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乱舞

 こん棒を全力でふり抜くことだけに集中する。

 何体かのスケルトンを巻き込んで破砕する。

 斬りかかってきたスケルトンの斬撃は俺の肩に当たると同時に跳ね返された。

 二重の防御魔法のおかげで当たった感触があるだけでケガはおろか、服を斬られることすらなかった。

 ダメージを負わないとわかれば防御など不要。

 ただ攻撃あるのみ。


 俺がこん棒のひと振りで二体のスケルトンを巻き込む横で、ベルナンディアは両手斧を大振りにふり抜いて五体ほどの骨の残骸を量産していく。

 となりではラージスライムもスケルトンの斬撃を跳ね返しながらゆっくり取り付き、じわじわと溶かしていく。

 時折、後方から《火球ファイアボール》が飛んできてスケルトンを焼き焦がす。

 メルティエの援護は的確で、後衛に抜けそうなスケルトンをねらって倒してくれた。

 息が乱れて疲労の色を見せるとすぐさまネムリの魔法が回復させてくれる。

 抜かりのない支援によって俺たちの戦線は堅固に維持されていた。


「ケイウッド! 護衛より攻撃に加勢してくれ! 防御は不要だ!」


「了解だよ!」


 ケイウッドはショートソードを抜いて一体一体ねらいすまして破壊していった。

 いける、このまま力押しで敵を倒せる。

 俺は頭の中で範囲攻撃ができるスキルを思い描いた。

 こん棒を持つ手に力がみなぎっていく。

 力が限界に達したとき、


「《円技衝撃波ソード・スラッシャー》!」


 力いっぱいふり抜いたこん棒から衝撃波が発生し、スケルトンの群れを粉砕していった。


「お、それならオレだって!」


 ケイウッドがショートソードを前へ突き出して意識を集中させた。

 赤いオーラが体から立ち上り、ケイウッドの形をした影が二重、三重に揺らめいた。


「《千万突きサウザンズ・フェンサー》!」


 何重にも分身したケイウッドの影が目にも止まらぬ速さでスケルトンの集団を突き崩した。

 となりで斧をふるっていたベルナンディアも斧を大地に突き立て、両手を合わせた。

 土色の輝きがベルナンディアを包んだ直後、


「《大地のうねりグランド・ウェイブ》じゃ!」


 地面が波打ったかと思うと、土の大波が俺たちの前面でうごめいていたスケルトンの大軍をまとめて飲み込み、そのまま地面に消えていった。


 スケルトンの軍勢はたしかに多勢だった。

 しかし、俺たちの防衛ラインが崩されることはなかった。

 片っ端から殴り、斬り、燃やし、粉砕していった。

 大量のスケルトンが《即応換金インスタントトレード》で言葉どおり骨も残さず消えていき、だいぶ先が見えてきたころ、


「ごめんなさい、遅くなったわ!」


 後方から声がしてふり返るとパトリシアたちだった。

 その後ろには他の冒険者たちの姿もある。


「騎士どもの融通が利かなくてね」


「もう来ないのかと思ったぞ」


「シュウジくん、遅うなったけど堪忍してな!」


「あの騎士たちには後であっつ〜いお仕置きが必要だわね」


「さっさと片付けるぞ」


 なるほど、ガルドでもあの騎士連中をまとめ上げるのは困難だったということか。


 俺はラージスライムをビンにもどした。

 間違って他の冒険者に攻撃されたらかわいそうだしな。


 パトリシアたちや他の冒険者たちもそれぞれに武器を構え、俺たちの戦線に加わった。


「おいリーダー、何か勢いをつけるひと言でも叫べ」


「ええ、オレ?」


 ケイウッドはうーん、とすこしうなってから、


「おっしゃみんな! 後ろで震えてる騎士様たちに、オレたち冒険者の力を見せつけてやろうぜ!」


 ケイウッドのかけ声に全員が雄叫びをあげて応えた。

 上出来だぜ、リーダー。

 最高潮に士気が高まった俺たちはスケルトンの大軍を次々になぎ倒していった。

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