動物園
「アルパカ見たい!」
唐突に叫ぶと、雄輝くんが目を擦りながらベッドから這い出してきた。
「動物園行くけど……ふぁあ、アルパカいるかなぁ?」
「おはよう!おっきい動物園だから、きっといるはず」
「おはよう。動物って何種類いるか知ってる?ピンポイントでアルパカが動物園にいるとは限らないよ。象とかライオンとかキリンだったらいると思うけど」
「アルパカ見たい!」
「まあ、いるといいね」
私達は浴衣のまま食堂に降りていった。
「おはようございます。朝食は、和食になさいますか?洋食になさいますか?」
カウンターのお姉さんが優しく聞いてくれる。
「「洋食で!」」
綺麗にハモった。
「では、お席でお待ちください」
エッグハムサンドをつまみながら、今日の予定を復習する。
「動物園に行って……」
「焼き物見学して……」
「駅のお土産コーナーでお土産買って……」
「高速で帰る」
「「完璧っ!」」
荷物をまとめると、チェックアウトして、インプレッサに積み込んだ。
小一時間ほど走ると、動物園に到着する。駐車場に車を停め、入場口に歩いていった。
「大人2枚ください。ところでココってアルパカいますか?」
「大人2枚ですね。かしこまりました。残念ながらアルパカは展示してないんですよ。でも、近親種のラマがいますので、楽しんでいってくださいね」
園内に入ってすぐ『←経路』と書かれた看板に従って左に進むと、そこは爬虫類パラダイスだった。
「気持ち悪い……」
「ぐみ、蛇とか苦手なの?」
「すごく苦手」
「オレ、大好きだから先行ってて」
私は素直に従って、小走りで小屋をあとにした。
動物ってモフモフ想像してたけど、考えてみたら爬虫類とか両生類も動物だよね、認めたくないけど。
鳥さんたちを眺めながら進んでいくと、私の目は一点に釘付けになった。
ーーぺとぺとぺとぺとーー
ーーぺとぺとぺとぺとーー
「ペンギンさんだ!」
うん。時間いっぱいまでココにいよう。
ーーぺとぺとぺとぺとーー
ーーぺとぺとぺとぺとーー
「あ!追いついた」
声に振り向くと雄輝くんが隣にいた。
「じゃあ、次行く?」
「私、今からココに住む!」
「俺だって、できるもんならワニと亀とトカゲと一緒に住みたいよ!?未練振り切ってぐみに追い付いたんだから、次行こうぜ」
ゔゔっ。
雄輝くんに手を引かれ、仕方なく私は歩き出した。
「ペンギンって飼えないかなぁ?」
「個人で?難しいんじゃね。飼ってる人見たことないし」
「見たことあるよ。ミサトさん」
「はいはい。二次元と三次元を混同しない。国連直属の特務機関の司令官になってから考えような」
しかし、可能性はあるのだ。
「ペンギン飼えますように」
ーーパンパンーー
柏手を打つ。
「誰にお願いしたの?」
「神様」
「うん。まぁ叶うといいね」
話していると、念願のアルパカ……じゃなかったラマがいた。私達より少し大人っぽいお姉さんと睨み合っている。
お姉さんの手にはリンゴの欠片が握られていた。
「ふぇぇぇーー!」
ラマが鳴いた。
「『寄越せ!』って言った!」
「『寄越せ!』って言ってるな」
お姉さんの向こう側にいた小学生男子と雄輝くんが、お姉さんに催促した。
「ほりゃ!」
お姉さんはリンゴをほぼ直上に放り投げる。ゆっくりと落ちて来た(ように見えた)リンゴは綺麗にラマの口に収まった。
「シャリシャリシャリシャリ」
ーパチパチパチパチー
周囲は拍手に包まれた。
アルパカ可愛いけど、ラマも可愛いよね。うん。
ライオンやキリン、ハイエナを見ながらのんびり歩いていると、高台に真新しい建物が見えてきた。
「お昼ごはん食べる?」
「そだな。お腹空いてきた」
レストラン"ズーヴューイング"に入り、メニューを見ると、唐揚げランチの文字だけが箔押しされていた。
「唐揚げランチ2つ、お願いしまーす」
店員さんに注文し、
「ココにいた鳥さん使ってないですよね?」
と尋ねると、
「ちゃんと食肉業者さんから仕入れてますよ」
と返ってくる。
良かった。
午後は焼き物工房の見学予定があるので、早足で象さん虎さん、お猿さんなんかを見て回った。
次回来たときは兎さん触れるところに時間を使おう。
あ、レッサーパンダもいました!本好き幼女は無関係ですが。




