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義妹が可愛すぎて同棲生活が大変です  作者: 桜井正宗
God does not play dice. 同棲生活 - 1

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妹のシャンプーの良い匂い

 顔も体もマグマのように熱い。

 どうやら、俺は()()せたらしい。


 それと脈もおかしかった。

 菜枝を見るだけで頭が真っ白になって……何も考えられなくなった。どうしてしまったんだ、俺は。


 ぼうっとしながら、ショートパンツ姿の菜枝を眺める。……なんてこった。ただそこにいるだけなのに可愛い。あのふわふわの髪を撫でてみたい。


 そんな激しい衝動を抑えつつ、俺はマヨネーズに手を伸ばした。



「に、兄さん! ねりからし(・・・・・)のチューブを口に(くわ)えて、どうしたんですか!」



 叫ぶ菜枝だが、俺は意識が朦朧(もうろう)として自分のしている行為がよく分からなかった。……確か、俺はマヨネーズをかけようとして?


 なぜか口の中にマヨネーズが広がって……ん?


 ねりからし?



「からあああああああああああッッ!!!」



 獰猛(どうもう)なドラゴンのように火を噴く勢いで俺は飛び跳ねた。って、なんで“ねりからし”を口の中に放り込んでいるんだ、俺は!? 馬鹿か!?



「ど、どうしたのですか、兄さん!」


「んふぉええええくれェ!!」(←水をくれと言っている)


「お、お水ですね。分かりました」



 急いで蛇口を捻り、グラスに水を注ぐ菜枝。俺はグラス受け取り、口を(ゆす)いだ。


 うぇ……死ぬかと思った。けれど、これで冷静になれた。俺は頭がどうかしていた。



「ありがとう、菜枝。さっぱりしたよ」

「本当にどうしたのですか?」

「……た、たいしたことはない。それより飯にしよう」



 料理をテーブルへ並べ、食事にする。

 椅子に座って俺は気持ちを切り替えた。今は食事を楽しもう。


「わぁ、なんだか本格的ですね。ご飯に豚汁、とんぺい焼きと唐揚げだなんて豪華です」

「お、菜枝ってばとんぺい焼きを知っているとはな」

「知ってますよ~。あの喫茶店で子供の頃に食べさせてもらって、それ以来好物なんです」


 その喫茶店とは、親父の経営するお店だ。そうだ、思い出した。俺は菜枝を連れていたっけな。懐かしい。エロ本事件もあの時か。


 懐かしい思い出に浸りながら“いただきます”をして菜枝と楽しい食事を進めていく。


「ああ、そうだ。テレビを見たければ小型プロジェクターで壁に映像を映し出せるから。部屋は暗くしないとだけど」


「そういえばテレビがないと思っていましたが……プロジェクターがあるんですか」

「ガジェット好きの爺ちゃんから貰ってね」

「凄いです。でも、兄さんとお話する方が楽しいので大丈夫です」



 思わず箸を止めた。

 俺と話す方が楽しいと言ってくれるとか、嬉しすぎかよッ。本当に良い妹を持った。そもそも元幼馴染でもあるから、俺も話しやすいし、一緒にいて楽しいと感じている。


 しかも、えっちだ。

 俺が求めなくとも、菜枝が求めてくれる。


 なんて嬉しい。

 永久(とこしえ)の童帝・独身貴族になる予定だったが、その必要もなくなったかもしれない。



「俺もだよ。菜枝がいるだけで俺は幸せだ」

「……嬉しいです、兄さん」


 泣きそうになる菜枝は胸を押さえていた。嬉しそうだ。


「さあ、冷めないうちに食べよう」

「そうだ、あ~んしてあげますね」

「え?」


「とんぺい焼きをあ~んしてあげます」


 ぷるんぷるんのとんぺい焼きを箸で摘まむ菜枝。柔らかいから直ぐ食べないと落ちちゃう。俺は少し躊躇(ためら)いながらも、けれど菜枝のとんぺい焼きをいただいた。


 ……うまっ。


 そもそも、マヨネーズたっぷりのトロトロで美味いのに、更に味が増した気がした。こうして、あ~んしてもらうだけでこんなに味が変わるものなのか。知らなかった。


「美味すぎる」

「えへへ、良かったです」


 俺はなんて幸せ者なんだ……。



 ――食事を終え、菜枝と共に食器を片付けて……まったりタイム。各々の部屋で過ごし、就寝前。ラインが入った。



 菜枝:兄さんの部屋に行っていいですか?

 來:構わないよ


 少しして菜枝が扉を開けた。

 俺の部屋に入ってきて、もじもじしていた。動作がいちいち可愛い。


「どうした」

「兄さん……その、えっと……」

「と、とりあえず、隣に座ったらどうだ」

「はい……」


 俺はベッドから体を起こし、菜枝を迎えた。シャンプーの良い匂いがする。


「で、どうした。もう寝る時間だぞ」

「……したいです」


「ん? 声が小さくて聞こえなかった」


「したいんです」

「な、なにを?」


「…………そ、そんなの恥ずかしくて言えません。女の子の口から言わせないでください……うぅ」



 ――って、まさか!?

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