8,
私は正気に戻った後にすぐに寝たらしく次に気づいたら朝だった。
なんかよく見たら昨日の服のまま寝てました。
カイトの話の途中から記憶があまりなくてそのまま寝ちゃうなんてどういうことでしょう。
カイトに婚約の腕輪を貰った後はカイトはどうしたんだろう。
私は返事したんだろうか。何か話をしたのかもしれないけど全然わからない。
「ぐ〜。」
ちょっとはっきり解るお腹の音が聞こえて私は笑った。
こんなに考えているのに体はお腹が空いているの。
みんなの分も朝ご飯を作って早く町に行って心配かけた分もお兄ちゃんやお姉ちゃんにまずは謝って来よう。
私は急いで着替えて鏡の前で身支度を整えて部屋のドアを開ける。
「あれっ。」
開けにくい。何かが引っかかっている感じがする。思い切り体重を乗せてドアを押すと急にすっと軽くなってドアが開く。
急にドアが開いて私はちょっと前のめりになりバランスが取れない。危ないと思ったら支えてられた。
カイトがドアの前にいて私を支えて真っ直ぐに立たせてくれた。
「おはよう。寝れたか。」
と聞いてくれるカイトの顔見て照れる私は
「おはよう。お腹空いて起きたの。ご飯を作る。」
と言うとカイトは
「手伝うよ。何をすればいいか教えて。」
と言うので2人で朝食を作る。
私がスープを作っている間にカイトにテーブルの準備と昨日作ったパンやコップを運んでもらって加工したお肉をベーコンに見立てて焼いてカリカリベーコン風サラダを用意する。
カイトが話かけてくるのを食事の準備で忙しいような態度をして
「次はこれ運んで。」
「これ並べて。」
と言う感じに渡したり指示して食事の準備ができると他の人にも食事を誘って食べようと言ってカイトにみんなを呼びに行かせてしまい結局のところ昨日はどうしたのかわからないままになってしまった。
みんなが部屋から出て来て食堂のテーブルの席に座るとご飯にした。
レナとアリーにも
「よく寝れたの。まだちょっとぼんやりしてるよ。」
「おはよう。寝れなかったの。」
と聞かれた。ギルバートはちょっとずれていた。
「この宿屋いいね。ここ拠点にして森の攻略したいよ。買取できたらエマちゃんが女将さんになってこんな感じのご飯を毎日出して欲しい。で、ここからダンジョンアタックなんてすごく良くないか。」
「ギルバート、俺はエマをこんな場所に置いて行く事はしない。何しにここへ来たのか忘れたのか。まだ寝てるなら起こしてやるよ。」
とカイトは言うと呆れたようにギルバートの頭をポカポカと叩き続けて
「起きろ。起きたか。なんならお前1人で残れよ。」
とカイトが言うと
「ギルバートさんひどい。」
「エマをここに残してなんて帰らないから。」
とレナとアリーもちょっと怒って言う。
「明朝にはここを出て町へ行こう。」
とカイトが言うとレナもアリーも私を見て
「一緒に戻ろう。」
「一緒に行きたい所もあるんだよね。」
と言って笑う。
「わかった。その行きたい所に案内してね。お願いね。お礼とお詫びをしないといけない所があるからカイトも付き合ってね。」
私もお願いしておいた。
朝食を終えてレナとアリーが話したいことがあるからと言って食事の片付けを手伝ってくれた。
私の荷物も片付けてくれるというので調合の道具や部屋の片付けまで一緒にした。
その間に畑の野菜や薬草の収穫と持って帰れる物があるかの確認まで畑仕事を子供の頃に一緒にしてたカイトがやってくれると言ったので任せた。
レナとアリーからは町での事を詳しく教えてくれた。冒険者パーティーを解散してからカイトがこの廃村に行くパーティーに入れてくれた時の話も聞いた。
2人は結構カイトに無理を言ってついて来たことがわかった。
カイトに冒険者レベルが低いと何回も言われて私から習ったポーションを飲みながら特訓して魔力を上げた話は感動した。
アリーは戦闘中に魔力切れを起こさないように頑張ったようだ。
レナもできる魔法の種類や魔法の制御を細かくできるようになったそうだ。
そんな話を聞いて2人からの私への友情に感謝しきれない。