とある天才科学者の地球救済法
第四回なろうラジオ大賞参加作品第二十六弾!
地球は破滅に向かいつつある。
人間という、母なる大地を我が物顔で破壊し続ける存在のせいで地球環境が狂い始め、さらには同種同士で日々争い、その果てに大量破壊兵器を生み出し炸裂させその影響で地球は余計狂ってしまった。
このままでは地球は終わりだ。
しかし人間の在り様をそう簡単に変える事はできない。
――どうすれば地球と人間、どちらも救えるのか。
そう考えて幾数年、ついに私は解を得た。
かつて地球に生息していた様々な動物。今じゃ人間しかいなくなったこの大地に存在した……人間よりもこの地球の事を考えていた存在の精神を人間に植え付けるという方法だ。人間がより野性的になり、地球の危機を直感的に感じ取れるようになれば、嫌でも人間は地球の事を考えるだろう。
そう考えた私は、まずはAIに、動物がいた時代に撮影された野生動物の映像を見せ、行動などを完璧に模倣させ、その傍ら、そのAIとシンクロするナノマシンの開発を進めた。
そして――。
「やった! やったぞマリー君!」
――私は成し遂げた。
「ええ、ようやく完成しましたね博士! 試作品ですが、十三種類の動物の行動を模倣させたAIと、それぞれのAIとシンクロするナノマシンが!」
「うむ、これで人類は――」
しかし、私はそれ以上の言葉を紡げなかった。
なんと私は、背後から……マリー君がいる背後から衝撃を受けて……。
※
「よくやった、マリー」
「はいアストレイ大佐♪ これで我が軍は勝利できるんですね!」
私は親愛なる上官に、動物の行動などを模倣させたAIと、それとシンクロするナノマシンを献上した。
全ては我が軍の勝利のために。
※
我が軍はより強力な兵器を求めていた。
それも列強諸国の大量破壊兵器をも凌駕する性能の兵器を。
そしてそんな兵器開発の手助けとなるため、私を始めとする工作員は様々な分野の科学者の助手として潜伏していた。
そしてその中で私は、一番早く、我が軍のためになる研究成果を奪取したというワケである。フッ、これで昇進も夢ではない。
にしても博士も馬鹿な事を考えたものだ。
わざわざかつて存在した下等生物に縋るなど。
だが、そんな下等生物にも使い道はある。
このシステムを発展させ人間の危機察知能力が上がればさらに強力な兵士が……おや、別の工作員が奪取した巨大ロボット兵器の情報が……フフッ。
このロボットと、私が奪取したシステムを組み合わせると、さらに強力な兵器が生まれるやもしれん。実に楽しみだ。
そして時代は巡り、数万年後。
最終兵器たるロボットを駆る“半身”少女達による新たなる戦いの幕が開く!!