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ハンタ連載再開されそうなので投げときます。
スカイツリーに到着すると、チケットカウンターにデカデカと料金表が貼られていた。
セット券 大人 3100円
「鈴木さん!経費で落ち……」
少し遅れてきた鈴木さんに声を掛けようとすると
「落ちません!学習してください!三千円くらい持ってないんですか?」
即答された。
「えっと……春休みに遊びすぎたのでお財布がちょっと寂しくて……」
「村越さん、2月に仮卒だからってたくさんシフトに入っていたと聞いているのですが!?」
「運転免許も取りに行っていたので、そんなには入っていないですよ。ゔー、スカイツリーを諦めるかスカイツリー饅頭を諦めるか……。あ!お給料の前借りとか!」
「できません!入社して数日で『お給料の前借り』とか言い出す人は初めて見ました」
「お褒めに預かり光栄です!」
「褒めてません!!社長からも何とか言ってください」
「あー、何だったら個人的に貸そうか?」
社長がお財布を取り出し中を覗き込む。
「ホントですか?是非お願いします」
「社長、甘すぎます。もうそこまでするなら今回は社長の奢りでドーンと行っちゃいましょう」
「サワ、村越に影響されすぎてないか?……まぁ、いっか。よし、ココは俺の奢りだ」
「やったー!」「よっしゃ!」
チケットカウンターでガッツポーズを決める二人に奇異なものを見る目が注がれていた。
「スゴク高かったですね!スカイツリー」
「天望回廊は450mですからね。東京が一望できて爽快でした」
「社長?口数少なくありません?」
社長は蒼い顔をしていた。
「あー。今日気が付いたんだけどな、俺、高所恐怖症だわ」
おぉ、意外な弱点発見。
「でだ。昼飯どうする?」
ものの十分で社長は復活していた。
「村越さんは食べたい物とかありますか?」
食べたい物……食べたい物……急に聞かれても出てこない。
「仮にも日本の首都なので大抵のものは食べられますよ」
鈴木さんは優しく微笑むと
「私のオススメはラーメンです」
シレッと食べたいものを主張してきた。
「確か神田に有名なラーメン屋があったよな。そこにするか」
私の出る幕無く、お昼ごはんが決定してしまった。しかし特に異論はありません。
コインパーキングに車を停めて、暖簾を潜ると醤油の美味しそうな匂いが漂ってきた。
席に座りメニューを眺めていると、鈴木さんに
「村越さんには決定権がありませんので」
無慈悲な勧告をされた。
「そんなぁ」
「村越、お前値段だけ見てたろ」
「ゔ」
「ご注文はお決まりですか?」
店員さんが注文を聞きに来た。
「肉入り大、3つお願いします」
鈴木さんがサラッと注文する。大、食べきれるかなぁ?
「承りました。少々お待ちくださいませ」
運ばれてきたラーメンは、大きくて柔らかそうなチャーシューとへりに並べられた3枚の海苔が自己主張していた。
「いただきますっ」
「「いただきます」」
海苔をお汁に漬けてほんの少し待ち、もやしをクルクルと巻いて頬張る。濃厚なお肉の風味が口中に迸った。
「美味しーっ!!」
「美味いな」
「美味しいですね」
満場一致で、このお店を選んだ事は正解となりました。
二口目はチャーシューと麺を絡めてお口に運ぶ。油多めのチャーシューからは肉汁の旨味がとろけ出してきた。
お勘定を鈴木さんに払ってもらって店を出る時にはお腹が一杯になっていました。領収書を貰っていたので経費で落ちるのでしょう。
「では、セイヴオウル本社ですか?」
鈴木さんに聞くと
「その前に小野の様子を見に事務所寄っていく。」
社長が呟いた。
小綺麗なマンションの駐車場に車を入れると、社長はおもむろにスマホを取り出した。
ややあって通話が繋がったようだ。
「事務所に着いたんだけど、小野、今どこにいる?」
……。
「わかった。慌ててまた事故らないようにな」
社長はスマホをポケットにしまうと、
「サワ、キー」
鈴木さんに手のひらを差し出した。
「へ!?」
間の抜けた声が車内に響く。
「小野さんいると思ったから持ってきてませんよ」
「は!?持ってきてない?……まあいいや、郵便受けに入ってるだろ」
この会社、セキュリティ大丈夫ですか?
「大丈夫だ。盗まれるようなもん何もない」
声に出てたらしい。




