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重要である、とされたこと

「折り合いがついたのだな。後悔していないのならより良い。直接的な干渉を出来るだけ避けられるのであればこちらにとっても好都合だ」

 ウサギは満足そうにしている。

 だけど必死だった私は、自分が十分な言葉を田阪さんにかけられた自信なんてない。

「これで良かったんでしょうか? 田阪さんにも伝えましたがスイッチング後の状態の方が客観的に環境が好転していました。周囲にいた人もそうなっている場合もあったようです」

 相談する人は答えが決まっているから必要なのは後押しをするだけだ、というような付け焼刃の知識だけを頼りに何とかふるまっていた。でも田阪さんに後押しが必要だったのは確かかもしれない。

「……ただ、代わりに環境が悪化してしまった人もいました。恐らくは田阪さんと直接かかわりのない人の方たちも。

 私が思っているのは、根底にあるのはそうやって自分が他人の――特に志奈子さんの不幸を作り出すことを田阪さんが望まなかったから、スイッチングの解消をしたままでいることを受け入れたんだと思っています」

 本当のところは分からない。田阪さんにとってこれが正解だったのか――田阪さんがこれを正解だと思っていたのか。自分の気持ちを押し殺したか、思い悩むことに疲れて考えることを放棄したのか。

「他人の不幸を避けようとしたというのであれば、それは青年による一方的な見解だ。相手方の女性の感情も推測しているだけだ」

 私のゆらいだままの気持ちを一蹴するようにウサギは答えた。

「もちろん君達の言うような他者愛と自己犠牲に基づいた行動である、との解釈を希望的観測等と評価するつもりはない。十二分にその可能性はあるだろう。しかしそれは重要な事ではない。

 あのスイッチングによる【歪み】をある程度修復し、その力を再び用いないと決意した事が大事なのだ」

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