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詩集:雨が鳴らせば

雨が鳴らせば

作者: 歌川 詩季

 雨の日は、出かけたくないです、

 はじめにあったのが闇だったから

 ぼくらは目をひらいた

 さがしあてた光がまぶしくても

 ひとみを()かれないように

 睫毛(まつげ)をのばしたんだ


 はじめに降ったのが雨だったから

 ぼくらは傘をさした

 雷にかわらずに無邪気に濡れていた

 その髪に その肩に めぐりあえたから

 声もかけないで

 雨宿りの軒下(のきした)になれたんだ


 かける言葉がみあたらなかったんじゃなくて

 せっかくのメロディ (にご)らせたくないし

 伝えたい言葉はぜんぶ 水たまりの世界を満たしてる


 雨が鳴らせば なにも(つむ)がない唇に

 べつのつかいみちがあること きみが教えてくれた

 雨に濡れれば 翼を重くするけど

 やがてあがるまで やがてかわくまで

 ここにいられる理由をくれた気がして



 はじめに泣いたのがきみだったから

 ぼくらは肌を寄せた

 ぬぐう指 そろわずに途方にくれていた

 その(ほほ)に その(あご)に ふれてみたのなら

 声もたてないで

 雨あがりの 煌々(きらきら)を待てたんだ


 かける言葉を欲しがるわけでさえもなくて

 爪弾(つまび)くトラジディ (なげ)くのは勝手で

 使えない言葉はぜんぶ 水たまりの底まで沈んでる


 雨が鳴らせば 歌を(かな)でない唇が

 ゆくえに迷うのを見たから きみが(ふさ)いでくれた

 雨に濡らせば 翼を散らし(こご)える

 やがてあがるまで やがてかわくまで

 ここにいられる言い訳だけど (ゆる)して

 晴れの日も、出かけたくないです(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点]  雨に纏わる造景と在り様がとても美しいです。  光と音とぼくらだけの世界観が幻想的です。  ゆくえに迷うのを見たから きみが塞ふさいでくれた→されてみたい……ときめいてしまいましたw […
[一言] 音のない様や雨が濡らす様が どこか艷やかで。 何も紡げない唇でも 伝えることは出来るから。 その様子が 雨の向こうの側で 微かに見える様子もまた 艷やかな感じでした。 雨の詩だけに …
[良い点]  ロマンチックで綺麗な詩ですね。 [一言]  私もインドア派なので常に外に出たくないですね。  雨の日は尚更です。
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