フォン様のペット
フォン様は甘やかしたがり
ご機嫌よう。ジャンティーです。フォン様を抱っこして寝たおかげで久しぶりに良く眠れました。
「んん…」
「起きたか？おはよう、ティア」
「おはようございます、フォン様」
ペットなのにフォン様よりぐっすり寝てしまいました。
「すみません、起きるのが遅くて…」
「気にするな！それよりもティア！今日はいい天気だ！さっさと朝食を済ませて庭に出よう！」
「はい、フォン様」
朝から元気だなぁ。やっぱり年上とはいえ子供なんだなぁ。
コンコン…。
「ローゼか？入れ」
「坊ちゃん、ジャンティー。おはようございます。洗顔水とお着替えをお持ちしました」
「ご苦労」
「ありがとうございます」
「ジャンティーは本当に良いペットですねぇ」
「そうだろうそうだろう！僕の自慢のペットだ！」
「あはは」
複雑…だけどフォン様の屈託のない笑顔が可愛い…強く言えない…。
「さあ、洗顔と着替えがすみましたら次は御髪を整えましょう」
「ん。僕の髪はいいからティアの髪を梳いてやれ」
「？かしこまりました」
「え、ペットなのに私が先でもいいんですか？」
「ティアは本当に賢いな。ペットなのに自分の身を弁えている。可愛いぞ、ティア」
一生懸命背伸びをして私を撫でようとするものの全然背が届かないフォン様のために頭を下げると、満足そうに頷いて私の頭を撫でてくれるフォン様。
「僕の髪はティアに整えて欲しい」
「わ、私ですか？まあ、一本縛りくらいなら…？」
どうしよう。一応平民になってからは自分で髪を梳いていたけれども人の髪なんて弄ったことない。
「ティア。下手でも許してやるから、な？」
「は、はい…」
負けた！キラキラしたフォン様の瞳に負けた！
「ふふん。ティア、大好きだぞ」
…そんなに無邪気に大好きとか言われると反応に困ります。家族にすら言われたことないのに…。
「…ありがとう、ございます」
私が照れて顔を赤く染めて小さく呟くと、フォン様はまた可愛い、可愛いとはしゃいで私の頭を撫でてくれます。
「さあ、ティア！髪を整えてくれ！」
「は、はい！頑張ります！」
私はもたもたしながらもなんとかフォン様の髪を綺麗に縛って整えられました。ああ、緊張した。
そして甘えたがり
