49.再会
ディアーネの装備を更新した。
革製の篭手を追加して、ブーツを新しくして、剣はミスリルが少し入った鋼の剣に買い替えた。
ミスリルがほんの少し入ったところで、名称は鋼の剣のままだ。
ただしレアリティが7になった。
以前の鋼の剣はレアリティが5だったので、良い剣になったのは確かだ。
さて俺のブーツもついでに新しいものにした。
あとは普段着もサイズが合わなくなりつつあったので、着替えも購入しておく。
結構な金額を使ったつもりだが、残高はまだまだ余裕があった。
かなり多くの魔物を狩ってきただけあって、そこら辺の冒険者より多く稼げているらしい。
「ふんふんふーん♪」
機嫌のいい鼻歌は、ディアーネのものだ。
装備を更新したてなので、早く試し斬りがしたいと領都近郊の森に入っているのだ。
ゴブリンをサクっと片付けたものの物足りなく、マーシャさんの〈気配察知〉だよりに獲物を探してウロウロする。
森を練り歩き、そろそろディアーネも満足した頃、それは見つかった。
キノコが円状に群生している場所。
フェアリーサークルだ。
「あった!!」
ディアーネとマーシャさんは「何が?」と不思議そうな顔をしている。
知らなければただのキノコの群生地だ。
「ここに妖精さんがいるの」
「え、本当!?」
「どこー?」
「今から呼ぶね。フェイ、出てきてくれる? レイシアよ」
ポウ、とフェアリーサークルがほのかに光り、妖精が姿を現した。
「あ、レイシアだ。久しぶりね、フェイよ」
「久しぶり。なかなかフェアリーサークルがなくて会えなかったんだ」
「そうなの? まあフェアリーサークルは色々なところにあるけど、無くなったり新しくできたりするからねえ」
どうやら五年も会っていないのに気にもとめていない様子。
やはり妖精は年月の感覚が人間とは違うようだ。
「ねえレイシア。誰と話しているの?」
「え?」
振り返れば、マーシャさんとディアーネが不思議そうな顔で俺を見ていた。
フェイがカラカラと笑った。
「あはは。普通の人間に私たちは見えないからね。レイシアは特別なのよ」
「え、そうだったの!?」
「ええ。だからアイテム袋をあげたの」
「じゃあ……あのふたりにアイテム袋をあげることはできない?」
「無理でしょ。だって、見えないんだもの」
聞けば、アイテム袋とメニュー画面も見ることができないらしい。
そういえば俺が操作しているメニュー画面を他の人間が見たということはなかった。。
そうか、妖精同様、アイテム袋もメニュー画面も見えないなら、与える意味はない。
……うーん、戦力増強になるかと思ったけど、上手くいかないものだなあ。
「そういえば身長伸びた、レイシア?」
「五年も経っているからね。そっちは変わりなさそうだけど」
「いいえ。変わったわよ。主に外見でなく地位が」
「地位?」
「ええ。妖精の中で名前を持っているのは妖精女王と私だけだもの。次の妖精女王は私だって、妖精界じゃちょっとした有名人になったわ」
なんと。
俺が名前をつけたせいで、そんなことになっていたのか。
まあ妖精界の出来事なんて俺たちには関係なさそうだけど。
「で? 用事はそれだけ?」
「うん。ふたりにアイテム袋を渡せれば、と思ったけど無理そうだし。……でも久しぶりにフェイに会えて嬉しいよ。また会おうね」
「ええ。それじゃあね!」
フェイは光の粒となって消えた。




