表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の調停者  作者: 黒奏白歌
一章・虚実の楽園
42/42

en.next……

「……やっぱり、そうだよね」


 何処かの世界。

 何時とも知れぬ、その時間軸で。

 彼との戦闘の後、姿を消した彼女は静かに呟いた。

 壊れた残骸と思しき瓦礫の山。焼け焦げた地面に、土砂降りの雨が降り注ぐ。


「あの程度の偽物なんかじゃ、相手にならないよね」


 俯いて、独りごちる彼女は。


「…………ぅ、ふ」



 笑っていた。



「ふ、ふふっ、あは、あははははッ!!!!うん、そう!!!!そうだよね!!!!あんな、贋物如きに、貴方が負けるなんて、ありえないよねッ!!!!」


 クルクルと、舞を舞うように軽やかに。

 ボロボロの、その場所で彼女は踊る。

 ニコニコと、その顔を喜びに染め上げて。


 雨水が染み込み、跳ね上げた泥と共に、彼女の衣服を汚していく。

 綺麗な舞を見せながら、それを穢すかのように衣服を汚していく。



 狂った感情を宿した瞳が、爛々と輝いていた。



「ああ、もう!!!!どうして貴方は生きているの(死んでないの)!?!?貴方に負けて欲しい(勝って欲しい)のに!!!!貴方が生きられるように(死ねるように)してあげたのに!!!!血反吐をぶちまけて(無事なままでいて)欲しいのに!!!!嬉しいよ(悲しいよ)!!!!苦しいよ(楽しいよ)!!!!会いに来てよ(会いに来ないで)!!!!顔も見たく無い(早く顔を見せて)!!!!どうして…………どうし、てっ!!!!貴方、は、貴方はぁっ!!!!」


 大声で喉が裂けそうなほどに笑いながら、体中の水分を全て吐き出しているのでは無いかと思えるほどに大粒の涙を止めどなく流す。


 笑っているのに、泣いている。


 慟哭を上げているのに、口の端は吊り上がっている。


 享楽を纏い、悲嘆を叫ぶ。


 憎悪を撒き散らし、愛情を吐く。


 どんな言葉を吐こうとも、どんな感情を持とうとも、必ず矛盾する。



 祝福、呪縛。



 彼が死ぬ事を望んでいるのに、彼が生きる事を望んでいる。

 彼が生きている事を許せないのに、彼が死ぬ事を許さない。

 彼の勝利を確信し、彼の敗北を望む。

 彼の敗北を拒絶し、彼の勝利を否定する。


「ああ、もう、どうして、どうしてなの……?」


 それでも彼女は笑う。

 笑い、狂い、更に先へと進んでいく。


 暗く、苦しい道に、躊躇無く踏み入れ、闇を受け入れて。



「いつまでも待っててあげるから。


 早く、会いに来てね」



 まるで壊れた人形のように。



 クルクルと、ただ彼女は踊り続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ