魔侯爵の城、第二階層
二階は一階よりも道のりが複雑になっていた。
道の分岐もあったため、俺たちケイウッドパーティと、ガルド、パトリシアパーティとに分かれて探索することにした。
おそらくこの階層にもボス部屋があるであろうから、そこで落ち合うことを約束した。
一階ではゴブリンやスケルトンといった低級モンスターがたくさん配置されていた。
この二階ではスケルトンナイトやスケルトンアーチャー、ゾンビ、インプ、ヘルハウンドといった低級に毛の生えた程度のモンスターが同じく大量に配置されていた。
まるで一階で力を付けた冒険者を試すかのようだ。
宝箱も相変わらず用意されており、中にはロングソードやチェーンメイル、毒消し草や麻痺治しの薬草などが入っていた。
めずらしいアイテムは皆無だが一階の宝箱の中身よりも確実に高価なものが手に入った。
チェーンメイルなどは後衛のネムリに装備させた。
すべての道を歩き終え、最後の大部屋の前まで来るとすでにガルド、パトリシアのパーティが待っていた。
「すまない、待たせたな」
「そちらの首尾はどうだったの?」
「一階と似たようなもんだったよ。なあ?」
ケイウッドが同意を求めてベルナンディアが応える。
「うむ、不思議じゃのう。モンスターの強さも宝箱の中身もまるでこちらの着実な成長を促しているかのように思える」
メルティエも同意してあごに手を添える。
「本当に不思議です。何かに誘導されているような作為を感じます」
「貴殿らのルートもそうであったか」
「うちらのほうも似たようなもんやったで。めずらしいモンスターもアイテムもなし」
「その代わり一階よりはグレードが上がっているのよねん」
「作為を感じる以上、どこで俺たちの意表を突いてくるかわからない。警戒すべきだ」
ガルドとパトリシアのパーティも俺たちと似た感想を抱いたというわけか。
これはいよいよ魔侯爵のねらいが明確になってきた。
もちろん、仲間たちには言えないが。
「とりあえず大部屋に向かおう。おそらくここにもモンスターが待ち構えているはずだ」
俺たちは警戒しながら大部屋へと続く通路を進んでいった。