二人の帰還
焼き物の工房を見学し、お揃いのティーカップを買ってから駅に着くと時刻は午後四時を回っていた。
「お土産、いくつくらい買う?」
雄輝くんに尋ねる。
「職場とー、家とー、雅紀んちと秀朔んち。俺は4つかな」
「私どうしよう?職場と家はいいとして、友達にも買うと凄くいっぱい買わなくちゃなんない。予算足りないよ!?」
「ほら、この前話してたキハちゃんとハルトくんと鈴木さんくらいでいいんじゃね?」
「うん。じゃあ、そうする。どれにしよう?」
家と職場はお菓子でいいとして、キハちゃんとかはキーホルダーにでもしようかな。
キーホルダーのコーナーを眺めていると、みきゃんちゃんのキーホルダーが目に止まった。
「これにしよう!」
ポーズの違う4種類のみきゃんちゃんのキーホルダーを手に取り、お菓子コーナーに向かった。
「決まった?」
「うん。みきゃんちゃんにした」
言いながら中指に引っ掛けてプラプラさせると、
「ぐみらしいな。あとは家と職場。何にする?」
定番は饅頭とかだよね。
「店員さんにオススメ聞いてみる?」
「あ、それがいいかも」
ちょうど在庫を出しに来た店員さんに声を掛ける。
「すみません、オススメのお菓子って有りますか?」
店員さんはお菓子の箱をたくさん奥の方に置いてから答えてくれた。
「坊っちゃん団子とか一六タルトなんかがよく売れてますね。個人的なオススメは『まるごとみかん大福』です。インパクトありますよ」
「ありがとうございます。それにします」
インパクト大事。
「じゃあ、俺もそれにしようかな」
雄輝くんもインパクト重視で来た。
3個入を一つと6個入を四つ持ってレジに向かう。
たくさん入っているのが無かったせいでちょっと予算オーバーしちゃったけど、まぁいっか。
「帰りは前半私が運転しようか?」
雄輝くんも疲れてるだろうと思って問いかけると、
「じゃあ、お願いしようか」
よし!インプレッサ運転できる♪
運転席に乗り込んでシートを少し調整した。雄輝くんが助手席に乗る。
周囲を確認し、クラッチを切って1速に入れ、アクセルを軽く踏みながらゆっくりクラッチを繋ぐ。
駅の駐車場からゆっくりと本線に合流した。
高速に入ってしばらく走ったところで、
「ちょっとアクセル踏み込んでみていい?」
聞いてみる。
「いいけど、加速性能いいから事故らないでね」
許可が出た♪
4速に落とし、ゆっくりとアクセルを踏む。
「ぎゃあぁああぁあぁぁ!!!!」
私は加速に押し潰されそうになりながら何とかアクセルから足を上げた。
メーター、140km/h超えてた気がする……。
(※スピード違反を推奨する意図はありません)
「だから言ったでしょ」
「軽自動車とは段違いだね。安全運転で行く」
そこからは110km/hくらいのスピードでゆっくり走った。
『←上分PA3km』の標識が見えたところで、雄輝くんが
「そろそろ交代しよっか」
と、声を掛けてくれた。
「了解。PA入るね」
私は分岐に車を進めた。
雄輝くんは速かった。具体的な速度は捕まると困るので伏せておきます。
南国ICで高速を降りると、すぐに見慣れた風景が目に入ってきた。
「また、どっか行こうな。楽しかった」
「うん。楽しかったね。今度は本州に突撃しよう!」
「本州の有名な温泉……有馬温泉とか?」
「一旦温泉から離れよう。テーマパークとか、寺社仏閣巡りとかどう?」
「寺社仏閣……ぐみ、意外と渋いな」
家に着くと百の部屋に明かりがついていた。この時間なら皆んな帰ってるな。
「ウチ寄ってく?お父さんとお母さんにも紹介したいし」
「そうしよっかな。ぐみの親に会うのって3年ぶりくらい?」
「そんなもんだね。怖くない?」
「怖くはないよ。前、あったときも優しかったもん」
インプレッサを隣の空き地に停め、二人で玄関に入った。
「ただいま!」「こんばんは」
「おかえり〜」
お付き合い云々を父と母に説明し、みんなでご飯を食べた。
「ところで百ちゃん。写真の代金払っておくね」
唐突に雄輝くんが百に3千円を手渡す。
写真!?
「百、雄輝くんに写真売ってるの?」
「あぁ、家でのぐみの写真を売ってもらってるんだ。言ってなかったっけ?」
聞いてない。写真撮られた記憶もない。
「百、いつの間に写真なんて撮ってたの!?全然気付かなかった」
「気付くわけないよ。ぐみねぇの寝顔コレクションだもん!」
……ってコラぁ!!
写真は全部削除させ、お金は全額返金させました。
「バックアップあるよね?」
「もち」
「じゃあまたラインで!」
後ろから恐ろしい会話が聞こえてきた気がするけど、私は自分のだらしない寝顔が雄輝くんに見られていた事実に落胆し、注意する気力も起きなかった。
「ぐみの寝顔、かわいいよ」
さらに追い打ちですか!?




