ウサギに対しての情報収集
「もちろん、もしかしたら元に戻せていない部分があればそれをどうにかしたいという気持ちはあります。ただ記憶の中ではこれ以上のものは見当たらないので、不安はありますがこれ以上どうしようもないかもしれません」
「確かにそうですね……」
引っかかる部分はあったけど分からないことだらけなので、気になったことをどんどん質問していく。
「なぜこうなったのか心当たりはありますか? ……多分ないですよね」
「ないですね」
「どうしてそんな能力に目覚めたんですか? 元から何かそういうものが……?」
「自分はエスパーだとか霊能力が使えるとかでもないですし、別に特殊能力もありません」
冷静に、はたから見たらバカバカしく見える問いかけだけど、田阪さんは真面目に答えてくれた。
「ウサギ、みたいなものはその辺り説明してくれなかったんですか?」
「なかったですね。さっき話したのが、そのウサギが言っていた事のほぼ全てです」
海くんから受け取った文書をもう一度確かめてみる。さっき見た時と特に変わりはないし、新たな発見もない。
「海くんは、これをもらった時とかウサギさんについて何か覚えている?」
「ウサギさんかわいかったよ。でも声は大人の人だった。あとはさ、うーんさっき言ったのとあんまり変わんないけど、この人を助けてほしいってお願いされたよ。おねえちゃんと協力してって」
「私のこと知ってたの? ウサギさんは」
「うん。ぼくとおねえちゃんは特別なんだって。でも理由は分かんない」