ガルドの強さを測るもの
酒場の冒険者たちがざわついていた理由はわかった。
王国騎士団長ともなればやはり剣の腕前はピカイチなのだろう。
だが、具体的にどれくらい強いのか、いまいちピンとこない。
「あのな、シュージ」
ケイウッドが俺の両肩に手をついて言った。
「王国にはゴールドクラスの冒険者パーティが二つある。「鉄槌」と「深緑の森」だ。そのゴールドクラスの冒険者に匹敵すると言われるのが王国騎士団長のガルド・スワルドだ。つまり、ゴールドクラスの冒険者と同じくらい強いってことだよ」
ふむ、わかったような、わからないような。
「それは少し買いかぶりすぎだな。「鉄槌」や「深緑の森」は一人一人の能力だけでなく、チームとして高い戦闘技術を有している。私はただ少し剣の腕に覚えがあるというだけだ」
あくまで謙遜するガルド。
「じゃが、純粋な剣の腕で言ったらヌシの右に出る者はそうおらぬじゃろう」
「そうですね。前の闘技大会で決勝戦を戦った、騎士団副長のダンターク・ランゼス様。あとは「鉄槌」の一人が類稀な剣術使いと聞き及んでいます」
ベルナンディアとメルティエの追撃により、なんとなくガルドの実力のほどが理解できた。
ただただ強いとかすごいと言われてもなんとなくしかわからない。
こうやって比較されることでどの程度、どんなふうに強いのかが理解できる。
改めて強い戦士なんだという実感がわいてきた。
「さて、そろそろ本題に入ろうか」
ガルドは一つ咳をして、改めて話を始めた。