余命2年半と婚約破棄と即断りと
誤字脱字日本語がおかしいなどあまり気にしないでいただけると嬉しいです!
明るめな令嬢系です!
その日はセシリア.アルスデット16歳の誕生日だった。
いつも通りの朝、いつも通りの日常。
いつも通り、神殿で祈りをあげていた。
なのに……
「非常に言いにくいのですがーー
あなたの聖神力は肉体の命そのものを代償に
していらっしゃいます。」
「それってつまり、どういう…?」
「貴方様はあと、2年半しか生きられません」
神官から告げられたその一言。
その一言が私のいつもの日常を変えた。
私は、人助けのために聖神力を使ってきた。
傷の治療、病の緩和、兵士たちへの施し、
それが当たり前だと思いーー信じて疑わなかった。
神から与えられた聖なる力……
そう信じていた。
容姿も、能力も、性格も、至って普通の私に与えられた神からの祝福なのだとーー。
けれど、本当はただの呪いだった。
祝福でもなんでもない、ただ命を削っていただけの力
余命2年半ーー。
その事実が心に重くのしかかる。
けれど、心の奥底には婚約者の顔が浮かんでいた。
王太子アルヴィン.ルクレール。
どうして……どうしてこんな時に浮かんでくるのは
あの人の顔なんだろうーー?
真っ黒な髪、サファイアのように深く青い目、
少し冷たい雰囲気……
好きだった。
けれど、彼はそれに比例するように私を嫌っていた。
いつもどこか距離をおかれた。
エスコートも茶会もデートもーー
ほとんどしたことがない。
彼とは政略結婚だったから、仕方がなかった。
それでも…彼に好かれたいと願ってきた。
けれど、その願いももう叶わない。
王太子の妻ーー未来の王妃が私に務まるわけがない。
婚約破棄を告げられるのは時間の問題。
ならーーこの想いが報われないのなら、
「婚約破棄しましょう」
初めて訪ねた書斎。
彼の前でそう口にした時、心が少し軽くなった。
悲しいけれど、苦しい片思いから解放される。
あぁ……やっと終われーー
「婚約破棄?するわけないだろ」
ーーん?
「ずっと君だけを見てきた」
「あの……殿下、無理しなくてもいいんですよ?」
殿下は、公爵家との繋がりが欲しいだけだ。
それもそうだ。
いきなり後ろ盾がなくなるなんて結構な大惨事だ。
「公爵家との繋がりが欲しいなら、私の妹がおります
し。あの子、私より可愛くてずっと聡明なんです」
あの子はとても可愛い。
女の私でも惚れてしまうくらいに。
それに、芯がはっきりしていて政治をする力だってある。聖神力だけが取り柄だった私よりずっといい。
「もし、同年代のお方がいいならルーヴィット伯爵
令嬢なんて理想の深窓の令嬢ですしーー。」
これは、私の本心だ。
残りの短い時間を愛されない王太子妃として過ごすより、殿下のために身を引く方がずっといい。
「私は、君以外を妻にする予定はない」
……は?
その言葉を聞いた瞬間、少し場が静まり返った。
「で、殿下…罪悪感など感じずともーー」
「君以外では意味がないんだ」
「ちょっ、私何かしましたか…?」
「あなたを愛している。セシリア」
「う、う、嘘だぁあぁああぁあっ!!!!」
普段静かな王太子の書斎に悲鳴が響いたのは
これが最初で最後のことだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!!