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27.再会

「ヴェイン、ハクに貰ったのは何です?」

「ああ、これはガレス家の紋章ですね。」

「はあ、それが一体何の役にたつんです?」

「今はわかりませんね。あ、そこ曲がります」


キーエンの街を出て、今はキーエンの森。

キーエンさんに会いに行きます。

同じ名前つけるとこういうことになるんですけど誰も気づかなかったんでしょうかねえ。


ハクに貰ったよくわからないものはヴェインに預けておきましょう。

鞄も今はヴェインが持っているので。

今日着る服も最近はヴェインが用意しちゃうんですよね。



ええ、わかっています。

多分こうしてヴェインがいないと何もできないようにしたいんでしょう…!

その作戦にはのりませんよ!とか思ってたんですけれど、強引にそうされてはどうしようもないのですよね。

命令すれば聞いてもらえるとは思いますが、楽なのには違いないのですよね…



キーエンさんに会うのでもちろん黄色のワンピースです。

ヴェインが服や靴を増やしてくれたので、実は最初にもらったブーツ一足じゃなくなりました。

けれどあのブーツ、備品なんて言っていましたが良い品だったようで歩きやすくて頑丈なんですよね。

歩く日には欠かせません。




「あっ来た来た!!今は名前よんでいいの?」

どうやら近くまで迎えに来てくれたらしいロリっ子もといキーエンさんはわたしにぎゅっと飛びついて頬ずりする。

かわいいですねえ本当。


「ええ、ヴェインは知っていますから。スズ・クジョウです。先日は名乗れなくてすみません」

ウルさんがいたので名前を名乗らなかったのですよね。

偽名をキーエンさんに名乗るのは嫌でしたし。


「スズね!ルーリアから他の人には内緒って言われてたから聞かなかったの!」

ルーリアさんのお陰でしたか。ありがたいです、キーエンさんは多分ダメだと言われなければ名前を聞いていたでしょう。


「でね、でね、ロゼからは指を貸してあげなさいって言われていたの」

「指、ですか?」

「うん!あ、中で話すね!」

オリエンタルな雰囲気のその建物の中も、しっかりオリエンタルでした。


キーエンの街といい、少しほっとしてしまうのはアジア人だからでしょうか。

欧風のものより身近ですよね。


「あのね、スズは精霊を感じるのが苦手なんでしょ?」

たっぷりのクッションを敷いた床の上で転がるキーエンさんかわいい。

わたしもその隣に座る。

ヴェインはぴったり斜め後ろに立っているけれど、ここには警戒すべきものはないと思いますよ。


「そのようです」

「魔力が固まってる?ってロゼが言ってたの!」

本来聖女はもっと魔法が使えるんですね…

知りませんでした。もしかしてわたし聖女として劣等生ですか?


「召喚のときに何かあったのかもしれないってルーリアも言ってたよ」

「何か?」

と言われれば言葉がわかるとかいう指環くらいしか思いつきません。

「その指環はほんとに言葉がわかるだけだよ!うーん、妾じゃうまくいえない!とにかく左手の小指を交換するから!」

一本だけ、爪が黄色い指がそうなんでしょうね。

だんだん拒否できない感じになってきました。その隙すらないというか。


「で、契約!」

額に勢いよく口付けされ、ヴェインを見れば頷いたので多分印が出ているのでしょう。

「これで少し魔法が使いやすくなったと思うんだけど、どう?」

「確かになんだか体がぽかぽかするような…」

「よかった、妾ばっかりあげるとみんなに怒られちゃうからこれだけね。」

魔力の廻りをよくする効果があるようです、とヴェインが耳打ちしてくれたので、キーエンさんの小指はそういう効果があるらしい。

固まっているという魔力の流れをスムーズにしてくれたのでしょうか?魔力の絶対量が増えたわけではないようです。



「じゃ、妾の森の浄化に3日くらいだよね!」

やったーやったーと飛び跳ねるキーエンさんがかわいらしい。

何もいわずにヴェインのことも歓迎してくれるようなのでほっとした。

さすがに外で待っとけとか言いたくなかったですし。



「食べ物も着る物も妾の子たちが持ってきてくれるから安心してね」

ということはいままでルーリアさんもロゼさんも公爵家からわたしのものを融通してもらっていたんですねえ。

まあ甘えておきましょう。

紛れもなく今はお仕事中ですし、衣食住の提供くらいは受けても贅沢には当たらないでしょう。



「うーん、スズは聖女の力のほうはすごいのね。」

すんすんと髪の匂いを嗅がれて恥ずかしいです。

「そうなんですか?」

「今までの子よりこう…ずおおって吸っちゃう感じ」

そんな吸引力があったのですか。

空気清浄機というより掃除機だったんでしょうか。

変わらない吸引力でいられるようにしないといけませんね。


「ほんとなら3日じゃ終わらないんだよ」

ぷく、と膨れているのは3日でわたしが去るのを寂しがってくれているのでしょうか。


嬉しい。

きゅっと抱き着くと「えへへ」と頬を緩ませてくれるので存分に撫でまわしました。

ここで聖女のイメージを気にする必要はありませんし!




***



そうして3日滞在し、すっかり澱みがなくなったのを確認して。

「聖女様、今日はどうなさいますか」

「もう澱みもきれいになったので出発しましょうか」

「では準備します」


「ええー!もう行っちゃうの!」

ぎゅっと腰に抱き付いてくださるのは大変にかわいらしい。

美形に弱いので顔を見ないようにしてしっかり断りましょう。


「はい、この御勤めはさっさと終わらせたいんです」

「そっか、じゃあしょうがないね、また来てね!」

精霊の方たちはわたしがやりたいと言ったことはすぐに賛成というか同意してくれるので、尊重してもらえているんだなあとわかって嬉しいです。

旅が終わればまた遊びに来ますよと約束し、ヴェインと再び森に出た。










ご閲覧、評価、ブクマなどありがとうございます。

励みになります。


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完結済みです。

『光の勇者は竜の姫と月の騎士に執着あいされる』

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