雨が鳴らせば
雨の日は、出かけたくないです、
はじめにあったのが闇だったから
ぼくらは目をひらいた
さがしあてた光がまぶしくても
ひとみを灼かれないように
睫毛をのばしたんだ
はじめに降ったのが雨だったから
ぼくらは傘をさした
雷にかわらずに無邪気に濡れていた
その髪に その肩に めぐりあえたから
声もかけないで
雨宿りの軒下になれたんだ
かける言葉がみあたらなかったんじゃなくて
せっかくのメロディ 濁らせたくないし
伝えたい言葉はぜんぶ 水たまりの世界を満たしてる
雨が鳴らせば なにも紡がない唇に
べつのつかいみちがあること きみが教えてくれた
雨に濡れれば 翼を重くするけど
やがてあがるまで やがてかわくまで
ここにいられる理由をくれた気がして
はじめに泣いたのがきみだったから
ぼくらは肌を寄せた
ぬぐう指 そろわずに途方にくれていた
その頬に その顎に ふれてみたのなら
声もたてないで
雨あがりの 煌々を待てたんだ
かける言葉を欲しがるわけでさえもなくて
爪弾くトラジディ 嘆くのは勝手で
使えない言葉はぜんぶ 水たまりの底まで沈んでる
雨が鳴らせば 歌を奏でない唇が
ゆくえに迷うのを見たから きみが塞いでくれた
雨に濡らせば 翼を散らし凍える
やがてあがるまで やがてかわくまで
ここにいられる言い訳だけど 赦して
晴れの日も、出かけたくないです(笑)