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義妹が可愛すぎて同棲生活が大変です  作者: 桜井正宗
God does not play dice. 同棲生活 - 1

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いっぱい愛してください

 この時間帯の男女ですることなんて……ひとつしかない。


 あぁ……なんてこった。


 これ、えっちなヤツだ。


「ま、待って。落ち着け、菜枝……俺たち、まだ高校生だぞ」

「学生の間にしておきたいんです」


「……ッ!」


 菜枝からそんな風に誘われるとは思わなかった。俺は、不覚にも脳内でイメージを膨らませてしまった。……まずい、我が下半身の悪魔が……目覚めようとしている。


「兄さんに、わたしの初めてを貰って欲しいんです」

「本気なのか?」

「はい、だって……わたしは兄さんのことが……」


 ただでさえ真っ赤な顔が、もっと赤くなって破裂した。ボンッと音がしたぞ。菜枝のヤツ、無茶しすぎだ。手足だってブルブル震えているし、この感じ“初めて”というのは事実で間違いなさそうだ。


 もし手慣れていたのなら、俺はとっくに襲われていただろう。


 なのでちょっと安心した。


 ふぅ……って、そんな場合ではない。


 肝心なのはこれからだ。


 俺は今、重大な局面を迎えていた。



 このまま義理の妹をベッドへ押し倒し……致してしまうか。それとも、部屋に帰らせて大人しくしてもらうか。



 ある意味、苦渋で究極の選択を迫られていた。



 手汗が、全身の汗が(にじ)み出る。

 人生でこんな汗を()いたことはない。胸も狂ったように鼓動を繰り返している。死んでしまうのではないかと思うほどにドキドキしている。



 ここで俺は自問自答を始めた。



 この千載(せんざい)一遇(いちぐう)のチャンスを逃して良いのか、俺よ。義理とはいえ妹だ。妹だけど義理だ。

 菜枝はそういう(・・・・)関係を求めている。俺も……どちらかといえば、そんな関係もありかなと思っている。


 恐らく、気持ちは両想い。

 なんの問題もない……けれど、まだたったの二日の関係。こんな数日も経たずに、満足な恋愛もせずに……してしまっていいのだろうか。


 俺はどちらかと言えば、純愛を求めていたのだが。いや、でもこの機会を逃せば……きっと後悔する。


 激しく天秤が揺れ動いて、俺は正気を失いかけていた。……まずい、脳がバグってきた。誰か俺の代わりにサイコロを振ってくれ。


 ――あぁ、でもあの天才物理学者・アインシュタインは“神はサイコロを振らない”とも言ったな。


 そっか、この世は……サイコロの目のように気まぐれだ。


 難しく考える必要はなかった。

 ただ、己の気持ちに従えばいい。


 この瞬間、選択権は俺に委ねられた。

 なら、俺は……。



「……分かった。誰かに菜枝を取られるくらいなら……」

「嬉しいです、兄さん」

「ただ……俺、大人のゴムは持ち合わせていないんだ」

「兄さん、大人のゴムってなんですか?」


 菜枝はポカーンとしていた。


 ちょ……え。


 そこ、体育の授業とかで習ったはずだけどなぁ?! いや、女子はそういうのは教えて貰わなかった、とか。それとも、単純に菜枝の知識不足か。



「それがないと……赤ちゃんできちゃうだろ」

「え、兄さんの……赤ちゃん。えへへ」


「えへへ、じゃないよ!? 出来ちゃったら大変だから……ほら、俺たちまだ学生だから」


「それじゃあ、えっちなこと出来ないんですか」

「む、無理だな。さすがにナシはリスクが高すぎると思う」

「でもぉ」


「残念だったな。せめてもっと準備してからじゃないと……心の準備とかも含めてね」

「うぅ、そうだったのですね。知らなかったです」


 無理ではないが、危険すぎるのは確かだ。菜枝を大切に思えばこそ、無茶はできない。俺もかなり残念だが……今は耐えよう。



「そ……その代わりと言ってはなんだけど、一緒に寝るか?」

「いいですか、兄さん」

「それくらいはいいよ」

「やったー! 兄さんと寝るの好きなんです」


 瞳を星のようにキラキラ輝かせる菜枝は、はしゃいで俺に抱きついてきた。子供かっ。


「仕方ないな。ほら、もう寝よう」

「……兄さん、抱き合いましょう。ほら、ぎゅ~っとして下さい」


 対面で抱き合い、完全密着。

 なんだこれ、これでも十分幸せじゃないか。


 菜枝の抱き心地、凄く言い……。ぬいぐるみよりもフワフワしていて癒される。



「な、菜枝って……良い体してるな」

「そういう兄さんこそ、筋肉がたくましくて……えっちぃです」


 俺の大胸筋に触れてくる菜枝。手つきがイヤらしい。でも、寝心地最高だ。今晩は、ぐっすり寝られそうだ。


「……菜枝、いつまでも俺の(そば)にいてくれるか」

「当然です。わたしは、兄さんの義妹ですから……いっぱい愛してください」



 菜枝の小さな頭が俺の胸に埋まる。天国のように心地よく、俺は義妹の体温を感じながら――眠りの世界へ。

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