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中編

 ☆☆☆王都、貧民街、よい子孤児院



 私の出身の孤児院は、貧民街の真ん中にある。

 オイ婆さんが、院長をされているのだからねっ!


「なんじゃ、サティアよ。ボロ服を来て、戻ってきたのかよ!」

「オイばあさん。久しぶりだからね!」


 オイ婆さん。孤児院の院長先生、まだ、健在なのだからねっ!

 私は小声で訳を話した。


「やんごとなき方だからね。視察にきたのだからね」


「フン!まあ、いいか」


 オイ婆は、大声で叫ぶ。


「おんどりゃー、お前ら、整列じゃ」


 子供が小走りで横三列に集まり。

 点呼が始まった。


「点呼じゃ!」


「1!」

「2!」

「3!」


 ・・・・


「45!1欠、マリー、別棟で隔離!シスター様のお薬を服用後、就寝!他異常なし!」


「うむ。お前ら、お貴族様に養子にいったサティアが男つれて視察に来たよ!よい子孤児院の実力を見せておやり!」


「はい!トム!九九をやります!2・2が4!」


 低学年から始まり。

 段々、高度になっていく。


「次、アンヌ!二次方程式を解いたノートをご覧にいれます!」


 また、学業だけではなく、


「僕は、サム!商会の礼儀作法をやります!」

「私はケリー!私が作った服を見て下さい!」


 技能もあった。


「これは・・どういうことだ?」

「フン!孤児院を卒業した奴らが、無料で教えにきてくれているさ!」


「体罰はないのか?」

 騎士団方式だから、疑問に思った。


「ハン!体罰はね。伝染するのさ。ちょとしたことで、強い子が弱い子を叩くようになる。そりゃ、地獄だ!

 犯罪じゃなければ叩かないよ!

 孤児院の食堂の、皆で使うバターとかをペロペロしたら、ぶん殴るぐらいだな!一晩、磔だよ!たく、そんなことも想像できないのか?」


「申し訳ない」


 二時間、みっちりやった後、食事だ。


 グゥウウウ~~~


 王子の腹がなった。


 子供達は、パンとスープを食べるが、


「女神様、全ての者に感謝して!頂きます!」


「サティアよ。貧しいな」

「フン、よく見なさい。スープは豆が入っているからね。栄養はあるのだからね!パンは小麦だからね!魚は月に4回、肉は月に一回、今日は、平日の日だからねっ!」


「小麦って、当たり前ではないか?」

「フン、貧民街では、ライ麦パンが当たり前だからねっ!」


「そうか、私も試したいのだが」


「ダメだからね!これは、孤児の食事だからねっ!視察だから、見ているだけだからねっ!」


 ・・・・


 食事が終わった後、年長組は、寝るまで、内職をする。

 この間は、おしゃべりはOKのようだ。


 造花を作っているな。

 孤児手作りの造花を売って、子供達の小遣いにすることが許されているみたいだ。

 大きい子は小さい子に、お菓子を買ってあげるとか。

 思うところがある。

 私は弱き者のために働けるだろうか?


「サティア姉ちゃん。泊まって行きなよ」

「そうよ。お貴族様のお話を聞きたいわ!」


「ごめんね。これから、王子・・・この男を宿泊施設、貧民街のマンガ喫茶につれていくのだからねっ!その後、孤児院に戻ってくるからねっ」


「「「「ギャアアアーーーー」」」」

「やめて、あげてよ」

「そうだよ。家族レストランにしなよ」

「マンガ喫茶は、この人じゃ、無理だよ!殺されるよ」


「大丈夫だからねっ!」


 カゲがついているから、大丈夫だからね。多分!



 ☆☆☆貧民街



「サティアよ。家族レストランとは、聞いたことがある。昔、転生者がはじめた。二四時間レストランで、貴族と、平民の中間の食事を出す所だと聞いたが、客は入らなくなって、

 今は、なくなっていると、聞いているぞ!」


「これよ。これ!」


「うわ。何だ。ここは?人が、びっちり、入っている!」


 サティアの指をさした方向には、寂れたレストランがあった。

 二四時間営業、だから、安価な宿泊宿として、貧民街に定着した。


 ライ麦パン、一個、銅貨一枚で、過ごせると、

 沢山来るので、ギリギリ採算は取れる。



 しかし、


「レストランだから、寝たらダメだからね!ここで、寒さや泥棒から守るためにあるからね!」


「そんな」


「ほら、ここが、マンガ喫茶だからね。今は、棺桶喫茶と呼ばれているからね!」




「二人、お願いするのだからねっ!」


「はいよ。二人、銅貨八枚、食事は今するかね」


「ペコペコだからねっ!」


 ライ麦パンと、エールだけが出た。

 ここでは、水が悪いので、低アルコール濃度の酒が出る。

 それも、水よりもましかという程度である。


「食事は、孤児院の方がはるかにましだな」


「オイ婆さんは、ギリギリでやっているからね!孤児院を出た子供達が寄付をしているからね」


「貴族から寄付はでないのか?」

「どこも見向きもしないからね。皆、王都の聖女様が作った有名な孤児院ばかりだからね。寄付するのは、私の養子先ぐらいだからねっ!」


「食べたら、寝床だからね!」

「何だ。ここは!棺桶じゃないか?」


 大広間に、棺桶が並んでいた。

 そこが人の寝るスペースだ。


「端から詰めて、おくれよ。お嬢ちゃん。ここで、おっぱじめないでくれよ」


「しないわよっ!私は帰るのだからねっ!この人、棺桶喫茶、初めてだから、ルールを教えるのだからね!」

「はいよ!」


「明日、5時に迎えに来るからねっ!からならず起きなきゃ死ぬからね!」


 棺桶喫茶は格安だ。

 その理由は、


「朝、5時でお開きだ。その時、起こしても起きない客は、死んだ者として、検体として、この店がもらうよ」


「な、何だってーー」


「安心しなよ。行き倒れは月に一人いればいいほうだ。そうはいない。

 爆裂魔法の実験台や、剣の練習台、医療、引く手あまただ。だから、安いのだよ」


 私は、棺桶の中に入った。

 隣に、おっさんがいた。


「おい、新入り、何をやらかした!若いんだからよ。やり直しがきくベ?こんな所にきちゃなんねえ」


「あの、貴方こそ、まだ、働けるのに、何故ここに?」


「ああ?よくある話だ。田舎で、次男以下は、畑は継げない。だから、冒険者になった。そしてよ。膝壊して、このざまだ。

 王都でもよ。紹介状がなければ、職に就けない。だからよ。金属ゴミを拾って、生活をしているのさ。お前、明日、一緒にまわろうぜ。いい穴場教えてやるぜ」


「それは、恥ずかしくないのか?」


「誇りを持ってやっているさ。これだけは譲れない。早く寝ろ。でないと、本当に検体になっちまうぞ!」


 聞くに、悪い棺桶喫茶は、生きていると分かって、そのまま、蓋を閉じてしまうそうだ。


 この店は安心だと話してくれた。



 私は、逃げた。

 すぐに、カゲに保護をされた。


 サティアとは連絡を取っていない。


 タイカイ殿はご満悦だ。


「うむ、サティアとの視察を途中で逃げ出すとは、それほど、ヒドイものだったか?これで、イザベラたんの一歩リードである!」


 確かに、ヒドイものであったが、何故か。心に残る。


 その後、イザベラと視察をする事になった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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