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桜の若葉  作者: aco
Trial&Error Forever
13/23

鈴木さんの恋


 机が一つに纏まり、料理が並べられる。


ーーパンパンっーー

 鈴木さんが二度、手を打って話し始めた。

「こちらはセイブオウル、来月の新商品になります。本部に無理を言って確保してもらいました。まだ味の微調整はできますので、若い皆さんの忌憚のない意見を聞かせてください」

「いっただっきま〜すっ♪」

 タクローくんが心の底から嬉しそうに叫ぶ。

 うんうん。体育会系だねぇ。


 キハちゃんと蒸し鶏の入ったサラダを(つつ)いていると、鈴木さんに小さく声を掛けられた。

「そこの彼氏持ちーズさん、折り入って相談したい事があるのですが……」

「はい!!」「はい!?」

 私とキハちゃんがきれいにハモる。

「実は(わたくし)(よわい)を三十と幾枚か重ねておりますが……その……殿方と”お付き合い”なるものをした経験がありません」

「「ふむふむ」」

「そこで経験豊富な先輩方に、このあとの流れと言いますか、具体的に何をすれば良いかを御教授頂ければ、と思う所存でございます」

「まず!」

 キハちゃんが叫ぶ。

「普通に喋ってください!」

 そうそう。まずそこですよね。

「はい」

 鈴木さんが頷いた。

「では!」

 キハちゃんの恋愛講座開講〜。(パフパフ)


「経験豊富な、ぐみちゃんからどうぞ!!」

 えーーー!?ひどい!!


 仕方ない。なんかそれらしい事言っておこう。

「そもそもの話なのですが、鈴木さんと陽斗くんは付き合っているのですか?さっきのやり取りでは交際成立と思えなかったのですが」

「うぐっ……」

 鈴木さんが苦しげに呻いた。


 半分涙目の鈴木さんは仕方なさそうに、社長と歓談している陽斗くんの方に歩いていった。


「あの二人、うまく行くと思う?」

 キハちゃんに尋ねる。

「告った時の鈴木さんだったら無理だろうね。さっきの鈴木さんなら陽斗くん次第かなぁ?」

「私もそう思う」

「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!」

 向こうで社長の大爆笑が聞こえる。


 ウインナーの詰め合わせを取って戻って来ると、鈴木さんも戻って来た。満面の笑みで。


「正式にお付き合いすることになりました♪で、ぐみ先生、さっきの続きなのですが!」

「えーと……。私の経験は多分参考にならないので、キハ先生の方から!」

「私、彼氏が出来て10日くらいしか経っていないのでよくわかりません。デートだって、まだ3回しかしてないし……」

 え?そなの?私先輩!?

「私も1ヶ月くらいしか経っていないのでよく分からないです。デートとか重ねて、お互い理解を深めればいいと思います」


 恋愛初心者が3人集まっても良い考えは浮かばないと思ったのか、鈴木さんは、

「頑張ってみます。ありがとう」

 と言い残し、陽斗くんの方に再び向かった。


「では、キハちゃんの恋バナタイム突入ですね♪」

「さっきも言ったけど、付き合ってからは3回しか会ってないから話すぐ終わっちゃうよ?」

「まず、告白したのはキハちゃんからですか?」

「ぐみちゃん、顔がおっさんになってる」

 おっさんって……ヒドい。

「私から告白なんて無理だよぅ。聡くんが『就職するならもう受験勉強は言い訳に使えないぞ!』って」

「つまり、高校時代に告白は受けていたって事ですね。ズバリ!聡くんはサッカー部だったでしょう!」

「言葉選びもおっさんになっちゃったね。そう、サッカー部だよ。キーパーだったの」


 話を総合すると、キハちゃんはキーパーの現彼氏が失点するのを防ぐために、ゴールポストを動かせる筋力を身に着けたらしい。


 ……。試合中にゴールポスト動かしちゃダメだよ!

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