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真相について

「窓から見えるこの景色を君は毎日見ているはずだ。ではこの景色は昨日と全く同じなのか?」

 当然同じ、と言いかけてウサギが言おうとしていることが何となく分かった。

「改めて聞かれると――、同じではないですよね」

 そう――、一日だけだったとしても木や草はわずかでも成長しているし(また草むしりさせられそう)、そこら辺にいる虫とか目に映らないレベルのちりも移動したり増減しているはず。

 普段は無視してしまってるだけで色々な変化が実際にはある。

「このように僅かなずれや違いは知覚されないか、許容される。しかし例えば庭の植物が極端に増殖したり全く異なる種類の果実が実るのであれば、それは異常であるとはっきりと認知される。そうなると具合が悪い。そうした【異常】や【歪み】を出来るだけ認知されないまま穏便に無くしていきたいのだ」

 内容は理解できる。だけど全体的に概念めいてあいまいな説明にも感じる。

「どうしてそんな【歪み】が出来たんですか?」

 そしてあなたは一体何者なのか?

 そう質問を続けようとしたところでさえぎられた。

「それ以上は説明する必要はない」

 思ってもいない拒絶だった。

「え? どうして――」

「図書館と言ったか。この町にも膨大な量が収められた書庫があるだろう。知の宝庫だ。君が生活をする中で疑問を感じたり実態を知ろうとする事があれば非常に役立つものだ。では君に問おう。それら全ての疑問を調べようとその都度図書館に行っているだろうか?」

「いえ……」

 私はクラスの中でも利用している方だけど、さすがにそこまでは。

「解を手に入れられる状況であってもそれを放置している。分からないものであってもそれが興味を持てない、不要なものは知らなくて良いと考えている訳だ」

 たしかに分かったところでどうにもならないこととかどうでもいいことは、調べるという選択肢さえ浮かばないけど――。

「真相が必要ないというのはそういうことだ」

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