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強者の気迫
「待つのじゃ」
口火を切ったガルドをすかさず制したのはベルナンディアだった。
「ガルド殿、ヌシだけエールを煽っておるのはちと不公平というものじゃ」
ベルナンディアは近くのウェイトレスに人数分のエールとネムリ用のジュースを注文した。
「堅苦しい話をする時は酒を飲むものじゃ。そうじゃろう?」
ベルナンディアの挑発的で不敵な笑みを受け、
「はっはっは、いや、気が利かなくてすまなかった。貴殿の言う通りだな。こんな話は酒を飲みながらするものだ」
ガルドも豪快に笑い返した。
その表情にはベルナンディアに勝るとも劣らない凄みがあった。
強者特有の気迫が二人のあいだで火花を散らしていた。
ひー、おっかない。
メルティエは苦笑いしているし、ケイウッドなんか目が泳いでしまっている。
緊迫した空気を押し流すように注文したエールが到着し、ひとまず乾杯した。