6.初期クラス決定!!
クラスを早速、変えることにする。
幸いゲームと同じ仕様で、初期クラスには難なくクラスチェンジできるらしい。
即ち、【戦士】、【魔術師】、【神官】、【斥候】の基本四クラスだ。
初期クラスに選べない【農民】になっていたのは謎だが、この世界では察するに生まれたときに親のクラスに影響されるか、それまでの行動でクラスを勝手に割り振られるかするのではないだろうか。
まあ確かめようのないことだから、考えても仕方ない。
さて念願のクラスチェンジとなったわけだが、……ここは【魔術師】と【神官】になるのが一番だろうな。
まず武器のない状態では【戦士】と【斥候】でのSP稼ぎが現実的ではないこと。
素手による格闘は【戦士】でSPを貯めて〈格闘家の証〉を習得して、【格闘家】にクラスチェンジしなければならない。
ただ【格闘家】の格闘能力は対人向けで、魔物にはやや心もとない。
というのも【格闘家】という名前の通り、打撃以外にも投げ技や絞め技などがあるのだが、魔物の形状によっては効かないことがあるのだ。
更に上級クラスである【拳聖】まで行くと拳と蹴りでどんな魔物も倒せるようになるので、格闘で戦うならSPを貯めて一気に【拳聖】になるのがセオリーだろう。
よって現状、SPを稼ぐなら攻撃力のある【魔術師】一択なのである。
そして【神官】には初期から習得できる回復魔法がある。
怪我は怖いので一応、習得しておこうと思う。
でもいきなり魔法を使えるようになったら、目立つだろうなあ。
とはいえ、こっそり森に入るのだってそう何度もできるとは思えない。
SPを稼ぐためには魔物を倒さなければならないのだから、森には定期的に入りたいところなのだが、大人たちは許さないだろう。
……まあともかくクラスチェンジだ。
うん、問題なくできたね。
あとは早速、SP消費なしで習得できる魔法を習得しておこう。
〈ストーンハンマー〉〈ウォータースピア〉〈ウィンドカッター〉のみっつだ。
それぞれ地属性+打撃属性、水属性+刺突属性、風属性+斬撃属性の基本魔法である。
そして【神官】になって、SP消費なしで習得できる〈ヒーリング〉を習得しておいた。
忘れずにアクションスキル欄にセットしておく。
さて俺のMPは十二。
それぞれの魔法の消費MPは一だから、合計で十二発撃てるわけだ。
少ないように思えるが、攻撃魔法は〈投石〉より遥かに攻撃力が高いので、ホーンラビット程度なら一撃である。
魔物との遭遇が半日かけて一匹だったことを考えると、あまり温存する必要はなさそうだ。
なおMPの回復は街での休息、フェアリーサークルで妖精に回復してもらう、マナポーションを飲む、の三種類ほどがある。
それ以外だとスキルに頼ることになるのだが、早めに【魔術師】の上級クラスの証を習得してさっさと次のクラスに進むのがいいかもしれない。
ゲーム時代なら迷わず〈マナ集積〉でMPを回復できるようにするところだが、魔法を十二発以上撃つ状況が思いつかないし、上級クラスになればもっと効率の良いスキルがあるのだ。
さて後は……このホーンラビットの死体だな。
アイテム袋に入れた食材は腐ることはなかった。
この世界のアイテム袋がどうかは知らないが、ホーンラビットの死体を放置していくのはもったいない。
肉は兎肉として食用になるし、角は冒険者ギルドで買い取ってもらえる。
もちろん村に冒険者ギルドはないし、いきなりホーンラビットの死体を持ち帰れば森に入ったことがバレるので、死蔵するしかないのだが。
――とはいえ放置するという選択肢はないな。
俺はホーンラビットをアイテム袋に入れた。
手で触れるだけで、ホーンラビットはアイテム袋に収納された。
わお、便利。
さあステータスも変更し終えたし、急いで村に戻ろう。
《名前 レイシア 年齢 5 性別 女
クラス 【魔術師】
パッシブスキル
〈農業Ⅰ〉
アクションスキル
〈ストーンハンマー〉
〈ウォータースピア〉
〈ウィンドカッター〉
〈ヒーリング〉
〈投石〉
控えスキル
〈農民の証〉
》