4話 異能力のきっかけ
『ありゃりゃ、この状況に絶望して泣いちゃったか。まぁ、無理もないか。』
・・・にしてもさっきの炎、どうして手から出すことが出来たんだ?事情を聞いといた方がいいだろうな。
「なぁ、あんたさっきの炎どうやって出したんだ?一体どんなトリックを使ったんだ?」
僕は殺気を出しながら質問をした。これぐらいの殺気を出しておけばビビッてトリックを話してくれるだろう。
「ト、トリックも何もただただ手から炎を出しただけよ。」
「僕をバカにしているのか?」
さらに殺気を強めた。しかし彼女の回答は「トリックでも何でもない」の一点張り。じゃあ何だ?何のしかけもなく、ただただ炎を手から出せるってことか?そんなのはもう異能力とかそういう次元の話になってくる。
「おい、いつからその能力を使えるようになった?何がきっかけで、何をした時・・・。全部詳細に答えろ。」
「だ、大体だけど1ヵ月前くらいから使えるようになっていたわ。きっかけは…分からないけど、朝起きた時に体に違和感を覚えたの、特に手を中心的に。それで手を開いて閉じてを繰り返していたら、炎が出てきたの。それでこの能力に気づいたわ。」
ふむ、つまり生まれつき能力を持っているわけではなく、後天的に手に入れたというわけか。
「最後にもう一つ質問がある。何故その能力を手に入れて人を殺すことを選んだ?人助けとかもっといいことに力を使えば良かっただろう。」
「そ、そんなこと言うんだったら、あんただって人殺しのためなんかに力を使ってるじゃないの!」
「勘違いするな、僕は受ける依頼を選んでいるんだ。金のためだとか、あいつが気に食わないだとか…
くだらない上に、私欲を満たすためだけの依頼は受けていない。明らかに被害者である者にだけ、力を使っているんだ。
僕の話はどうでもいい。質問に答えろ。」
「・・・自分はこの力を手に入れて最初は怖かったわ。でも、ある日ムカついた奴に向けて炎を放ったらそいつは呆気なく死んだわ。自分がとんでもないことをしたことは分かっていたけど…でも気持ちよかった。自分に反抗してきた奴がこんなにも弱いんだって。」
「で、それがきっかけで今回のことに繋がったわけだ。」
「えぇそうよ。本当に申し訳ないことをしたと思っているわ。だからどうかお願い!私を殺さないで!ちゃんと償って生きていくから!」
「は?何言ってんだ?お前は人を数人殺しているんだ。それに言っただろう。これは仕事だ、殺させてもらうよ。」
「そんな… お願い!本当に!こんなところで死にたくないわ!ねぇお願い!」
僕は腰に携えてていたナイフを取り出した。
「この世で償うんじゃなく、あの世で償え。」
「いや!待って!おねが・・・」
・・・彼女の台詞が言い終わることはなかった。残ったのは、沈黙とナイフから滴る血の音だけだった。
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僕は後処理を済ませた後、その家を後にした。
異能力・・・まさかそんなものが生まれるとは。アニメや漫画の世界だけのものだと思っていたが、まさか現実にも存在するなんてな。さっきのターゲット、どこにでもいるような一般人だった。ただの一般人が”偶然”異能力を突然手に入れるだろうか?それを考えると・・・きっと異能力を手に入れた奴はまだまだいるんだろうな。これは世の中の形が変わっていくことになるな。
なんで僕がこんな面倒なことを知っちまったんだろうなぁ~。
まぁ、そんな簡単に面倒ごとに関わることなんかないか。
「帰りにカップラーメンでも買ってくか・・・。」
能天気なことを考えながら、僕は帰路を付くのだった。
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