トドメ
「《旋風斬》!」
片膝を地面につけたゴーレムのどてっ腹に回転連撃のスキルを叩き込む。
動きを止めた俺へと伸びる手首に向かって、
「《重層烈断》!」
赤い光の残像を伴った両手斧の三層撃がゴーレムの手首の肉をえぐりきった。
ぼとり、と落ちた死肉の塊はほどけて溶けて消えた。
「やれる! あと少しだ!」
俺とベルナンディアは手首から先を失った腕と胸部を徹底的に斬りつづけた。
ここまでくればメルティエやケイウッドの戦闘支援もいらない。
ひたすら前衛の俺たちが攻撃を加えれば済む。
疲労だけネムリに回復してもらいながら、残ったもう片方の手による攻撃に気を付けた。
肉の焦げる臭いが立ち込める中、片腕を失い、胸部の損傷も回復しきらない肉巨人に俺とベルナンディアはトドメの一撃を加えた。
「こいつでっ!」
「終わりじゃ!」
胸部を断ち切り、胴体が真っ二つにちぎれ、分かれた。
床に落ちた上半身がもがくようにうごめき、やがて動きを止めた。
それに伴い、下半身も力を失ったように倒れ、上半身とともに肉がほどけて溶けて消えていった。
俺とベルナンディアは呼吸を整えながら仲間たちの顔を見まわした。
みんな一様に喜びが表情に表れている。
やったんだな、俺たちは。
難なく、とは言えないがほぼ無傷でゴーレムを倒すことができたんだ。
俺たちのパーティはここまでやれるようになったんだ、という達成感が俺のこころを満たした。