56.剣聖ディアーネちゃん完成
「いやあ、魔法使いと斥候がいると、ワイバーンを地上に引きずり下ろせるのでござるな。やはりパーティを組んで正解でござった」
アリサが満足そうに腕組みしながら言った。
俺はワイバーンをアイテム袋に入れる。
巨大なワイバーンがその場から消え、アリサは呆気にとられたように口を開けて目を丸くした。
「……収納魔法とは、その、ワイバーンほどの大きさのものまで入るのでござるな」
「そうだね。生き物じゃなければ、大抵のものは入るよ」
「まことに凄まじい力でござる」
ディアーネが「だよねー」とアリサに同意。
マーシャさんもコクコクと頷いている。
さて無事にワイバーンを討伐できた。
被害はディアーネが尻尾の一撃を防具の上から受けたことと、爪がアリサを引っ掻いてかすり傷を作ったことのみ。
両方を〈ヒーリング〉で癒やして、今日のところは街に戻ることにした。
数日間、森の奥の危険と呼ばれる魔物を狩った。
ディアーネとアリサ、ふたりの前衛は呼吸も合うようになり、後衛としては安心して戦線を任せられる。
マーシャさんも積極的に矢を放ち、厄介な部位をピンポイントで貫くようになってきており、頼りになる存在だ。
俺はといえば、基本的に〈アイスボルト〉を撃ち続け、怪我人が出たら〈ヒーリング〉するといういつも通りの動きに徹していた。
MPが十二点しかない以上、無制限に撃てる〈アイスボルト〉を主軸にするのは理にかなっており、MP消費のある〈ヒーリング〉のためにMPを温存するのは仕方のないことだ。
神官でも加入してくれれば良いのだが、……まあ今更である。
というのも遂にSPが貯まって、【神官】の上級クラスの【司祭】になることができたからだ。
【司祭】の初期スキルは〈ディスペル〉。
相手のバフを打ち消したり、味方にかかったデバフを打ち消すことのできる便利な魔法である。
【司祭】になったので、次の目標は〈回復量増加Ⅱ〉の習得だ。
そう高価なスキルではないので、割りと早く習得できるだろう。
その次は、【司教】へのクラスチェンジを目指す。
最上級クラスなのでそれなりにSPがかかるが、習得したいスキルも幾つかあるので、是非ともなっておきたい。
回復役を担う以上、妥協は命にかかわるからな。
「やった、できたー!!」
戦闘中に歓声を上げたのは、ディアーネ。
遂に斬撃五連撃を達成したのだ。
「おめでとう、ディアーネ。遂に五連撃だね」
「うん、レイシアが教えてくれてたから、いつも練習していたんだよ!」
「そっか。……とりあえず、目の前の魔物を片付けてくれる?」
「あ。そうだった」
危うげなく魔物を斬り伏せる。
ふむ、〈霊体斬り〉〈剣・斬撃Ⅳ〉〈剣・斬撃Ⅴ〉を習得したか。
そうなると【剣聖】に残るスキルで欲しいものは、喫緊では存在しない。
次の成長先を決めるときが来たのだ。
「さてディアーネ。遂に五連撃達成したわけだけど、そろそろ戦闘スタイルを決めないといけないね」
「戦闘スタイル?」
「そう。具体的には辻斬りシュンと同じく二刀流十連撃を目指すか、盾を持って騎士系の技を習得するか」
「…………ほへ?」
「いまさら他の武器を持つ選択肢はないでしょう? となると、二刀流か盾を持つかの二択になるんだけど……」
「え、急に言われても。どちらにせよ片手で剣を持つってこと? 大丈夫かなあ」
うん、確かに十歳の腕力では不安があるか。
ならばオススメは……。
「私が個人的に勧めるなら、盾を持つことだね。実は騎士系の技には、腕力を増大させて片手で武器を操れるようになる技があってね」
「へえー。なら盾にする」
決断が早い。
「レイシアが言うなら、それがきっと強くなる近道なんだよね!」
「え、うん、まあ……」
どうやらかなり信頼されているようだ。
まあね、ゲーム『トゥエルブ』の知識に関してはこの世界で右に出る者はいまい。
ちなみに騎士系には二通りのルートがあって、【白騎士】と【黒騎士】がある。
どちらも似たようなスキルを習得できるが、細かいところで違いがあり、【白騎士】は自己バフに秀で、【黒騎士】は敵へのデバフ付与に秀でているという個性がある。
多分、性格的にディアーネなら【白騎士】になりそうだが、そこは無意識の選択だ。
この世界ではどうなるか分からない。
ともあれ、ディアーネは騎士系クラスを目指すため、街に戻ったら盾を購入して扱いを練習しなければならないだろう。
できるだけ早く【白騎士】になってもらって、片手で両手武器を扱えるようになる〈剛腕〉のスキル習得を目指して欲しいものだ。
《名前 レイシア 年齢 10 性別 女
クラス 【魔法使い】
パッシブスキル
〈MP軽減Ⅱ〉
〈凍結付与〉
〈高速詠唱〉
〈回復量増加〉
アクションスキル
〈ストーンハンマー〉
〈ウォータースピア〉
〈ウィンドカッター〉
〈アイスボルト〉
〈ブリザード〉
〈レイ〉
〈ヒーリング〉
〈ディスペル〉
控えスキル
〈農民の証〉
〈大魔術師の証〉
〈魔法使いの証〉
〈司祭の証〉
〈農業Ⅰ〉
〈槍・刺突〉
〈投石〉
〈MP軽減〉
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