18.冒険者になったよ!!
カイウス開拓村から丸一日の距離にある街。
とはいえ辺境の街だ、冒険者ギルドがあるとは聞いているが、そこまで充実しているわけじゃない。
俺たちは領都に向けて旅を続ける予定でいた。
俺たちが今いるのはライオネル王国の南西の果て。
バードナ辺境伯領の最南端だ。
いくつかの開拓村が点在する未開地のような場所である。
その開拓村へのハブとなっているのが、この街だ。
街の名前は知らない。
村長でさえ、『街』としか呼んでいないのだから、俺たちが知るよしもない。
ひとまず冒険者ギルドを探す。
門を通って、割りとすぐのところに剣と盾の絵が書かれた看板を見つけた。
看板には『冒険者ギルド支部』とある。
ディアマンドから聞いた話では、ここで冒険者登録ができるということだった。
俺とディアーネは冒険者ギルドの扉をくぐって、中に入る。
中は閑散としていた。
書類の整理をしていたカウンターのおばちゃんが顔を上げた。
武装した子供ふたり組。
何をしに来たのか察してもらえただろうか。
俺たちはカウンターのおばちゃんに話しかけた。
「すみません、冒険者登録をしたいのですけど」
「はいよ。この用紙に名前を書いておくれ」
この世界の識字率はかなり高い。
神殿学校があるからだ。
七歳になったら、誰もが通うことになっている。
だから読み書きは基本的に誰でもできる。
俺とディアーネは用紙に名前を書いた。
冒険者登録票と書かれた用紙には、名前を書く欄しかない。
名前を書き終えた用紙をおばちゃんに渡すと、「ちょっと待ってな」と言ってカウンターの奥にある箱型の道具に何やら打ち込み始めた。
しばし待った後、「出来たよ」と渡されたものが冒険者タグだ。
小さな金属板に名前が印字されている。
冒険者タグをためつすがめつしていると、おばちゃんが説明を始めた。
曰く、冒険者タグの材質がランクを決めているとのこと。
最初は鉄、次に銅、次が銀で最高ランクが金とのことだ。
銅ランク、銀ランク、金ランクと呼び習わし、鉄の間は初心者扱いらしい。
依頼は掲示板に貼られているものから好きなものを取って、カウンターで処理してもらう。
基本的にどんな依頼でも受けることはできるのだが、難易度が高い依頼は失敗時に違約金が課せられており、失敗時は馬鹿にならない額を支払わねばならない。
違約金の支払い能力がないと判断された場合は、ギルドの方で依頼の処理を断ることができるそうだ。
「早く銅ランクに上がることだね。ランクが鉄の間は何かと不自由だよ」
「不自由なことがあるんですか?」
「冒険者ギルドと銀行が提携しているのは知っているかい? 冒険者タグと口座を紐づけることができるのが、銅ランク以上なんだよ」
つまり冒険者ランクが鉄である間は、報酬は振り込みではなく現金払いらしい。
確かに不便だ。
「まあお嬢ちゃんたちなら大丈夫かねえ。装備も充実しているようだし、片方は魔法使いのようだしね」
チラリと私の方を見るおばちゃん。
ショートロッドを見れば、魔法使いであることは一目瞭然だ。
「ただねえ……ガラの悪いのもいるから、そういうのには関わらないように気をつけな」
やっぱり心配事は人間相手らしい。
まあそれはそうだろうなあ。
説明はそれで終わったようで、俺たちはひとまず冒険者ギルドを後にして宿を探しに街を散策することにした。




