7話 重要な役割とは?
現実逃避から立ち直った後、僕は再び彼女と向き合った。
「えぇっと、その皇 蒼空は・・・多分僕のことなんじゃないかなぁと思うんですが・・・。」
「え!ってことは、貴方が皇 蒼空さん何ですか⁉」
「一応名前は一致してますね。」
「やりました!見つけました!バンザイです!」
「そんなラップ刻む感じで言わないでくださいよ。」
「は! 失礼しました。 では改めて皇 蒼空さん、貴方には伝えておかなければならないことがあります。というよりは伝えておいた方が今後のためになる可能性があるだけなんですがね。」
伝えておかなければならないこと?一体なんだ?今後、依頼される内容を先に伝えておくとかそんな感じか?いやしかし神様的存在の人がそもそも依頼をするのだろうか?
何を言われるのか、好奇心と不安の二つが膨らみつつも僕は身構えた。
「貴方はこの世界で最も重要な役割を持った人間です。いずれ貴方にも大きな壁がいくつも立ちはだかることでしょう。」
「は?」
この世界で最も重要な役割を持っている?僕がか?僕はただの何でも屋だ。国直属の殺し屋とかスパイとかそんなんじゃない。確かに一度、国からの勧誘は受けた。しかし僕は断った。理由は単純に自由が利かなくなるからだ。国直属なんかになったら、仕事づくめで休みなんか取れないだろう。そんなのは絶対に嫌だ。
・・・やはり思い当たらない。なんだその重要な役割とは?聞いてみるしかないか・・・。
「その重要な役割とは何なんですか?心当たりがないんですが・・・。」
「それは私にも分かりません。少し前に言ったように私は記憶のほとんどを失っているので。」
「・・・嘘ついたりはしてませんよね?」
「この状況で嘘つくメリットが私にありますか?」
・・・確かにない。彼女がここで嘘をついたところで今後僕に何か不利益なことが起こるわけでもない。だがしかしやはり気になってしまう。一体何なのだろう、重要な役割とは。
「そろそろ解散しましょう。私は眠くなってきましたし、貴方もこの後楽しみがあるようですし。」
は!そうだ!さっきコンビニで買った品々を食べるという私の至福の時間が待っているのだった!これは一刻も早く家に帰る必要がある。
「そうですね、お互いそれぞれしたいことがあるようですし、これでお開きにしましょうか。」
「えぇ、ではまた会いましょうね。」
「”また”?」
「 私と貴方はまた会うことでしょう。ですので”また”です。」
「その根拠は?」
「私が神様だからです!」
「・・・それ決め台詞ですか?」
「決め台詞にした方がいいですか?」
「ぜひ、やめてください。」
「あらら・・・せっかく良い決め台詞が出来るかと思ったのに残念です。では皇 蒼空さん、また会う日まで。」
瞬きと同時に彼女はそこからいなくなった。ふと僕は自分の手に缶コーヒーを持っていることを思い出した。
これ飲みながら帰るとするか・・・
片手にコンビニのビニール袋を持ち、缶コーヒーを飲みながら僕は今度こそ帰路に付くのだった。
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