですわ!私の姉様への愛の大きさ

 です!!」

アルスデット公爵邸には平和な日常が流れていた。








最後まで読んでくださりありがとうございます!!!

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