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 7,

私は部屋に入りベットに横になって話を思い出していた。

置いて行かれたことに最初は怒っていた。


でも向こうも逃げるしかないから私のことまで考えていられなかったんだろうと無理矢理だけど納得させていた。


どうしようもできない。やるせない気持ちだった。

私は気持ちが空回りするようなグルグルとした感じで不完全燃焼だった。


『恨む、憎む、復讐心』


そういった気持ちはもうなくて、どうしようもない気持ちだけがグルグルと私の中を出口を探して回っている。


つぅーと涙が出ていた。


なんか急にほっぺに冷たい物があると触ったら涙が…。

涙に気づいたらどんどん流れてきて止められない。


『私、哀しかったみたい。』


みんなから離れて部屋に引っ込んで正解だった。心配かけちゃう。

前向きにならないと楽しいことを思い出してみよう。


いろいろな思いで帰れないと私は諦めていた。

やっと、お姉ちゃんやお兄ちゃんにも会いに行ける。

『戻れる。』

私の甥っ子や姪っ子達はどうしているだろう。みんなに会っておしゃべりしたい。


一緒に美味しい物を食べて遊びたい。泊まりに行こうかな。

前の部屋は引き払ってしまったからどうしようかな?


ちょうどいいから行きたかった旅行に行くのもいいかもしれない。

あっ勝手にどっか行ったら心配かけちゃう。


どうしたらいいかなぁ。


なんて思ってまた泣いちゃった。涙が止まらないよ。

トントントンとドアをノックする音が聞こえた。


「入るよ。」


と言う声がして返事をしてないのにカイトが入ってきてドアを閉める。


「まだ伝えることが残っているから。あっ、又、勝手に1人泣いてるな。いつも言ってるだろう。ずっと一緒にいるから1人で泣くな。俺の前ならいくらでも慰めてやるし、愚痴でもなんでも聞いてやるから遠慮するな。1人の方がどれだけ心配になるか。姉ちゃん達にも言われてるだろう。エマはなんでもやり過ぎるから。相談しろって。」


と言って近づくとカイトは私の頭を撫ぜてくれる。


「ありがとう。」


そう言って私は体を起こしてベットに座るとカイトも隣に来て


「何か聞きたいことや話したいことがあるなら聞くよ。」


と言うのでカイトの顔を見てお礼を言う。


「ありがとう。何を言っていいか。聞くことがあるのに言葉に上手くできない。」


と私が言うとカイトが私を覗き込むようにして目を見て笑う。


「ゆっくりでいいよ。俺が解る範囲で答えるから。聞いて。」


「ちょっと胸を貸して。」


私はそう言ってカイトの胸に顔を埋めて泣いた。ぐずぐずと言った。


「納得ができてないの。」


ぐずぐずと泣きながら続けて言った。


「あのパーティーに罪を知って欲しいの。私の納得がいくように何かさせたい訳じゃないの。助けたのに依頼を握り潰した人達も、でもこんなことで何かを得たいわけじゃないの。」


カイトを見る。


「私、どうしたらいい。」


と言ってずっとぐずぐずと泣いていた。

そのまま涙が止まるまで泣いて泣いてぐずぐずと何か言ってカイトが頭を撫ぜてくれる。


「俺、ギルマスから手紙をもらってそれに書いてあった幼き頃に2人が過ごした想い出のいえを胸に亡き父母の元へ行こうと思うます。先立つてしまった事を許してください。今までありがとう。お手数をおかけしますが貸家と荷物を処分してください。金品や使える物は手間賃としてお納めください。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。宿屋にて貴方の幸せを願いつつ。なんて読んで穏やかじゃなかった。こんな手紙を書く訳ないのが一番俺が知っているから意味を考えた。幼い頃、想い出の家、亡き父母で連想してあの廃村がわかった。宿屋であの廃村の宿屋に先にいるということがわかった。誤字の文字をつないで読むと「エマカイト待つ」てあったから準備して来た。本当に待たせてごめん。これも受け取って欲しい。」


と言ってカイトは私の手に腕輪を付けた。アンティークゴールドみたいな少し黒みがある金色のシンプルな腕輪だった。


「俺、婚約者だからさ、その証。好みと違うかもしれないけどシンプルイズザベストだろう。俺がずっと一緒にいる約束したのそういう意味だから気づいてなかったかもしれないけど。」


と言ってカイトは赤くなった顔を私からそらして言った。


「ずっと昔から好きだ。結婚しよう。一緒にいたい。」


カイトから婚約の腕輪を貰ってしまった。私はパニックだ。

わぁーどうしよう!!


もう婚約者で決定ということは私もカイトに腕輪を用意しなきゃ。

えっどうしよう。


お兄ちゃんやお姉ちゃんに今回の事で叱られて婚約報告でからかわれる。

そっちもどうしよう。とりあえず腕輪のお礼を言わなきゃ。


カイトの好みを聞いて錬金術士が用意したと解る感じにアレンジするの。

なんていろいろ考えていたら私が正気に戻った時にはなぜか外も暗く夜になっていてベットの中だった。


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