歓談
「詳しい話、聞きたいよね」
ニヨニヨ笑うキハちゃんと頷き合って、社長と鈴木さんと陽斗くんが談笑している方に向かった。
「だからな、サワは俺の義妹に当たるんだよ。クレーム入れる時は、いっつもミワ経由で来るんだ。卑怯だろ?俺がミワに逆らえないの知ってるから、直接言わないんだ。反則だろ?」
サワさんは鈴木さんの事ですよね。ミワさんは社長の奥さんかな?つまり社長と鈴木さんは義兄妹!陽斗くん、鈴木さんと結婚したら幹部コース!これは応援しないと。
「社長、プライベートな話はこの場に相応しく無いかと思います」
鈴木さんが窘める。
「ちょっと位いいじゃねーか。大森もサワの本性、早目に知っておいた方がいいぞ」
「ミワ、今どこにいるかご存知ですか?」
「家だろ?」
突然、着信音が鳴り響いた。慌てて社長がスマホを取り出し、電話に出る。
「ミワ?今どこにいる?」
「とーなーりー!」
ミワさんが叫んだので、声がこちらまで聞こえてきた。
社長は電話を切ると、そそくさと部屋を出ていった。
「鈴木さんに説明を求めます」
私はツカツカと鈴木さんに歩み寄った。
「この人数の採用っておかしいですよね?何か裏がありませんか?」
「詳しいことは今は話せません。でも、ブラック企業によくある『離職者見越して大量採用』ではないので、そこは安心してください」
一番心配していた事はキッパリ否定してもらえたので少しホッとする。
じゃあ次は陽斗くんだね。
「大森さんは鈴木さんのどこに惹かれたのですか?」
話題は何でも良かったんだけど、陽斗くんと会話してみたかったので鈴木さんの印象を聞いてみた。
「あぁ……ぐみちゃん。陽斗でいいよー。鈴木さん、行動力あ……」
「さ!わ!」
鈴木さんが叫ぶ。
「サワちゃん行動力あるじゃん?あんなに真っ直ぐに好意をぶつけられた事無かったから嬉しかった」
ふむふむ。
「あと社長の親戚っていうのも社内で有利に立ち回れそう、って思って」
まぁ、思いますよね。正直にソレ言っちゃう人少ないと思いますけど。
小一時間お話しして陽斗くんの人となりは分かった。
よし、次、愛莉ちゃん行ってみよー!と思って会場を見回すが、愛莉ちゃんの姿は見当たらない。隣にいたキハちゃんに、
「愛莉ちゃん知らない?」
と聞くと、
「アレ……」
と、男子の集団を指さした。
あーー。自己紹介の彼氏募集で逆ハーレム錬成しちゃったんですね。今日は諦めよう。またどこかで会うでしょ。
名前がわかる人は……っと、美咲ちゃんが一人でホットドッグを頬張っている。
「美咲ちゃんに声かけに行くけど、一緒に行く?」
キハちゃんに尋ねると、
「行く行く!イケメンだよねぇ。メンじゃないけど」
二つ返事で同行してくれた。
「美味しいですか?」
美咲ちゃんにカルーく声を掛ける。
「おいしいれふぅ」
あれ?イケメンキャラ崩れてる。
「彼女います宣言したら、男の子からも女の子からも声掛けて貰えなくて困ってたんです」
あーー。
「ぐみさんとキハさんですよね。お二人共インパクト強かったので、お名前覚えてますよ♪」
「「ありがとうございます」」
「美咲さん……美咲ちゃんってお呼びしてもいいですか?」
「ハイっ!私もぐみちゃん、キハちゃんって呼びますね」
性的なお話を聞きたかった私は年齢制限に配慮してグッと堪えた。
「美咲ちゃんはココ入る前は何してたんですか?」
「普通の高校生ですよ。女子校でしたけど。男の人と話すの慣れてないので、今日から修行します」
女子校……ますますアッチ方面に興味が……。
「陽斗くんとかどうですか?カワイイ彼女ができたので安心ですよ」
「スキあらば話しかけようとしてるんだけど……陽斗くんはスキだらけなんだけど……」
三人が陽斗くんに注目すると、獣のような目をした鈴木さんと目が合った。
グルルルルルルル……って聞こえたような気がするんですけど!?
そろそろ懇親会終わらせたいのですが、登場人物が話し足りないようです。




